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3-7今日も今日とて成長期

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、『マジ』とか『ヤバイ』は江戸時代でも使われていたそうですね?

だから何というわけではありませんが。

●〇●〇


 部屋へ入室し、扉を閉めて鍵をかけると、中を見渡してみます。

 部屋の中は、幅いっぱいの大きな作業台と、その反対側の壁沿いには天井まで届く高さのある棚。

 明らかに、どちらも扉から入る大きさではないので、建設時に設置したか部屋の中で組み立てた…… というのはさすがに無理があるでしょうか?


 棚に近寄り見てみると、そこには各種取り揃えられた様々な道具が並んでいます。


 ものとしては全てギルド備品と書いてあり、この場所からは持ち出せないようになっているそうですが、この場所でならどれでも自由に使えるようです。


 多くの装備品の並ぶ棚から裁縫道具を見つけ出し取り出して、今持っているものと比べてみました。

 『精度』としては置いてあるものの方が少し高いかな、という程度の品のようですね。


 買わなくてもクラフトスペースに来ればアイテムの作製ができるようになっているのは有難い方も多いのではないでしょうか。


 数値的にはここに置いてあるものの方が高かったので、私も今装備しているものと交換。


 早速、腕によりをかけて作っていこうではありませんか。

 軽く腕まくりをして、作業台の方へ向き直ります。


 作製を始めるには『作製』を意識すればいいのですよね。


 裁縫師のクエストの時のように素材を作業台に上に出した方がいいのかとも思いましたが、そんなことは無いようで、ボックス内に入った状態で大丈夫でした。


 まずは簡単なものから作っていくとしましょうか。

 買ったレシピの中で一番簡単なのはやはり練習用ミニポーチですよね。

 とりあえず、魔石用のミニポーチが必須なのでそれを。


 ポップしたウィンドウから編集・保存したレシピを呼び出して確認。

 作れるのは当然として、ステータスを上げたおかげか、裁縫師のクエストの時の支給品裁縫道具の精度は見ていなかったのでわかりませんが、いずれにせよ今作ることのできる『難度』と編集したレシピの『難度』の間にかなり余裕があるようでした。


 ふむ。

 なんか、こういうのって意味はないですが、ぎりぎりを攻めないともったいない感じがしてしまいます。


 さらにスキルの『作業適化』も発動させTECを上げると、さらに製作可能な難度が上昇しました。


 やはりこの難度はTEC依存の値ということでいいのでしょう。

 ただ、TECの値と全く同じというわけでもなさそうなのですよね?


 ウィンドウとにらめっこしながら製作可能難度ぎりぎりを攻めて編集していきます。

 主に入れられる量を増やしていくように編集。


 枠は増やせないのかな、と考えると、丁度よくスタック数を減らして枠を増やすようにも編集できるようでしたので、どうせ魔石はスタックできませんし、限界まで枠を増やしていきます。

 増やしていくほど難度が急激に上昇していくので、他の所でも調整しつつ編集していきます。


 そして、完成したモデル。

 これは…… 蜂の巣?


 うん、蓋の付いた蜂の巣ですね。

 いえ、あの独特なハニカム構造ではないのでどちらかというと布でできた、あの、ビーズとか入れておく箱と言う方が正しいでしょうか。

 そんな感じになりました。


 機能性にこだわったので見た目もとても質素な感じですし、難度に余裕が出来たら見た目にもこだわれるようになったらいいですよね。


 レシピが決まったら作製開始。


 まずは布。

 裁縫道具から吐き出された万年筆の様な裁断棒を手に取り、使う素材を選択すると、その素材が作業台の上に広がります。


 裁縫師のクエストの時よりも明らかに細かく複雑に多数走る光の線。


 一息ついて集中、丁寧に棒のとがった部分を光の線に沿ってあてていきます。


 浅い溝の様な感覚を感じながら、さくさくと布を裁断。

 一枚目の線を全てなぞり終えると、二枚目。


 細かいパーツは主に仕切りの部分でしょうね。

 思ったのですが、仕切り分けするより、こう、ポケットのたくさんついた一枚布のようなやつで、巻物のようにくるくるっと巻いて紐で縛って、みたいなのって良さそうですよね。

 ただ、それだと別レシピが必要ですが。

 ベースとなるレシピにどんなのを使えばそんなのができるのかは、謎です。


 気合を入れたのとは裏腹に、そんなことをぼんやり考えながらでもできるくらいには楽に裁断は進んでいきます。


 やはりこの浅い溝の様な感覚は有難いですね。

 難度が高くなる、ってどういうことになるのでしょうね?

 難しいものを作ったりすると、この感覚が無くなったりするのでしょうか。

 あるいは、想像できるものだと、この光の線が細くなったり、そういう?


