丸太小屋
「まず君達の名前から聞こうか」
ヴェガ騎士軍の兵士が聞いてきたので、
「私はローレライ」
と、ヒョウの獣人の女が答え、
「アレンです」
と、人族の男が答える。
「ローレライとアレンね。騎士軍の経験は?」
と、兵士に聞かれ、
「騎士軍はありませんが、西の貴族の家でお嬢様の護衛をしていました」
と、ローレライが言う。
「辞めた理由は?」
「お嬢様が嫁がれ、領兵にと言われましたが、そこの領兵達が私を手込めにしようとしたので、襲ってきた馬鹿を、全員倒して辞めてきました」
と、その時の様子を思い出したのか、忌々しそうな顔でローレライが答えた。
「そりゃまた災難だったな。西は国境に面してないから、平和ボケしてると聞いていたが、そのとおりか」
災難だったなとは、いったいどちらの事を言っているのか。
「私は北で騎士軍に入ってました」
と、アレンが言うと、
「そこを抜けた理由は?」
「入ってた騎士軍の兵士が、クズの集まりだったので、心機一転、東に来ました」
と、同じく顔をしかめてアレンが言った。
「クズとはまた、なんと言っていいのか返答に困るなぁ。まあなるほど。で、ここで会って恋人になったわけか」
と言った兵士に、
「はい! そうです!」
「そんな感じです」
と、2人が答える。
「若いって良いねぇ。年上彼女にリードしてもらって羨ましいよ。あははは」
と、兵士が笑った。
そんな感じで、話は進み、2人はヴェガ騎士軍に入軍できる事になる。
「なんとか入れたけど、これからどうするの?」
と、アレンが小声でローレライに聞くと、
「恋人のフリしてれば良いと思う。ここはそういう騎士軍だからね」
と、返事が返ってくる。
「うまくいくかなぁ?」
と、首を傾げるアレンに、
「ヴェガ騎士軍は死亡率が低いのよ。貴方だって、死亡率の高いアウスやバウは嫌でしょ?」
と、ローレライが言い聞かせるように言った。
ヴェガ騎士軍に向かう道中の、2人の会話であった。
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「【君達】の小屋はここね」
と、ヴェガの兵士が言う。
そこは、ヴェガ騎士軍のカップル用の宿舎。
10メートル四方の小さな丸太小屋だ。
小屋の中はソファが2つに、机と椅子がワンセット。
それにダブルベッドが1つ。
「えっと……どうしよ……」
ベッドを見てアレンが戸惑う。
「2人で寝れば良いよ」
と、あっけらかんとしてローレライが言うが、
「え? そんな、2人でなんて……」
とのアレンの言葉に、
「こっからこっちが私で、そっちが君ね。間にシーツ丸めて置いておけば、お互いぶつかったりしないと思うからそうしようね、あと私に手を出したらぶっ殺すからね!」
と、アレンを睨んでローレライが言うのだった。




