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ヒロインの転生妹はシスコン~乙女ゲームは始まりません~

掲載日:2023/05/17

モブものを書こうとした結果。攻略対象周りの話も書くかも。


──あ、私のお姉ちゃん()()()()()()()()だ。


そんなことを思い出したのは、今から数年前。流行り病で生死の境を彷徨っていた私を、突如発現した聖女の力で癒す神々しく美しい姉の姿を見た時だった。

頭は熱のせいでひどくぼんやりしていた筈なのに、前世の記憶は驚く程あっさりと馴染み、特に人格を塗り替えられるでもなく、私は私のままアラサー腐女子だった頃の記憶と知識を得たのだった。


「キミトキ……正式名称は、何だっけ?実況動画を観ていただけだから忘れちゃった」


シチューの鍋をかき回しながら、曖昧な記憶を呼び覚ますように目を閉じる。

キミトキ。正式名称は忘れてしまったが、アニメ化されるような人気の乙女ゲームを多数出したメーカーから出た乙女ゲームで、一部の攻略対象同士にBLを仄めかすような描写があったことで良くも悪くも話題になった作品である。


ヒロインの聖女──私の姉であるルピアが、特例で貴族達の通う王立学園に入学するところから物語は始まる。

稀少な光魔法を使うルピアは、力のことを知った大聖堂によって保護されることになる……()()()()


「本当なら、今頃誰かのルートに入ってエンディングを迎えてるんだよねぇ」


しかし、そうはならなかった。何故なら、私がそうさせなかったから。

そもそも、本来ルピアの力を大聖堂が知るきっかけになるのが、私──ルピアの妹であるリリアなのだ。

姉に救われたリリアは、自分を癒した時の姉をまるで神の遣いのようだったと何人もの人間に話す。それはもう、誰彼構わずお姉ちゃん自慢をしまくってしまう。


──気持ちはわかるよ!あの日のお姉ちゃんは、いつにもまして綺麗だったもん。


しかし、その結果大好きな姉と離れて暮らすことになる上、ルートによっては王妃になったり、魔界から溢れ出した瘴気から世界を守る為に自ら封印されたり、嫉妬に狂った悪役令嬢に呪われて恋人と共に百年の眠りについてしまったりと、下手をすれば一生会えなくなってしまうのだから堪ったものではない。


私はお姉ちゃんのことが大好きなのだ。両親を早くに亡くしてからは、二人で支え合って生きてきた。

だから、キミトキのことを思い出した時、絶対に言い触らしたりしないと決めたし、平民が持つには過ぎた力だとか、自分の命を削って使う力なんじゃないかとか、もしかしたら人体実験の材料にされるかもしれないとか、わざと姉を怖がらせて二度と聖女の力を使わせないようにもした。


力のことさえ知られなければ、いくらヒロインでもただの平民の少女に過ぎない姉が王族や貴族ばかりの攻略対象達と出会うことはない。

この数年、全力で姉を守り抜いた私はさながら騎士(ナイト)の気分だ。とはいえ、姉の青春を奪ってしまったという負い目もあるにはある。だから、()()()()()()()のことを思い出した時には小躍りして喜んだものだ。


「お姉ちゃんには、身の丈にあった幸せがあるよね。うん、今朝だってアンソニーとデートの約束をしたって喜んでたし!」


つい最近、姉は幼馴染みの青年と付き合い始めた。実はこれはゲーム内にも存在する展開である。


一学期の最初の週に一度も学園の礼拝堂に行かないと、何故か聖女としての力を失って学園から追い出されてしまうのだ。中々に初見殺しなシステムだと思う。


その後、一度保護した手前大聖堂側もすぐに手放すわけにはいかなかったのか、シスターとして働くことになったヒロインが、数年後に幼馴染みと再会して結婚したことが雑に語られて終わり。ノーマルエンド扱いにはなっているが、スチルも何もないのだからプレイヤーからすればバッドエンドだろう。

実際、実況でも最初の動画のオチとして使われていたっけ。


「私にとっては福音だったけどね!身近な幸せ、万歳っ」


ガッツポーズをして火を止めると、ぐっと伸びをする。思えば、ここ数年ずっと気を張っていた。


このまま上手くいけば、きっと来年には姉はアンソニーと婚約するだろう。宿屋を営んでいる彼の家は、後継者が必要なのだ。

ちなみに、姉はアンソニーの両親に雇われて宿屋で働いている。未来の義父母は、姉をしっかり囲い込むつもりのようで安心だ。


ヒロインに救われる筈だった攻略対象達には悪いが、出会ったばかりの女の子に解決されてしまうような悩みなら、自分で頑張って解決してほしい。

特に第一王子。流石に暗君の元では暮らしたくないし、いざとなったら姉を連れて国を出られるように今から準備しておいた方がいいだろうか。


「まぁ、でもたぶん大丈夫かな?公爵令嬢はヒロインさえ現れなきゃまともな人ぽかったし」


どうか上手く支え合ってくださいと拝むように手を合わせたところで、ただいまと明るい声が聞こえて笑顔でそちらを振り返る。


「おかえりなさいお姉ちゃん!ご飯できてるよ~」


ヒロインの妹に転生した私は、今日も大好きなお姉ちゃんの傍にいられて幸せです。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

もしよろしければ、本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 〉出会ったばかりの女の子に解決されてしまうような悩みなら、自分で頑張って解決してほしい。 ド正論でワロタ それすらできないダメ人間が王とか確かに暗君待ったなしだよね
[一言] そもそも始めさせないとはなかなか考えたな〜 やるな!リリア!(笑)
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