4-3戦闘模索
皆様こんにちは。お世話になっております。
からすです。
そういえば、蚊取り線香は除虫菊という花を捨てたらハエがいなくなったということからできたそうです。
だから何というわけではありませんが。
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さて、戦闘してみましょうか。
新しく手に入れたスキルの確認もそうですけど、そろそろ各種スキルに慣れておきたいところですよね。
まだコンボというほどの組み合わせを作れるほどではないですけど、こういう状況ではなるべく発動させておきたいとかそういうのを確認しておかないと、なにかをしている時、それこそ戦闘の様な意識がそちらに向いている時に使えないでしょう。
今の所、使えそうなスキルは……
固有アビリティの『最適化』と『芸術を解す機械』はアクティブスキルなので意識的に使わないといけません。
最適化でのステータスの底上げは必ずやっておきたいですね。
短剣はTECでも攻撃力になりそうですし、戦闘時でも作業適化でいいでしょう。効果時間も三十分ありますし、CTはありません。
発動時にわずかに劣化が進行しますが、まぁ、それくらいなら。
そう考えると、よほどの長期探索でもなければ切れたら使う、でいいしょう。
このバフには『伝導体』のスキルである『伝達』系の三つが掛かる形ですね。
今の所、バフの効果を上げてくれるスキルは『効率的な伝達』と『精密な伝達』と『有機的な伝達』の三つです。
芸術を解す機械の適用条件は曖昧なので、戦闘行動に対して何か効果があるのかは実際に使ってみて要検討、と。
『知識』の方のスキルは、一度見れば普通に詳細が見られるようになってしまって同じものには再使用が出来なくなってしまうので、新しいものを見つけたら積極的に使っていきましょう、というぐらいですね。
これはもう、とりあえず試してみて常に、まずは使う、を習慣付けていきたいですね。そうしないと存在を忘れそうです。
伝導体は勝手に上がるでしょうから気にしなくてよくて、『裁縫師』はパッシブの『憧れ』で裁縫道具の装備時にステータスにバフが付いているのですね。
似たような成長の仕方をしていた『短剣使い』の方も同じようで、同様のバフが付いています。
『惜しまぬ強縫』は作製の時に使うスキルですから平時は気にする必要がありません。
短剣使いの『幻影の稀撃』は、『羽々流々』の新しいスキル『風の声』と合わせて今から試してみるので、いいですよね。
『採取者』は採取に対するパッシブなのでそのうち上がるでしょう。
『解体』も致命的な一撃を入れたときのパッシブなので、気にしなくていいですが、そういえば致命的な攻撃って、狙って出すことってできるのでしょうかね?
短剣使いの習得クエストの時はここに攻撃をすればいいですよ、みたいな印が出ましたけど、今の所、敵モブにそんな印が付いているのは見たことないですよね。
意図的に出そうと思ったらLUCを上げるしかないのでしょうか。
あるいは、生物的に致命的な位置を狙って攻撃すれば致命的な攻撃になるとか?
余裕があれば試してみるのもいいかもしれませんね。
あとは、糸のアビリティ『意のままに』です。裁縫で使えるだけで十分ではありますが、一応、裁縫以外での使い道を考えてみましょうか。
例えばですよ?
