表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/100

やっぱりかぁああ!


「じゃあこっち来て、えっと……」

 と、女兵士がセンスに声をかけてくる。


「センスであります」

 と、名乗るセンス。


「ああ、センス上等兵だったわね。私はアイナ曹長よ。よろしくね。まあ、私はジュリア隊だけどね」

 そう言って、手招きするアイナ曹長。


「ヴェガ様、失礼致します」

 と、センスはヴェガに一礼する。


「うむ!」

 と、顎を引いたヴェガ。


 部屋の扉のところで、もう一度一礼してから、部屋を後にしたセンスは、


「アイナ曹長、よろしくお願いします。で、赤鼻隊というのは?」

 と、歩きながらアイナ曹長に聞くセンス。


「赤鼻隊は通称よ。正式にはニッシェ隊というの。隊長のニッシェ少尉の鼻が赤いから、赤鼻隊よ」

 と、教えられる。


「なるほど!」

 と、頷いたセンスに、


「どこも同じだと思うけど、ウチは3つ隊があるわ。赤鼻ことニッシェ隊と、私のいるジュリア隊、それにデニス隊の3つよ。デニス隊は基本的にヴェガ騎士が指揮をされる。副長のデニス少尉の名前をとってるけどね。デニス少尉はヴェガ騎士の長男だから、それも把握しておいてね」

 と、三つの隊を説明した、アイナ曹長。


「ところで今日、戦線に行っていない理由は、何かあるんですか?」

 と、戦時中なのに、ヴェガ騎士軍が街に居る理由を尋ねるセンス。


「ああ、こっちはずっと戦闘状態だから、騎士軍は交代で戦場に行くことになってるのよ。明日からはまた戦場に戻るわよ」

 と、アイナ曹長が説明すると、


「え? でもアウス騎士軍やバウ騎士軍が、兵士募集してましたけど?」

 と、疑問を口にするセンスに、


「あそこは、募集用の人員だけが、街に滞在してるのよ。なにせ突っ込みたがる騎士軍だから」

 と、アイナ曹長が説明して、


「ああ、やっぱりですか。募集人数が多いと思ったんですよ」

 と、自分の予想が正しかった事を、確認出来たセンスだった。


 一旦屋敷の外に出た2人は、屋敷の裏にまわると、


「こっちの建物が独身者用の寮よ。一階が男性、二階が女性の部屋になってるわ」

 と、木造2階建ての大きな宿のような建物を、アイナ曹長が指差して言った。


「はい。ということは夫婦やカップルは、別の寮なんですか?」

 と軽い気持ちで聞いた、センスだったのだが、


「そうよ。カップル用は寮というより、小さな小屋という方が正しいわね」

 と、戸建てだと教えられる。


「小屋なんですね!」

 と、少し驚いたセンスに、


「だって、アレしてる時の声聞こえたら、寮だと隣に迷惑じゃない? まあこっちでも似たようなもんだけどね!」

 と、ウインクするアイナ曹長。


「え?」

 と、声を漏らしたセンスに、


「うち女性多いでしょ? 何故だか分かる?」

 と尋ねられて、


「女性の兵士を雇ったからでは?」

 センスが聞き返すと、


「それもあるけどね。でも基本的にはカップルを雇うのよ? でも女性が多いのは、男性が一旗あげようと無茶をするからよ。残された女性はカップル小屋から、独身寮に移るわ。最初は部屋で泣いて、戦闘中も泣いて……でもね? 女って時が経てば、誰かに寄り添いたくなるのよね。独りは寂しいもの。でもカップルの男性に手を出すと、揉め事の原因になるからね。ではどうすると思う?」

 と、少し微笑みながら聞かれて、


「まさか……」

 と、言葉を詰まらせるセンス。


「そう、独身寮の男性は狙われるのよ。はい、ここで問題。独身寮の男性は現在何人いるでしょう?」

 と、今度は悪い笑顔で聞かれ、


「えっと……独身寮の女性の数を聞いても?」

 と、恐る恐る聞くセンスに、


「30人」

 と、悔い気味に答えられる。


「20人くらい居て欲しいなぁ……」

 と、願望を込めていったのだが、


「あなたを入れて6人よ。今晩襲われないように、気をつけてね? 鍵かけてない部屋には入って良い事になってるからね!」

 と、爆弾発言が返ってきた。


「そんな馬鹿な! むちゃくちゃだ!」

 と、思わず言うと、


「うちのルールだから! 大丈夫。子供に手を出す人は、あまり居ないから!」


「あまりって事は、居るってことじゃないですか!」


「うん……ウチにもエルフの女性が……いるからさ」

 と、申し訳無さそうに言われ、


「なんでエルフの女は、少年好きのスキモノが多いんだろう……」

 と、自分の過去を振り返って、センスが呟く。


「彼女達いわく、一瞬の輝を放つ無垢な少年を襲いたい欲求がっ! って言ってたわ。まあ死ぬ訳じゃないしさ」

 と、励ましてくれた。


「そりゃ、死にませんけど……」

 と、センスが言うと、とある部屋の前で立ち止まり、ドアを開けて、


「この部屋使って。狭いけど寝るだけだし問題無いでしょう? 一応ベットは広めのやつ置いてあるけど」

 と、説明される。


「はい。寝る部屋があれば充分ですけど、わざわざ広めのベット置いてるあたりに、悪意を感じるのは、さっきの話のせいでしょうか?」

 と、センスが尋ねると、


「だって、狭いと2人で寝れないでしょ?」

 と、返され、


「やっぱりかぁああ!」

 と、思わず叫ぶセンス。


「あ、地が出たわね。トイレは共同で、廊下の突き当たりにあるし、シャワーはその手前にあるからね」

 笑いながら説明を受け、


「はぁ、了解です」

 と、言うしかなかったセンス。


「じゃあ荷物置いてこっち来て。食堂があるから、そこで皆に紹介するわよ」

 と促されて、荷物を床に置いて、


「はい……」

 と、小さな声で返事をし、部屋を出るセンスは、


「大丈夫かな、ここ?」

 と、首を傾げて呟いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] エロフが蔓延する世界・・・(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