表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

人生の転換期

初めましての方も、お久しぶりの方もこんにちは。いつも通りノリと勢いだけで書いちゃったのでとりあえずあげときます。


いつも通りのお約束。

細かいことは気にしないで頭の中は空っぽで呼んでください。ではどうぞ。


厳しい父、優秀な兄達、私と母。つまり私は末っ子で、本来なら可愛がられるべきご令嬢。けれど現実では、兄2人は意地悪だし、父親は私と…曰く優秀な兄達を比べて貶して見下していた。


(そりゃ確かに?ちょっと手先が不器用で、初めてやった刺繍は下手だったけど、そこで私と言う人間全てが失敗作だったなんて言わなくてもいいと思わなくて?4歳になりたての子が初めて作った刺繍のハンカチを、兄達は大笑いして下手と嘲って、挙句父に見せて、父は嘆息してそんなゴミ捨ててしまえと暖炉で燃やした。別に自分でもヘタだと思ったそれを子供可愛さに褒めて欲しいだなんて思わなかったけど、それはそれでショックだったの)


そんな私の救いが母だった。母は優しくて、私の努力を褒めてくれる人だった。だからいい子でいたのに。なのに、母が最期に私に向けた言葉は、ごめんねだった。


(何で謝るの?その謝罪は何の為?

反省?憐憫?同情?後悔?一体何?)


とにかくそれが私に遺した言葉。

そして父は言った。


「お前はこれから何もするな。出来損ないが足掻く事ほど醜い事はない」


母の懐にいたから許容されていた事や物は次々私の部屋から無くなって、私の部屋には本以外にはあまり何も残らなかった。


家族の中で唯一の繋ぎがなくなった結果そこに残ったのは、壊れた個人の集合体。もしくは、一つの家族と家族になり損ねた私。


(あーあー、悲劇的ね。誰か私を主人公に劇でもやってくれないかしら?小説でもいいわ。最近流行り出したロマンス小説とかだと、悲しみのどん底のヒロインを甘いマスクの婚約者が甘やかして癒やしてくれたりするものだけれど。…それだけじゃつまらないわね。私を主人公にするのなら。


ま。いいわ)


来る日もくる日も比べられ比べられ、もうウンザリ。そんな訳で私は学園入学と同時に寮へと入る事にしたの。勿論貴族寮ね。父は体裁の為にメイドを数人付けたけど、正直邪魔なのよね。あの女達、私の父が私に高圧的に当たっているからって、仕事の手を抜いたり私の生活費からネコババしたり、やりたい放題よ?(私が咎めれば、自分たちは私の父親に雇われている父の使用人だけど?とマウント取ってくるのよ。ウザイ)


折角家から出たと言うのに、結局は私はまた家と同じように抑圧された日々を送ったわ。(まあそれに対して出来る反抗をしなかった意気地なしな私も悪いけど)


それでも耐えられたのは、まあ学園での行動時間の方が長かったからね。私の入学の年は貴族の数が少なくて、私より上位の家格の令嬢令息は片手で足りたから、私に媚びへつらう子達がかなり多かったの。


打算とは言えあんなにちやほやされたのは幼少期の刺繍事件前以来ね。(少しはしゃいでしまったあの時の私については反省してやらなくも無いかもしれないわ)


そう、私はお恥ずかしながら舞い上がってしまったのよ。(でも家で可愛がられなかった反動だから。そこの所弁えて頂戴)


だからちょっと、少しだけワガママな令嬢(学内限定)の私は、数年ぶりに同学年に編入してきた特待生の庶民がとても気に入らなかった。


だって、ズルいじゃない。


貴族じゃないのに、

マナーもなっていないのに、

容姿がいいだけで、

勉強が少し出来るだけで、

料理ができるだけで、

優しくて正義感だかに溢れてるだけで、

周りに人が集まって、"本当に"慕ってもらえるんだから。


優しい家族も心安らぐ家もあるだけで憎たらしいのに、同学年の令息達どころか上級生にまで認められて、最近ではあのプライドの高くて自分自身が1番好きで私を貶すしか能のない兄達すら、その存在を気にしている。


(あー、腹立つ)


まあ?そんな私ですけれど?まあ?ノーブレスオブリージュの精神に則り、思うだけで留めて淑々と、高貴な令嬢でありましたとも!


……けれど、そんな私の努力も、我慢も、嘲笑うようにその時は来ましたの。


寮へと戻るのが嫌だから下校時刻ギリギリまで学内で時間を潰してさて帰ろうとした私。階段を降り切って廊下に出た瞬間、すぐそばの教室からものすごい勢いで出てきた何かとぶつかった。私はそのまま座り込むように転んでしまったわ。…汚い。


「きゃあっ!」「いったぁ…!」


痛いはこちらのセリフでしてよ。踏まれたせいで私の足の甲の部分が痛いじゃない!慰謝料ふんだくってやりますわ!


急にぶつかってきた相手を確認して思わず顔を顰めてしまったわ。だってそこには特待生がいたのだもの。……胸元の乱れた。今出てきたの空き教室ね。すぐさまドアを開けると不審な後ろ姿が窓から丁度出ていくところが見えました。…ふーん、へーえ。…そう。


とりあえずと未だ転んで怯えている彼女には同じ女性として同情して手を貸して、読書時の為に持っていたブランケットを羽織らせて差し上げました。


「返さなくて結構よ。明るいうちに帰るといいわ」


そんな慈愛に満ちた私の行動!なんて優しいの!私!