 その時になってみないとわからないですけれどね。

 他の要素が出てくるのかもしれませんし。


 特にずれたりすることもなく、かなりの数のパーツを切り出し終わり、工程は次に移行します。


 裁断棒が解ける様に消えていき、裁縫師のクエストの際であれば縫い針が出てきたところですがここで、裁縫道具の縫い針を使うか、糸繰りを使うかの選択が出てきました。


 現段階ではどちらが良いのか、縫い始める前であれば変更はできるようでしたので、選択して比べてみます。


 そもそもの必要とされる精度が低いので、どちらにしても大して変わらないのですが、その少しの差が大きな差になります。それは高難度でも変わらないのかもしれませんが。


 あと気づいたのですが、レシピ編集の時の難度は縫い針でやる難度になっているようですね。

 今現在でももう、糸操りの方が縫い針よりも精度が高くなるようなので、糸操りで縫えばもう少し難度が高くても対応できそうでした。

 ここら辺、糸操りを使う前提に設定できないのでしょうかね?


 縫いの工程に糸操りを選択し、糸の選択。


 糸操りが裁縫でどういう形になるのか少し楽しみでしたが、指先から糸が伸びていく、ということもなく、布の上の指示点を指でつついていけばそれで縫ったことになるようです。

 点、細かいですし、針の様な細いものでつつくよりよほど大変じゃないですか? とも思ったのですが、『ここの点』と思っただけで、『そこらへん』をつつけば縫えていくためとても楽です。


 この工程はアシストがないわけですが、逆にどういうずれ方というかミスの仕方をするのでしょう。

 運任せ?

 それなら集中すれば正確にできる針の方がいい時もありますよね?


 それとも他に何か要素があるのでしょうか?

 考えると少し不安になってきてしまいます。


 糸操りに若干の不安を感じつつ、つんつん、つんつんと大量の指示点を縫っていきます。


 立体縫製もお手の物。

 出来上がっていくポーチに喜びを噛み締めながら、指示点を逃さないように丁寧に縫っていきます。


 それはもちろんリアルなら、設計図を入れたらある程度勝手にきれいに縫ってくれますよ? でも、そういう話ではないのですよね。

 自分で、こうして手をかけて作っていくから、出来上がるものが可愛いのですよ。


 だからはるか昔からどれだけ経とうと、手芸の類も廃れずに残っているのでしょうから。


 隣り合った点同士を連続していかないと、飛ばしたりすると消えてしまう指示点。

 縫い留める細かいパーツ素材を付けている際に、途中数個のミスをしてしまいつつも無事完成。

 失敗は仕様を知るいい機会でしたし、結果オーライです。


 そうして出来上がったポーチがこちら。


==========

『練習用ミニポーチ』

 収納容量を減少させることで、収納能力を増加させた、アイテムボックスとは独立した収納が可能な、初心者が練習用に作るミニポーチ。

製作者:シロ


品質:高品質

※高品質ボーナス:状態保護効果向上※


※ 一枠につき一つのみ収納可能です

==========


 望み通りにスタックは出来ないものの、入れられる数の多いものが出来ました。

 これでもう魔石にボックスを圧迫されることもありませんね。


 魔石を買い込むことだってできてしまいます。

 お金があればね……


 それはさておき、これは、いい出来栄えと言ってしまって差し支えないのではないでしょうかね。


 満足して完成品を眺めていると、


~ピピピピロリン~


 ……びっくりしました。

 だんだんと聞き慣れてきたレベルアップの音も、重なるとびっくりします。


 何がそんなに一度にレベルアップしたのか。


 確認すると、二つはTECのステータス上昇とMPコンバータの変換効率上昇が完了した音でした。

 レベルアップと同じ音なのですね。


 HPもあと少しですし、すぐ完了しますよね。

 この後また人形師ハツメさんとオーリナさんの所に上げてもらいに行きましょう。


 あとの二つは、裁縫師と糸操り。

 裁縫師はわかるとして、糸操りはそんなに使った気はしませんが、縫う工程でかなり使いましたからそれで、でしょうか。


 とりあえず、変化した内容を確認してみます。


===========

『初心者裁縫師』Lv.0 → Lv.1

 裁縫師の才を持つ者が裁縫を学んだ証


S▼:P 道具の扱い(裁縫)

   P 裁縫師への憧れNew


TEC+4 HP+40

============


 ふむ。

 順当、という感じですね。

 短剣使いの才もこんな感じの変化でしたし。


 『裁縫師への憧れ』の説明も短剣使いと同じで、裁縫道具装備時のステータスがわずかに上昇と書いてあります。

 裁縫道具を付け外ししてみると2上がっていますね。


 今、ステータス上のTECが基礎値で9ありますから。

 正確に計算できませんが、2*5 = 10で1.2倍くらいでしょうか? たぶん? めいびー?


