4-9お買い物
皆様こんにちは。お世話になっております。
からすです。
そういえば、カタツムリはコンクリートも食べるそうですね。
だから何というわけではありませんが。
●〇●〇
「あいよ。これで、整備と修繕は完了だよ。確認してみな。
あとは…… 手入れはしていくかい?」
そうですね。そちらもお願いしてしまいたいですね。
どうしましょう。
とりあえず特化もいいですが、低い所も上げたいと考えると結局全部上げたいのですよね。
ただ、あまり数が多いと、想像以上に時間かかりましたよね。
効率、効率、と言うつもりはないのですが、それでもステータスが上がらないとできないことも多いですから、やはり遠出をしないのであれば少しずつ上げていくのがいいのでしょう。
なにが欲しいかと言えば、ほぼ初期値のSTR(筋力)、DEF(防御力)、あとは羽々流々を多用しているにしては比較的低めなAGI(俊敏性)、といったところでしょうか。
ふむ。
正直DEFにはあまり困りませんでしたから、そこは省いてしまってもいいかもしれません。先に欲しい所をさくさくと上げておきたいですよね。
STRは短剣の場合火力に影響しないとはいえ、結局装備品を装備するのに必要になってきますから、そこは外せません。
となると、今のところはSTRとAGIの二つの優先順位が高いですか。
ハツメさんへ、その二つを上げていただくようにお願いをすると、人形たちが、右腕と右脚に触れて作業を進めてゆきます。
作業が終わり、ステータスから『○○+○(0%)』の表記があるのを確認。
表に戻るところで、今は修理に出しているハーフマントに付いていた劣等品質付与について聞いてみることにしました。
劣等品質付与についてはハツメさんも、劣等品質だから付いている状態で内容は色々、としか言いようがないそうでしたので、ハーフマントに付いていた『存在否定』の効果についての方をお聞きしてみることに。
曰く、存在否定は所有者や製作者が完全に認識されなくなった製作物に発生する状態で、直接的な効果は、そのアイテムに発生する効果が完全に消滅する、というものだそうです。
効果というのは、装備品であれば防御力や攻撃力その他のすべてを含み、存在否定が付いてしまったものはあってもなくても変わらないものとなるようです。
ただ、見た目だけはそのままだそうなので、聞いていると、お洒落の為にわざと存在否定を付けるようなことをする方はいそうな印象です。
意図的に付けることができるのかはわかりませんが。
あと、存在否定の付いたアイテムは、元の品質に関わらず全て劣等品質、という表示になるそうなので、あのハーフマントももしかしたら元々は良い品質だったのが、存在否定が付いたから劣等品質になっていたのかもしれませんね。
お礼を言ってからもう一つ、創作系アビリティによる整備や修繕についてもお聞きしてみます。
創作系にあるはずなのですが、裁縫師を持っていてもそんなスキルはありませんから、気になりました。
聞くと、整備や修繕は、かなりレベルが上がらないと習得できないスキルだそうで、具体的にはレベルが8か9になると習得できるようです。
差があるのは、習得できるスキルによって違いがあるためのようで、ハツメさんの場合は、木工師派生の人形師の『意志ある望み』というスキルがそれに該当するのだそうです。
『整備』や『修繕』という定まったスキルがあるわけではないのを初めて知りました。
レベル8、9ですか。
レベルは上に行けば上がりづらくなるでしょうし、まだまだ先ですね。
再度お礼を言って、その場を後にします。
そのままオーリナさんの所へ。
魔工炸裂板は先の戦闘で使い切ってしまいましたから一つの攻撃手段として補充しておきたいのと、あとは時計かタイマーが欲しいです。
スキルの効果中はポップが出ていますからいいですけど、CTが分からないのですよね。
効果時間とCTに隙間があるスキルもいくらかありますし、CT管理に何かあればいいのですが。
すぐにオーリナさんのお店へ到着し、店内へ。
正面奥のカウンターには、珍しくオーリナさんの姿が。
ただ、カウンターに枕を置いてそこへ頭を預けすやすやと眠っております。
起こすのはしのびないですが、対応していただきたいのもまた事実。
驚かせないように優しく声を掛けます。
そこまで深く眠っていたわけではないのか、少し声を掛けただけですぐに目を覚ましたオーリナさんが軽い謝罪と共に枕をカウンター下に仕舞い対応してくださりました。
まずはMPコンバータを外し、強化をお願いします。
必要な素材は、今回も赤鉄鉱が十二個。時価相場で3220 Cになりました。
必要数が結構増えてきましたね。
支払いウィンドウに承認を押して決済を完了します。
臨時収入があったのでよかったですが、結構お金が溶けていきますね。