だというのにその翌日、何故か私が彼女を転ばせて挙句制服を破いただなんて不名誉な噂が広がった。取り巻き達は手のひらを返して居なくなった。

(いつかは居なくなると思っていたから良いのだけれど、やっぱり不快ね。誰よ私を犯人扱いし始めたクソ野郎は)


まあ、目星は付いているのだけれど。


「チェルシー!貴様のような女は傲慢なだけでは飽き足らず!努力を重ねる健気な守るべき民にすら手を挙げるとは言語道断だ!婚約破棄する!!」


学内警備騎士の方々、コイツです。


この高圧的に昼休みの人目ばかりの中庭で恥知らずにも私を一方的に罵るこの私の婚約者。子爵家の嫡子という事くらいしか価値のない令息。


顔を見てないんでしょって?いえいえ、見る必要も無かったのですよ。


「構いませんよ。私も無実の罪で婚約者を弾劾する恥知らずなどとは政略結婚だとしても隣に立つなど御免ですもの」

「貴様…!この件は父や母にも、それから伯爵家にも知らせを出す!精々私を愚弄した事を後悔しろ!」

「ご勝手にぞうぞ?…一点ものの香水」


遠吠え…いえ、負け犬の遠吠えのように無駄吠えして私の側を通り抜けようとした際に、元婚約者にだけ聴こえるよう呟けば、焦ったように私を見たけれど振り返ってやる義理はないので私がその場に令息を置いて気分が悪いので寮へと帰りました。


……やっぱり負け犬の顔を見ておくべきだったとそれから直ぐに思いましたわ。


あの下半身のだらしない元婚約者は両親に泣きつくのが物凄く早くて。その晩には私は本家へと呼び出しくらって正式に婚約破棄。元婚約者の母親には私の育ちがどうだとか出来損ないだとか色々言われましたけれど、私も一言言ってやりたかった。


お宅の息子の貞操観念カスですね。


とは流石に我が父も居る前では言葉を選ぶ必要性があり言えませんでしたので、


「密会の時には一点ものの香水はつけて行かないように教えてあげるべきでしたね、夫人?」


と、笑顔で教えて差し上げました。子爵は夫人を思わず凝視、夫人は焦ったように言い訳をしていますが、その態度こそ肯定では?


私を社交界的には傷モノ令嬢にしてくれたことへのちょっとした仕返しにはなったでしょう。どうせあの令息の事ですから、パパとママに事実無根な噂を真実かのように話して、ママの方が過敏に反応してすぐさまこの場を作るようにヒステリー起こしたのでしょうし。気分が良くなったので、後で子爵には間男の商会長とブティックのオーナーを紹介して差し上げましょう。密会現場へご招待!


さて、その後傷心中の私に対して、厳格な父は言いました。


「醜聞を垂れ流したお前を嫁にと望む良家は無い。だが辺境伯が奥方を亡くして久しい。私が話を付けてくるまで自らの行いを恥じて反省していろ」


ですって。

(どう思います皆様?!これが傷心中の娘に対する態度ですか!?刺繍事件から私は重々承知のことですけれど、クズでしょう!?皆様声を揃えて、さんはいっ、クーーズ!!)


…ふう。取り乱しましたわ。失礼。


久しぶりの自分の部屋のベッドに寝転がりふて寝を……埃臭い。あのメイド達またサボったわね!?とりあえず布団を引っぺがして転がしておく。予備の掛け布団が用意されてるのは知ってるのよ。勝手に出してそれを使ってやったわ!


…流石の私も疲れました。


しかし…ああ、思い出しても腹が立つ。

また私には無いものが増えた。


噂は噂でも今回の婚約破棄である種信憑性が出来てしまった以上、事実無根と分かっても私の名誉回復なんて難しい。


(チッ、とんだ失せ物だわ。無くして後悔は微塵もないけれど)


私に今あるものといえばこの身体と寝泊まりする場所、部屋の中の小説達。ロマンス小説でもあったわね、ヒロインを虐めて最後に追放される悪役令嬢が出てきたの。取り巻きを使ってヒロインを虐めるけれど1人ずつ捕まっていって最後に自分が動いて破滅した。悪役令嬢の取り巻きの1人は、ヒロインに足をかけて転ばせて、そこをヒーローに見つかって大勢の前で責められて婚約者からは縁を切られ………ん?


…彼女は物語の序盤で退場して、その後どっかの男爵の後妻にされたのよね?

ヒロインを転ばせた程度で。


………あらあらー、似てるわねー、今の私に。

待って…?似てる?私に?私が?あんな、あんな序盤で切り捨てられるモブ令嬢に!?この私が!!?


はい、皆様ご注目。ここが最近で1番の発見であり、私の分岐点。ショックすぎて結局眠れませんでしたわ。けれどお陰で覚悟は出来ました。


私、悪役令嬢の取り巻きの三流モブ令嬢などになってやるものですか。


どうせなるなら、世紀の悪女に。


「悪いのは世界の方。ヒーローなんてクソ喰らえ。あの特待生(ヒロイン)を、徹底的に下してやるわ」


読了ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