 そして糸操りの方はこのような感じに。


===========

『糸は絡まず』Lv.0 → 1

 その魔力によって操られる糸は、繊細に、絡まない。その者が望まぬ限り。


スキル▼:P 道具の扱い(糸)

     A 綾取り New


TEC+3 INT+1 ※MP+10※


~機構人形~

※MPステータス取得不可。

※MPコンバータの変換効率がわずかに上昇します。

============


 ふむふむ。

 結構変化しました、か?


 新しいアクティブスキルですよ。

 効果は『MPを追加で消費することにより、より複雑な操作を素早く行うことが出来る』となっていますね。


 使い道は、えっと…… あとで考えてみましょうか。


 というか、今ステータスを見て思いましたけれど、各種アビリティとバフの効果によるプラスの値が29もあるのに驚きです。

 いつの間にそんなに増えたのでしょうか。

 少し見ない内に大きくなって。ほろり。


 そして、枯渇しているMP。

 ワスレテタ。


 糸操りを習得した時に、いくらか使って、今縫う時にいくらか使ったので、後2しかないです。

 もう一つ何か作っていたら途中で0になってしまいますね。

 まぁ、作業は中断することが出来ますし、その点問題は無いでしょうけど。


 ざっと、レベルアップしたアビリティのついでにステータス等を眺め何となく把握して、作業に戻ります。


 今のレベルアップで、さらに製作可能な難度が上がったので、今度はお店で買ったレシピの装備品、別枠収納のショルダーバッグとウエストポーチを作っていくことにしました。


 この二つはベースとなるレシピの時点でかなり難度が高かったので、簡易作業台で編集していた時にはそこまで変更を加えることが出来なかったのですが、今ならもう少し変更することが出来そうです。


 あれこれといじっているとすぐに無理な難度まで上がってしまうので、本当に機能だけ追加する形で。


 ショルダーバッグは容量を、ウエストポーチはサイドに完全に収納されない形の収納を付けてみます。


 まずはウエストポーチ。

 作製を開始すると、まずは布の裁断です。

 革と布が使えるようでしたが、今回は布で。


 生地はジーンズ生地の様な目の詰まった厚手の物が必要です。


 生地に描かれた線に沿って裁断棒をあてますが、先ほどまでとは全く感覚が違い、ちりちりと音を立てはするものの、切れるまでに少し時間が掛かるのと引っ掛かりが強く、線に合わせるのが意外と大変。


 力がいるのに、力を掛け過ぎると、引っかかった時にこう、がっといっていしまいそうになります。

 さながらなかなか開かないお菓子の袋。


 そんな布に苦戦しながらも、何とか裁断していきます。


 ものがポーチの何倍も大きいのもありかなり時間が掛かりましたが、パーツの裁断が完了しました。


 続いては縫い。

 どうなるのかと思っていましたら、縫いの指示点がぱっと見ではもはやどこにあるのかすら分からないほどでした。

 小さい……


 ですが私を見くびっていただいては困ります。

 幼少期から極小折鶴を折り続けた私に、この程度の細かい作業何の障害でもありません。


 あっ。

 早速あるじゃないですか、綾取りの使い道。


 でも、こういうのは針の方がやりやすいでしょうか。

 途中でも変えられるならいいのですが、可能なのでしょうかね?


 んー、まぁ、物は試しです。使ってみましょう。


 選択を『糸は絡まず』の方にして、まずは普通に縫ってみます。

 それでも、点をよく見ながらやれば外れることは無いのですが、重ねて『綾取り』を使ってみました。


 すると、ここ、と思ったところに的確に糸が通るようになり、スピードが段違いです。


 針でやっていたら、一か所一か所目を凝らして打っていかなければいけませんから、相当時間が掛かるでしょうし、それは点の数が多ければ多いほどそうなります。

 それに、針は隙間の所の点を打ちづらいですからね。

 これは確かに、『糸は絡まず』便利です。


 とてつもなく大変に見えた縫いも、『糸は絡まず』のおかげで意外とさくさく進み、体感としては裁断よりも楽に終わりました。


 もちろん数はミニポーチよりも多いので、時間自体は掛かったのですが。


 これで、MPも綺麗に0になり、ウエストポーチが完成です。

 全体的に難しかった所為かお陰か、達成感と愛着が段違いです。


 思わずその場ですぐに装備。

 なんだかそれっぽい感じになってきたのではありませんか?


 軽く動き回ってみましたが、特に問題もなく、私にジャストフィットです。

 これが本当のオーダーメイド。


 ~ピロリン~と、跳ねまわっていると、最中にHPの上昇が完了した通知が来た音に正気に戻りました。


 少し冷静になってウエストポーチの情報を見てみます。

お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲

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