短剣を手に、オーリナさんの所で買った『乙女の長髪糸』から糸を出し、短剣の柄へ巻きつけます。
失敗すると武器無しで戦うことになりかねないため、しっかりとなにもないことを確認したうえでその方向へ短剣を投擲。
勝手にMPが消費されていき、MPが4消費されたところで、短剣は直線状にあった木にぶつかり落下します。
ナイフ投げみたいに刺さったらかっこいいですが、むずかしいですね。
投擲系のアビリティを習得すればうまくいくのでしょうが、投げ運用がしたいわけではないので。
ここまで長く伸びてしまうと、アビリティの効果では操れないので、魔道具の効果で伸びた糸を腕に巻き付ける様に回収していき、落下した短剣を回収。
釣りでもしている気分です。
これはオーリナさんのおっしゃっていたよく使われる利用法ですよね。
次は、投げて空中にある状態で、魔道具の効果で操ってみましょう。
なるべくゆっくり飛ぶように若干上方向を狙ってぽーんと投擲。
短剣が空中にある内に。
結果は、何とか動かすことはできたのですが、糸の結びつけてある柄に力が掛かったのか、空中でくるくる回り始める短剣を作り出しただけでした。
軌道なんかを変えられたらと思ったのですが、糸の力が弱くて無理ですね。
アビリティで操れるのはMP的に大体一メートルです。その範囲でならある程度振り回せますが、それも、力点が短剣の柄にあるため振り回していないと剣先が地面を向いてしまいますし、何より結局、手の届く範囲でしかありません。
それ以上の範囲はMPが供給できないのでアビリティではなく、魔道具の効果で操れる弱くて簡単な事しかできなくなってしまいます。
因みに、鎖鎌ならぬ糸短剣が出来るのでは、と思い振り回したら糸が切れました。
短剣が茂みに飛んでいってしまい慌てましたよ。
糸単体でなにかに巻き付けて勢いよく引っ張れば切れるかな? とも思ったのですが、そもそも魔道具では足元程度の近距離ですら巻き付いて戻ってくるという操作はできませんでした。
まぁ、試しに足元の草へ一周巻き付けて勢いよく引っ張ったら、また糸が切れたのですが。
やはり裁縫くらいにしか使えないでしょうか。
ぷらん、と糸に括りつけた短剣をダウジングでもするかのように揺らしていて、ふと私も人形師ハツメさんのように、操り人形ができるのではと思いました。
戦闘には全く関係ありませんが。
ハツメさんは糸を使って操っているわけではなさそうでしたが。
チュートリアルでいただいた人形を取り出し、魔道具の糸は切り離せませんし、一本でやろうとすると長くなりすぎてアビリティでは操れないので、バッグから糸を取り出し、人形の手足に括りつけていきます。
四本なので、MPの消費は4。先ほどから使っているために、残りも4しかないのですが、なけなしのMPを消費して操ります。
まとめて持っていると混線してしまうのかうまく操作できなかったため、一本ずつ指に繋いでいくと、思い通りに動かすことが出来るようになりました。
楽しい。
それはそれとして、とりあえず糸のアビリティとスキルは戦闘にはほぼ使えなさそうということがわかりましたね。
そうなると、結局のところ探索時は基本的に、最適化のスキルはちゃんと発動して、照会と請求さえ忘れないようにしていれば、もったいない使い忘れはなさそうですね。
あとはモブたちと戦闘してみて幻影の稀撃と風の声の確認がてら、ドロップ品集めでもしていきましょうか。
角うさぎさんはまだ一つドロップしていないアイテムがあるんですよね。
森狼はまだ毛皮しか入手したことが無いので、まだ三種が伏字です。
この森では、角うさぎと森狼、あとはハナマユチョウの幼虫、泉の水玉こと微精霊水球しか見かけていないのですが、それ以外いるのでしょうか。
幼虫がいるのですから、ハナマユチョウは確実にいるのでしょうけど。
そんなことを考えながら戦闘を始める前に、MPコンバータに魔石充填します。
一瞬安全な場所とは言い難いのでこの場ではできないかもと考え至り、失敗したかなと思ったのですが、問題なく入れることができて少し安心しました。
MPコンバータを装備しなおし、まずはスキルの『作業適化』。
劣化の警告に了承し、発動、ちらりとステータスを確認すると、TECは驚異の52まで伸びていました。
以前見たシノのステータスと比べれば微々たるものですし、TECが飛びぬけて高いだけで、他は一桁で変動していないステータスの方が多いです。それでも、感慨深いですね。
発動は出来ませんがルーチンとして『照会』と『情報請求』を意識。
その後、続いて『幻影の稀撃』を発動。
発動するかわかりませんでしたが『芸術を解す機械』も発動しますが、普通に発動したようで、身体部品のわずかな劣化の警告が出ましたが、了承すると効率向上と表示された小さなウィンドウが視界の端に表示されました。
裁縫の時はかなり効率の向上を体感できましたが、戦闘時はどのような形で効率の向上が行われるのでしょうね。
