4-10使い道
皆様こんにちは。お世話になっております。
からすです。
そういえば、お店では基本的に一度に使える同じ硬貨の数は決まっているそうですね。
だから何というわけではありませんが。
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ギルドへ到着したところで、そのまますぐにマーケットボードへと向かいます。
マケボ前には相変わらず他の方もおらず、人目を気にすることなくお買い物ができそうです。
マケボからウィンドウを開くと、売りに出していた魔石が売れた分の金額が振り込まれた通知が。
これにて資金は比較的潤沢。
かといって、片端から欲しいものを買っていけばすぐに素寒貧になってしまうのは明らかですので、取捨選択は大事ですよね。
お金を掛けたいのは、まず武器。
短剣でソートすると、当然ですが大量の種類の武器がウィンドウに並びます。
どういう検索で探せばいいのか悩みますね。
まずは値段で絞り込みましょうか。
販売価格の上限を六万に設定し、下限を一万に。
こうすればある程度以上のものだけを絞り込めますよね。
結果は、まだ二百件以上の武器種が並んでいる状態。
少し数が多いですが、一応、出品数順に並び変えて上から眺めていきます。
色々と条件が噛み合わず、しばらく眺めていましたがこれというものがありません。
検索をさらに細かく指定して、探していくことに。
STRの上限、補正が掛かるステータスの指定、短剣使いのアビリティレベル等々。
いくらかの指定をした結果、最終的には二十四件がヒット。
これくらいなら全部確認していけばいいですね。
出品が無い装備も含めて確認していきます。
気になったのは、『ルフェリアンスティレット』と『模造・魂転の刀』
どちらも攻撃にTECで補正が掛かる武器ではありますが、スティレットはそのほかにLUCに、刀はAGIに補正が入るようになっていました。
また、装備にはランダムなのかわかりませんが、他にもいろいろな効果が付いており、スティレットの場合は数十の出品があるので本当に多様ですし、効果の種類によって販売価格がかなり違います。
基本的にはプラス効果だけが付いているものは高くて、マイナス効果も付いているものは安くなっているみたいですね。
二つほど、マイナス効果しかついていないものは、他の三分の一程度の値段で叩き売られていました。
刀の方はそもそもの出品が三件しかありません。
同じプラス効果の品が二件、マイナス効果のみのものが一件で、製作者は同じのようです。
値段的にはスティレットのプラス効果のみが付いたものの中での最安値の品と、刀の一番高いものがほぼ同じ値段といった感じ。
スティレットの方は、効果は様々ですが、めぼしい所では致命的な攻撃になる確率がわずかに上昇する効果が付いたものと、武器耐久が少し増加する効果の付いたものが、マイナス効果なしで大体三万から四万。
あとは、マイナス効果に武器耐久の減少が付いていますが、致命的な攻撃の威力を少し増加させる効果の付いたものも四万少しで出品されています。
刀の方のプラス効果は、武器耐久の消費が増加する代わりに攻撃のごく一部のダメージを対象の耐性を無視して与える、という効果で、マイナス効果が武器耐久の減少と、攻撃性能の低下がそれぞれに付いています。
マイナス効果のみのものには武器耐久の減少が付いていました。
刀は全て同じ製作者のようですね。
刀の方が補正も攻撃性能も若干優秀で、AGIは羽々流々にも影響してきますから、こちらの方が性能的にはいいのですけど、いかんせん効果が。
それなら、貫通効果よりも武器耐久減少と致命威力増加の効果が付いたスティレットの方が良さそうですよね。
こちらにしましょうか。
他にもいくつかの武器種を眺めてみましたが、結局それら以上にめぼしいものは無く、確定。
購入を決定すると、ルフェリアンスティレットがアイテムボックスの中に引き渡されます。
早速、と装備してみると、装備のされ方自体は以前の短剣と変わりなく、ベルトに鞘、といった感じ。違いは鞘が筒状の細長い形なのくらいでしょうか。
花の意匠が彫り込まれた銀の柄に手をかけ鞘から抜いてみると、鞘の形通りの細長い剣身が現れました。
半透明の青白い両刃の剣身は、武器というよりはペーパーナイフか何かのような印象を受けます。
数値的にはしっかりと攻撃用の武器なので問題は無いのでしょうが、折れないか少し不安になるくらいの華奢な見た目ですね。
一通り眺めたら鞘へ戻し、再度マケボへと視線を戻します。
