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1-5チュートリアルのつづき

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、カモシカの汗は青いそうですね。

だから何というわけではありませんが。


●〇●〇


「続いては、装備・戦闘についてでござる!」


 ツバキさんが木刀で部屋に堂々と鎮座していた大岩を軽く叩くと、大岩の余分な部分が光の欠片となって消えていき、後には三体の石像が残りました。


 石像は全て古代の西洋風の甲冑に彫られていて、美術品として見られるくらいそれっぽいです。


 戦闘についてってことは、これは案山子ということでしょうか。ちょっともったいない感じですね。

 

「さて、最初の装備と言えばやはりこれでござるな!」


 そう言った、ツバキさんがいつの間にやら手にしていたのは、何の変哲もない木の棒。

 しいて言うのなら、こんなまっすぐな棒があったら、ちっちゃい男の子は思わず手に取っちゃいそうですね。って感じの棒です。


「これぞ伝説の『ヒノキの棒』でござる!」


 な、なんだってー!?


 と、何のことかはわからないんですけど、とりあえず驚いてみました。

 表情にも出ないので、本当に心の中で言っただけですね。無意味。


「さあ、これを『装備』してみるでござる。装備品は、装備しないと意味がない、でござるよ! くぅー、ようやく言えたでござる!」


 ん? 何かのネタか何かなんでしょうか?


 わからないのが申し訳ないですね。ツバキさんの為にも今後このネタがわかって、いいリアクションをとれる人が来てくれることを祈りましょう。


 ところで、このゲームでは装備ってどうなってるんでしょう?

 持っていればもう装備している扱いになるんでしょうか?


 渡されて手に持った木の棒をしげしげと観察。軽く振ってみたり。ぶんぶん。


 意外と気持ちがいいですね。これは確かに子供は好きそうですね。ちょっとは理解できます。


「おっと。申し訳ない。少々気分が上がってしまったでござる。説明を続けるでござるよ。

 装備は、基本的に自身が『装備している』と認識していれば、装備していることになるでござる。

 一応、ステータスの装備欄を確認してみるでござるよ。すでに装備している判定になっているはずでござる」


 装備、表示と念じると、前に装備状況を表示したウィンドウが表示され、そこには確かに『ヒノキの棒EX』の文字が。


 つまりは、持ったり着たりできればそれだけで装備扱いになる、と?

 結構緩いんでしょうか。


「さて、まあそれは基本的には、という話でござる。

 衣類は『本人が着ることができると認識している』ならば基本的に装備扱いになるでござる。

 また、装飾品の類は『物理的に可能かどうか』ではなく、『本人が常識的に可能であると認識しているかどうか』によって装備扱いとなるかどうかが決まるでござる。

 つまり、装備できるものや量は人によって違うということでござるな。

 もちろん、この世界ではそれによる不公平さが出るといったことは無いようになっているでござるよ。安心してほしいでござる」


 ふむ?


 つまりは、自分が『こんなの身に着けられるか!』と思っていると、装備扱いにはならない?


 装飾品は、『こんな風につけるものじゃないよね』と思っていると装備扱いにならない、ということでしょうか。それだと、街でたまに見かけるたくさんピアスつけている人はピアス系の装備をたくさんつけられそうですね。


 私は一組しか付けられないでしょうね。あんないっぱいつけるなんて考えられません。


 と言うより、私は現実世界ではピアスをつけたいとは思いませんね。穴開けるなんて痛そうです。


 ……これだと、ゲーム世界でも付けられないことになっちゃうんでしょうか?


「さて、次はそのヒノキの棒を使って、あの石像へ攻撃してみるでござる」


 ツバキさんに言われた通り、木の棒で甲冑の石像を軽く叩いてみます。軽く、なのは反動が手に来るのが怖いからです。


 石と木のぶつかったコンッという音とともに手に伝わってきたのは、固いものを叩くというよりかは、何と言いますか、ぼすっ、といった感じの感覚でした。


 叩いたのと同時に『1』の数字のポップが叩いた石像の上に出てきたかと思えば、すぐに薄らいで消えて行きます。


「うむ。今、攻撃した対象の上に出たのが対象に与えた負傷、『ダメージ』でござる。これはこの世界の住人およびシロ殿達以外のものすべてに表示されるものでござるが、表示しないようにもできるでござる」


