盗賊
そういえば一昨日くらいに、七話から少し改稿してます。
お暇なら読み返してみてください。
言うの忘れてました。
町で新たな客を乗せ、東へと進む乗合馬車。
町を朝早くに出る馬車だったので、それなりに客が増えて、賑やかな客室とは対照的な、御者とセンス。
何故なら、ここの街道は最近盗賊が出るらしいからだ。
「おじさん、出来るだけ早く行こう」
センスは、隣に座る御者に言う。
「わかってる。だが、客の人数が増えたから、これ以上スピードを上げると、車輪に負担がかかるんだ」
そう言った御者。
町でセンス以外に、5人の客が増えていた。
「そっか。なら仕方ないね。盗賊が出ない事を祈るしかないか」
センスはそう言って、前方を注意深く観察した。
しばらくすると、馬車は山道に入る。
道は細くなり、木々に視界は遮られ、どうしてもスピードを落とさざるを得ない。片側は崖だし、もう片側は斜面45度はある。
「来るとしたらこの辺でしょうか?」
センスが、御者に言うと、
「だろうな。町で聞いた話だと、ここいらが1番危険らしい」
と、御者が答える。
「一応、弓の準備をしておきます」
と、センスが言うと、
「頼むぜ、センス君」
と、御者はセンスを見て言う。
「はい!」
と、頷いて弓を握りしめるセンス。
そうして大きな岩の角を曲がった時、前方で道を塞ぐように並ぶ人影を、センスと御者は同時に発見した。
「出やがった!」
御者が、吐き捨てるように言うと、
「来た道を戻れませんよね?」
と、センスが聞く。
「道幅が狭すぎで、馬車の向きを変えられない。無理だ」
と、センスの提案が実行不可能なことを、告げる御者。
「でしょうね。ここで止まって下さい。私1人で行きます。守りながらは無理そうなので。客に説明して、山にでも隠れて貰って下さい」
と、言ったセンスに、
「死ぬなよ」
と、御者が声をかける。
「祈ってて下さい……」
止まった馬車から、センスがそう言って下りる。
客室からは、馬車が止まった事に、困惑の声が聞こえる。
センスが歩き出すと、御者は客室に入り事態の説明を始める。
それを聞いた客達は、
「護衛ってあのガキか? すぐに殺されちまうよ!」
そう言って馬車から下りて、来た道を走って逃げる者や、素直に山の中に隠れる者と、様々な行動をとり始める。
御者自身も、藪の中に身を隠し、両手を合わせてセンスの無事を祈るのだった。
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「おい、ガキが1人で歩いてくるぜ?」
「いっちょ前に、弓矢持ってやがるぜ」
「こっちは10人いるんだぞ? ガキが1人で何ができるよ」
道を塞いでいた盗賊達が、笑いながら言う。
「ちょっと可愛い男の子じゃない? 殺さないで私のオモチャにしていい?」
唯一居た女がそう言うと、
「姉御ぉ、勘弁してくだせぇよ。散々いたぶって殺しちまうんだから。後で死体捨てに行くのは、あっしらですぜ?」
と、1人の男が女に言った。
「か弱い男の子を殺すのって、快感なのよ。決めた! 生かして捕らえな!」
と、姉御と呼ばれた中年女性が命令した。
「へーいへい」
と、やる気のない返事をする男。
「お前ら、ガキ捕らえたら、馬車の乗客を捜せよ」
馬車から人が下りるのが見えていた、一番雰囲気のある男が、そう言うと、
「へい! 頭ぁ、わかってやす」
との声に、
「じゃあさっさと行ってこい」
と、命令した。
「へい!」
そう言って頭と女を残し、部下8人が歩き出す。