最後に『風の声』を。
すると、目の前にいる角うさぎの存在が、視線を外してもここに居る、とわかりました。
単発発動型のようで、数秒で効果は切れてしまいました。十秒無いくらいですね。
範囲は2メートルくらいでしょうか。体感なので正確ではありませんが。広くはないですが狭いわけでもないという感じです。
何となく使い方が想像できました。
一先ず火力の確認として、短剣を手に近場で下草をもしゃもしゃと食んでいる角うさぎに近寄ります。
角うさぎはノンアクティブですので、かなり近づくまで反応もしてきません。
ステータスが上がっていますし、もしかしたらバックアタック補正もかかって一撃、なんてこともあるかもしれませんね。
背後からそろりと近寄り、こちらに気付き振り返る角うさぎに背後から先制攻撃。
ささった部分からダメージエフェクトが発生、ぽんっとダメージ表記がポップします。
ダメージは39。一撃です。
角うさぎから上質な角うさぎの肉がドロップし、光の欠片となって消えていきました。
確か角うさぎさんは26~37の間くらいで倒せたはずですので、意外とぎりぎりなのかもしれません。
何はともあれ、これなら角を折らずに倒すのも難しくはありませんね
なら、避けつつの戦闘も試してみましょうか。
幻影の稀撃はまだ切れていませんね。
新たに近場の角うさぎへ標的を定め、短剣を構えて近寄ります。
バレないように、と意識せずに普通に近づいていくと、割とすぐにこちらが敵対意思を持って近づくのを察知したのか、角うさぎはこちらをくるりと振り向き、額の角先をこちらに向ける様に屈み込むと、ぐぐぐっと後ろ足に力を籠め始めました。
角うさぎの動きをよく見て、ダンッ、という音と共に飛び掛かってくる角うさぎに対し風の声、羽々流々の感覚に従って避けつつ、横をすり抜ける瞬間に短剣を振ります。
本来であれば、風の声によって位置が分かるとはいえ、私の運動神経というかセンスというかそういうもので、そんなのが当たるはずがありません。
事実、手には当たった様な感覚もありませんでしたし。
つまるところ、運が良かったのでしょう。
ゲーム内のLUC値なのかリアルラックなのかはわかりませんけどね。
通り過ぎざまに視界に映ったのは空中に漂う56のダメージポップ。
角うさぎだった光の欠片は流れ星のように軌跡を残し消えていきました。
感動、というには少し違うのかもしれませんが、達成感? というのでしょうか。何となく、してやったり、みたいな。
そんな感覚に止まりました。
こういうのを残心、というのでしょうか。
いえ、意図的に感覚を残すことを言うのですから、やはり感動、でいいのでしょう。
そんな感動もすぐに落ち着き、今起こったことを考察してみます。
とはいっても少し考えれば難しいことはありません。
当たった気がしない、認識では角うさぎの飛んでいた場所とはかなり見当違いな場所に短剣を振ってしまっていたのにもかかわらず攻撃が当たったのは、幻影の稀撃の効果でしょう。
そして、あのダメージは致命が入ったのでしょうね。
それだけといえばそれだけです。
運よく羽々流々の歩法と風の声、幻影の稀撃と致命が噛み合った結果です。もしかしたら芸術を解す機械も何か影響したのかもしれませんが感覚的にはわからないので。
さらに、これは、アビリティ『解体の才』の効果、と。
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『角うさぎの純白尾』
広く分布する角うさぎの角を折らずに倒すことで得ることのできる純白の尾。古来より多くの人々に幸運の証として扱われてきた。
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おそらく最後のレアドロップ枠の上質品ですよね?
こうも綺麗に決まると気持ちがいいです。
いまだに少々どきどきしている気持ちのまま、次の標的を探します。
一応MPが切れるまでは何度か同じ戦法でやってみて、そうしたら角うさぎ相手は普通に倒して、今度は森狼へ挑戦してみましょう。
戦闘のたびにMPを消費するのは流石に魔石の消費がもったいないので。
MPはあと10残っているので、あと五体はこのままいきましょう。
ある程度強い敵と戦う時はこんな感じの戦法が基本になりそうですし、慣らしておいた方がいいですよね。
幻影の稀撃が切れる前に、次の標的を探します。
切れてしまえば、幻影の稀撃のCTは六分のようですから、三分は待たないといけません。
戦うのも楽しいですね。
物陰から出てきた角うさぎへ、短剣を構えながら近づいていきます。
お読みいただきありがとうございます。
もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。
あとブクマとかも(強欲