 相手の体力が見えるようなら、出しておけば総体力を推測できますね。

 武器を変えた時にどれくらいダメージが上がったかとかもわかりやすそうですね、結構使い道はありますか。

 でもいかんせん見栄えが悪そうです…… その時々で設定は変えましょう。


「次はスキルを用いた戦闘でござる。今度は攻撃の際にスキル【剛腕】を使用した状態で再度攻撃してみるでござる」


 言われた通りに、剛腕を使用した上で再度石像を攻撃。

 砕け散れーい。


 ひどい反動が返ってこないのはさっきわかったので、心おきなく全力で振りぬきます。


 すると今度は、嫌なことがあった時の、思いっきり枕をぼすぼすやった時くらいの感覚が手に伝わってきます。

 今度は石像の上に『12』のポップがびょんって感じで勢いよく飛び出て消えて行きました。


 あれって、叩き方によって出現の仕方も変わるんですね。ちょっと面白いかもしれません。


「うまくできたようでござるな。今のがスキルを用いた攻撃でござる。

 遠隔的な攻撃はここに『対象を選択』し『当てる』と言う意思を持って攻撃することになるでござる。

 動く対象への攻撃訓練は、この世界に降りた後に『修練場』という施設を使うといいでござるよ。

 さて、次は攻撃を受けてみるでござる。今から攻撃をするので、動かないでほしいでござる」


 そう言うと、ツバキさんは手の木刀を使って私の腹部に横薙ぎを振るう。


 結構な勢いで腹部めがけて振られた木刀にびっくりしたものの。次の瞬間に私に伝わってきたのは、予想以上に軽い感覚。

 せいぜいが枕投げで流れ弾がお腹に当たった、くらいの感覚です。衝撃はありましたが痛くはありません。


「大丈夫で御座ったか? 今の攻撃が、シロ殿の総HPの9割程度の攻撃でござる」


 おおぅ。意外と強力な攻撃だったわけですね。


 9割削れる攻撃でこれとなると、HPは常に確認しておかないといつの間にやら0になってた、なんてことがありそうですね。気を付けないといけませんね。

 


「これにて、戦闘についてのチュートリアルは完了でござる。

 次はアイテム関連の話でござる。『アイテムボックス』を『開いて』みてほしいでござる」


 先ほどまでと同じように、アイテムボックス・開く、と念じると『所持物一覧1/20』の文字が書かれたウィンドウが現れました。


「今表示されたのがアイテムボックスでござる。その中に入っているアイテムをほかの操作と同様にして取り出してみてほしいでござる。

 アイテムは手元に浮いた状態で現れ、数秒はその場に待機するでござる」


 アイテムボックスの中に入っていたのは、ナディちゃんも言っていたリペアオイルが一つ。それを取り出します。


 琥珀色の液体が入ったアンプルが手元にぷかぷかと浮いた状態で現れ、落とさないようにつかみ取ります。


 細工の彫られた瓶は正にファンタジーの薬が入っています! といった感じで綺麗です。


 中身の見た目はウィスキーみたいですね。あるいはごま油か、揚げ物に使った後の油。中に気泡がないので、粘性があるのかないのかわからないです。オイル、なのでちょっとくらいはどろっとしてそうですけどね。


 ところで完全に密閉されていて蓋がないので開けられないのですが、どうやって使うんでしょう?


「取り出せたでござるな。

 それは、シロ殿の種族、機構人形のHPを回復するアイテムの『リペアオイル』でござる。

 ささ、使用してみるでござるよ。使用は他の操作と同じ要領でござる」


 手に持っていたアンプルを『使用』すると、アンプルがきらきらとした琥珀色の欠片となって砕け、身体へと吸い込まれていきました。


「薬品系統のアイテムには再使用可能までのクールタイム『CT』が20秒で設定されているでござる。

 リペアオイルは素材系に分類されるでござるが、機構人形に使用する場合に限り、薬品系統と同じCTが適用されるでござるよ。

 また、薬品系統のアイテムは一定量を使用することで『薬品過剰』の状態異常が発生するでござるが、これは機構人形には関係ない話でござるな」


 ということは、いくらでも回復ができるということでしょうか?