お金は後二万ほどありますので、防具や装飾品の類の装備も欲しいです。
特に靴。
それらの装備の類は一部を除いてアビリティの合計レベルによる制限が掛かっているため、今の合計レベル以下の範囲で探していきますが、これもまた数がかなり多いので色々と条件を指定して絞り込んでゆきます。
しばらくウィンドウとにらめっこ。めぼしいものをピックアップ。
お金に関しては二万に収めようと思っていたわけでは無く、気にしていなかったのですが、各々一品ずつ買っても一万と少しくらいで収まるくらいになりました。
防具・装飾品系の装備品は安いですね。
もちろん高いものは高かったですが、高いものの大半は効果重視というより見た目装備の類でした。
効果で高いものは、そもそも私のレベルではまだ装備できないのでしょう。
内訳は、タートルネックの様な黒に赤で花柄の刺繍が入った服に藍色のズボン。上に合わせるために黒が良かったのですが、似たような装備で黒は無かったのですよね。悲しみ。
そこに銀色の入ったベルトも合わせることに。
靴は赤黒の皮っぽい質感の少し丈の長めなブーツがあったのでそれに即決。
そのほかにはカーキ色の丈の長いコートと、装飾品のイヤリング二つとネックレス。
これらでしめて15060 C也
効果より見た目で選んだ感が否めませんが、それぞれの装備自体の効果としては、基本の防御性能の他にもDEF補正のダメージ軽減や移動阻害効果の低減、ステータス値のわずかな増加といったシンプルですが堅実な効果がついているものを選びましたし、十分ですよね。
それにしても武器とは違って個々がかなり安くて助かります。
まとめて購入し、早速こちらも装備変更。
新しく買った方の装備へ変更すると、今着ていた古布装備は解け置き換わるように変更されてゆきます。
一瞬脱げるのかと思ってびっくりしましたが、そんなことは無さそうで安心しました。
試着ウィンドウでどうなるかはわかっていましたが、中々にスタイリッシュでいいのではないでしょうか。
満足です。
これで一先ずは揃いましたね。
一応、装飾品の類はまだいくらか付けられるとは思いますが、ちゃらちゃらするのもあまり好ましくはありませんから。
わずかな効果より、そこらへんは見た目を優先。
見た目重視とはいえ、手袋も含めて内側は全体的に黒なのでお洒落かどうかと言われると微妙な所です。
おしゃれセンスが欲しいですね。
結局いつも黒っぽいものを選んでしまうおしゃれセンスの無さに気付いてしまいましたが、きっとそのうちセット装備とかで、お洒落になれると信じていましょう。
さて、お金が五千と少しになってしまったので、やはり補充は必要になりますよね。
手持ちの『霊晶片の微小魔石』は十個。
今は使い道が無く、自身で使うのであれば普通の魔石で十分、ということで半分の五個は売ってしまうことにしました。
残り半分はへそくりです。
マケボから五つの魔石を出品。
これで売れれば十五万ちょっとになります。
それだけあれば何を買うにしても十分ですよね。
なんて、無計画に使っていたらすぐになくなってしまうでしょうけど。
マケボ前を離れ、気になっていた奥の露店通りを覗いてみることにしました。
お金はあまりありませんから、衝動買いしてしまうことは無いと思いましょう。大丈夫。
普段はあまりよく見ておりませんでしたが、アーケード上の屋根の下、まっすぐ奥まで伸びてゆく道の左右には、棚に机に地べたに、様々な様子でアイテムを並べ販売している方々が見受けられます。
勝手に開いているのか、それともどこかにお願いしたら許可証のようなものが貰えるのか、そこらへんはわかりませんが、中には明らかにプレイヤーと思われる方も多くいらっしゃいます。
プレイヤーさんは見た目が異質な場合も多いのでね…… わかりやすいです。
眺めながら歩いてみると、ここは露店というよりもフリーマーケットという方が雰囲気としてあっているように感じました。
売り方もそうですが、売っているものも様々で、何に使うの? と思ってしまうようなものを見かけた時にはついつい手に取ってみたくなってしまいます。
比較的多い印象を受けたのは、やはり薬品系と武器・防具系。
次いで色々な素材。
魔道具の様なものやよくわからないものを売っている方は本当にちらほらと見かける程度です。
空き場所無く立ち並ぶ露店を眺めていると、少し気になってしまいますよね。
商人ロールプレイは別として、マケボではなく露店で売るメリットって何かあるのでしょうか?