今後どんな素材が必要になってくるのか少し気になってお聞きしてみると、しばらくは赤鉄鉱の必要数が増えるくらいで他の素材が必要になることは無い、とのこと。
その後も、基本的には鉱石系、あとはその時のMPコンバータの状態次第で色々必要になってくるのだそうです。
今後も鉱石系素材が多く必要になってくるのなら、お金での解決もいいですが、本格的に採掘師の習得も視野に入れておきましょうか。
鉱石系以外で必要になってくる素材は、よほど特殊なものでなければ在庫やマケボにありますが、そういったものが必要な場合は強化の為に取ってきていただく場合もある、と言われましたがそれはかなり強化を重ねた後のお話だそうなので、今は気にしなくてもいいですね。
そんなお話をしながらも作業を進めていたオーリナさん。
すぐに作業も終わり返却されたMPコンバータに『変換効率10%向上 (0%)』の表示が付いているのを確認し、装備。
これでお財布の中身は19000に少し足り無いくらいに。
今欲しいものは魔工炸裂板と時計かタイマー。
あと、実用性があまりないのはお聞きしましたが、魔工炸裂板の様な何か攻撃になりそうな何かがあれば手段の一つとして持っておきたいですよね。
棚の方で購入すればよかったのですが、他の方もいらっしゃらなかったので、そのままの流れでオーリナさんへ魔工炸裂板を1スタックお願いし1000 Cで購入。
次いで、スキルのCT管理の為に時計かタイマーの様なものがほしい旨をお話しすると、オーリナさんが棚の下から幾つかの装備を取り出し、カウンターへ置きました。
見た目としては、懐中時計と腕時計、指輪、イヤリング、そして眼鏡。
順に説明をお聞きすると、懐中時計と腕時計はどちらも時間を見るアイテムで、懐中時計はゆっくりと動く針とそれよりは早く動く針の二本があるタイプ。腕時計は遅い方の針のみのタイプでした。
おそらく現実の時針と分針に当たるのでしょう。この世界の一日は確か10時間無いくらいだったような感じですので、秒針にしては遅すぎますし。
指輪とイヤリングがタイマーでした。
時間を設定すると通知でお知らせしてくれるアイテムだそうです。
CT管理にはこちらの方がいいですね。
眼鏡は、設定したスキルの発動とCTを視覚的に通知してくれるアイテムだそうで、説明を聞いただけではよくわからなかったのですが、使わせていただくと効果発動中の設定したスキルが小さなポップで視界に表示され、使用可能な場合はスキルの横に使用可と表示され、発動中はスキルの横に有効、CT中の再使用が可能になるまではスキルの横に使用不可と表示が出るようになっていました。
お試しの限りではとても便利そうなのですが、問題として、これらは魔石を使って動かすのですが、時計、タイマー、眼鏡の順で一つの魔石で動かせる時間が短くなっていくため、眼鏡は常用していると半日持たないくらいだそうなので、魔石の消費が激しそう。
また、眼鏡はかなり耐久性に難ありということで、攻撃を受けるとかなり破損しやすいようです。
消費はまだしも、本当にCT管理をしながら戦いたい時というのは、そもそも激しめの戦いでしょうし、壊れやすいのはいただけませんよね。
あと高いですし。
便利ですけど、タイマーでいいでしょう。必要十分。
指輪型のタイマーを二つ購入。二つで4000 C也。
左手指へ装備しておきます。
次に魔工炸裂板の様な攻撃手段や武器になる魔道具について聞いてみます。
どんな戦い方をするのかを問われ、今はバックアタックや致命攻撃で火力を出していることを伝えると、少々思案の後、少し待っていてくださいね、と言って一旦奥へ。
武器として魔道具を使うのはあまり実用性が無いとお聞きしていたので、あまり期待はしていなかったのですが、意外にもいくらかあったようで、戻ってきたオーリナさんの手にはいくつかのアイテムが。
カウンターの上に置かれたのは、黒色の小さな正方形の箱と30 ㎝位の細長い鈍色の棒、そして包帯のように丸められた黒色の何か、の三つでした。
黒色の小さな箱は、ハードショットの魔道具。
魔石と弾をセットすることで、魔力で弾へ『障壁』と『加速』を付与し、『エアロショック』の魔法の圧力で弾を打ち出す魔道具とのことです。
射出に耐えられれば、弾はなんでも大丈夫で遠距離からも攻撃できて、威力もそこそこ。
問題は一つの魔石でもって数発。威力が魔石の品質に依存することと反動が大きい事。
ステータスによっては大きくぶれる上に、ノックバックが入ることがあるそうです。
今私が持っているくらいの魔石ではそんなことは無いようですけど。
見た目はそうは見えませんが完全に銃ですね。
使う使わないは別にして、持っていてもいいかもしれません。
細長い鈍色の棒は、『貫く針』。
この棒で対象に突き刺すように攻撃すると、接触した時に接触点に『無垢なる衝撃』の魔法を発生させて表面を破壊、その後指向性の『無垢なる衝撃』によって対象を貫くそうです。