 ……いえ、身体に消耗が出るんでしたね。壊れたら即時戦えなくなると思うので、プラスマイナスゼロって感じですか。

 その辺の説明は別途あるでしょうか。なかったら色々聞いてみたいですね。忘れなければ。


「他者に回復アイテムを使用する場合でござるが、その場合は、回復だろうが何だろうが基本的に判定は攻撃扱いになっているでござる。

 瓶に入っているものであれば、当てるつもりで投げ付ければ、当たるなり外れるなりするでござるよ。

 まぁ、相手がよける行動をとらなければ基本的には当たるでござるが。

 あと、投擲系統のアビリティを習得していれば、よけられても当てられたりするでござるな」


 攻撃なんですね…… そりゃあ、瓶を投げつけられれば攻撃ですか。


「さて、今度はアイテムボックスへアイテムを仕舞ってみるでござる」


 ツバキさんが今使ったのと同じリペアオイルを懐から取り出しこちらへ渡してきました。それを受け取り、取り出したのと同じ要領で今度は仕舞ってみます。


 手に持ったリペアオイルがしゅんっ、といった感じで消え、出しっぱなしになっていたウィンドウに追加されました。


「アイテムは、『ある認識』と『一定の条件下』でのみ収納することができるようになっているでござるが、まあ、よほど変なことをしないようにしていれば問題ないようになっているでござる」


 手に取っただけで仕舞えたら犯罪に使い放題ですから、そういうことはできないようになっていますよ、って忠告でしょうか。


「さて、次が全種族に共通的な部分の最後、ステータスの数値について、でござる。

 ステータスを確認してみるでござる」


 ステータス・表示。


 アイテム欄が表示されていたウィンドウの内容が書き換わりウィンドウに数字が並んでいき、私のステータスが表示されていきます。


■■■■■■■■■■


NAME:シロ

RACE:機構人形


HP(生命力):100/100

MP(魔力):-/-

EP(空腹度):-%


STR(筋力):1 (+3)

DEF(防御力):1

AGI(俊敏性):1

INT(知性):1

TEC(器用性):1

LUC(運命力):1


AP(アビリティポイント):10

SP(状態追加成長値):10


CASH(所持金):0 C


【アビリティ】▼


【装備】▼


【身体部品】▼


【称号】▼


■■■■■■■■■■


 如何にも初期ステータスって感じですね。吹けば飛んでしまいそうです。

 MPとEPは表示されないのに表示されているんですね。


 ん? STRの+3は…… ああ、アビリティの分ですね。


「表示されたようでござるな。

 おっと、アビリティを外しておくのを忘れていたでござる。――コンッ――」


 +3の表示が消え、これで本当に真っ新になりました。


「それがシロ殿の基礎値でござる。基礎値は基本的に全種族共通となっているでござるよ。

 各種ステータスは読んで字の如くでござるな。


 『AP』はアビリティ及びスキルの習得に必要なポイントでござる。それ以外にも、スキルの強化にも使えるでござるが、考えて使わないと困ることになるでござるから注意、でござるな。


 『SP』はHPをはじめ、各ステータスにシロ殿が自由に振り分けられるポイントのことでござる。よく考えて振り分けるといいでござる。SPはアビリティの成長に応じて獲得できるので、振り忘れないように注意、でござるよ。


 両方とも、アビリティの成長時に付与されるポイントでござる。


 『CASH』は現在所持しているお金でござるな。チュートリアル終了後の500 Cが配布されるでござる。


 その他は、習得しているアビリティ、装備している『装備品』・『身体部品』、そして付いている『称号』となっているでござるな」


 ふむ。ここら辺もほかの部分と同じで、よくあると思いきやちょっとだけ違う感じですね。

 うまく考えてやりくりしていかないといけませんね。


 それはそうと、APとSPの説明を始めたあたりからツバキさんは何度か床を叩き、いくつかのものを出現させていました。


 小さな赤い玉がいっぱいに入った箱と、等身大の人形の腕と、かりかりと音を立てる手のひら大の複雑に歯車の組み合わさった球体状の機械、あとはかわいい市松人形が新しく用意されています。


「ここまでが全種族共通の部分でござった。

 さてここからはお待ちかね、機構人形特有の要素について説明していくでござる」


お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じいただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲

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