流石にここにいらっしゃる全ての方が商人ロールプレイをしているわけではありませんよね? おそらく。
ぼんやりとそんなことを考えながら歩いていると、しばらくしてアーケードの端に到着。
端は解放されており、出た先には何となく見覚えのある街並みが。
どこでしょう? とマップを確認してみると、現在地はオーリナさんのお店の付近になっていました。
すぐそこに見えるほどではありませんがマップ的にはかなり近いです。
こんなところに繋がっていたのですね。全然気が付きませんでした。
そう考えると、ギルドの位置的に中央通りに並ぶお店の裏側に街を横断するように真っ直ぐ伸びているのでしょう。
道理で長いわけです。
何となく納得し、来た道を戻ることに。
道中、遠目に気になった露店に寄り、並んでいる商品を見てみます。
素材系のお店や何を売っているかわからない様なお店が中心ですね。
なにこれなお店は、何を売っているというわけではない様で、ドロップ品から使いかけの回数付き消費アイテムまで雑多に並んでおりました。
何件か見ましたが、どこも他にお客さんもおらず、店番さんに話しかけられるかな、と少し身構えていたのですがそんなことは無く、冷やかしは少し申し訳ないですし、ちょこちょこと面白そうなものを購入しつつ眺めていました。
買ったものは、植物の種や布、装飾のチャーム等といったもので、植物の種は照会のスキルで見たことがない植物でしたし、どれも買って損したとは思わないものばかりです。
他は素材系を売っているお店を見てみたかったのですが、店先には結構人がいらっしゃって、割り込んでいく勇気がなく、遠目に見るだけですませてしまいました。
見た限りでは私も採取したことのある素材を含めて色々な素材が並んでいて、活発に取引をなさっているように見えました。
そういえば、驚いたのは時折並んでいた武器箱・防具箱ですね。
あれらはマケボでは出品できないものなのですが、こういったところでは販売できるのですね。
価格はちらりと見ただけでも平均3000 C前後で取引されており、意外と高いですよね。
一部、露天の中にはなんだか桁が三つ四つくらい違うお店もありましたが、そのようなお店はかなり少なく、ほとんどは手の届く値段設定のお店でした。
これはここが最初の街だからなのか、他に理由があるのか。
そのほかは特に気になるものもなく、マケボ前まで戻ってきたところで、意外とゆっくり見て回っていましたし、もしかすると既に魔石が売れているかもと思い、確認してみます。
すると、五個のうち二個が売れたようで、六万と少しが振り込まれます。
ただ、出品した後に少し相場が下がったのか私より安く出品している方がかなり多く、このままの設定だと売れなさそうでした。
出品時の相場が少し高かったので、下がったというより戻っただけですが。
値段を設定しなおして、マケボ前を離れます。
ギルドでしておきたかったお買い物も済ませましたし、お次ましての作業に移るとしましょう。
ギルド内を移動し、なるべく広くて邪魔にならなそうな場所の端っこに移動しました。
なにがしたいかと言えば、ドロップ品が色々とあるのでそれを使って何かできないかな、と思いまして。
とりあえず周りを見回し、ひと様の邪魔にならないことをしっかりと確認したうえで、バッグから簡易作業台を取り出し、作製画面を開き手持ちのレシピの中に編集でドロップ品の使えるものはないか確かめてみます。
すると、ウエストポーチだけは毛皮を布の代わりに、尻尾を装飾品として編集することができるようです。
素材を変えるとそれだけで製作の難度がぐんと上がりますが、ステータス的に作成可能な範囲内には収まっています。
ただ、他の細々とした編集は出来そうにありませんね。
簡易作業台でなくとも、作製可能難度に収まらないと思います。
アビリティのレベルが上がったら裁縫道具も更新した方がいいのでしょうね。
今はまだ低いですからいいものに更新しようとしても装備条件に弾かれてしまいますからこのままでいくしかないですけど。
色々作ってレベルを上げていかねば。
そうとなれば早速、素材とレシピを買ってくるとしましょう。
角うさぎや森狼の毛皮や尾を使ったレシピは保存しておいて、作製画面を閉じ、『&C‘s』に向かうことにして、簡易作業台を仕舞いました。
お読みいただきありがとうございます。
次回からは五章です。
もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。
あとブクマとかも(強欲
追記.
誤字報告いつも本当に感謝感謝でございます。