説明を聞いただけではよくわかりませんが、なんか強そうなのは確か。
致命的な攻撃の威力を大きく上げてくれるらしいので、致命攻撃にはぴったりですね。
魔石の消費も比較的小さいそうですが、問題は、STRが足りないと攻撃の時に手からすっ飛んでいってしまうのと、刺さったものによっては抜けなくなることがあるそうです。
この世のどこかには抜けなくなった貫く針が……
威力はこちらも魔石の品質に依存し、必要となるSTRもそれに伴って増えていくそうです。
今私が持っている程度の魔石であればSTRが10少しあれば十分らしいので、使えはしますね。
魔石の消費がそれなりに小さいのであれば、手段の一つとしてこれも良さそう。
最後の帯のように丸められた黒色の何かは、『眠る剣』。
起動すると一枚のごく薄い板になり、鋭利な刃物として利用することができるようになり、致命的な攻撃の威力を大きく上げてくれる、とのこと。
貫く針が突き限定、眠る剣が斬撃限定なのですね。
問題は耐久性で、攻撃した対象の耐性次第ではすぐに壊れてしまうそうなので、硬そうな場所はこれで攻撃しない方がいいそうです。
今は相手に発見されていない時しか致命的な攻撃の指示が見えませんし、初撃を硬くなさそうなところに当てるのはそこまで難しくないのではないでしょうか。
そう考えると、これも良いですね。
ふむ。
オーリナさんの紹介がとても上手で、全部欲しくなってしまいます。
値段が、
ハードショットの魔道具が8000 C
貫く針が3000 C
眠る剣が3000 C
で、丁度買おうと思えば全部買えてしまうのですよね。
うん、水属性魔石貯金も沢山ありますし、今マケボに出品している魔石が売れていればそれだけで六万はすぐ手に入ります。
それで普段使いの装備更新には十分ですよね。
この後ドロップ品を使って何か作ってみたいので、衣料・裁縫品のお店『&C’s』で素材もある程度補充しておきたいところですが、まぁ、六万もあれば足りますよね。
足りなければまた幾つか魔石を売ってしまっても良いですし。
決めました。
オーリナさんへ全て購入する旨をお伝えして、14000 Cの支払いを済ませます。
これらは装備品ではなくてアイテムなので、バッグに仕舞っておきましょう。
そういえば、今魔石のことを考えていて思ったのですが、属性魔石って何に使うのでしょうね?
霊森狼からも魔石を入手したわけですが、実は使い道って知らないのですよね。
シノは属性魔石でしか動かせない魔道具があると言っていましたから、魔道具の事なら、オーリナさんです。
ふと思い至り聞いてみると、水属性の魔石は、食品アイテムの状態維持のための魔石や温度の高い場所での活動の際に使う魔道具に用いられるそうです。
そういうのは氷属性のイメージですが、水属性なのですね。
氷だと凍っちゃうと言われましたから、そういうものなのでしょうね。
霊森狼の魔石については属性的には霊属性に分類されるようです。
霊属性の魔石を使うような魔道具は数が限られていて、その中でも微小魔石となると、『導きの灯火』という暗闇の中で一度通った道を照らす効果のある魔道具に使えるそうですが、マップでよくない? と思ったのは私だけでしょうか。
案の定、せいぜいが複雑に入り組んだ洞窟内で使われる程度で、あまり使われることもないらしく、そんなわけで普通の魔石と同じような感覚で使ってしまってよさそうです。
レアだと思ったのに、なんだか少し残念ですね。
となると、あれで手に入ったのは効果のない装備品とほぼただの魔石。そしていくらかの素材ということですか。
実際、手に入った中で有益なのは素材位なのかもしれませんね……
まぁ、言っても最初の街の近くの森のボスでもなんでもないはずのモブなのですから、そんなものでしょう。
ステータスや装備品が育ったら簡単になるやつですよ。
あとは特に気になることもありませんでしたので、オーリナさんへお礼を言ってその場を後にします。
この後は、お金が1000 Cを切ってしまいましたから、流石にマケボに出品している魔石も売れているはずですし、回収してから装備を整えましょう。
マケボの奥の露店にも行ったことありませんし、覗いてみてもいいかもしれません。
あの露天はプレイヤーさんがやっているのでしょうかね?
『&C‘s』に行って新しいレシピも欲しいです。
あとは、採掘師とか薬師とかのクエストも受けるだけ受けておきたいですよね。
そんなところでしょうか?
フリークエストが果てしなく放置されておりますが……
何はともあれ、まずはギルドへ向かい、歩み進めます。
お読みいただきありがとうございます。
もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。
あとブクマとかも(強欲