表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/100

戦場にて

よろしくお願いします


 その大陸は、広大であった。


 大陸の中央付近から東側は、大きなエルフの国と、人族至上主義の帝国が支配しており、その東の端のほうに、中規模の多人種国家と、獣人の小国が存在し、人族至上主義国家と、多人種国家がたまに戦をしているが、安定しているほうであろう。


 それに比べて西側は小国が乱立し、覇権争いが絶えない地域。


 争いの種は水や食糧、人種差別や宗教の違いや意地と様々だが、確かなのは、今日もどこかで戦が行われているという事。


 血で血を洗う戦いが繰り広げられており、人々は心が安まる時が無い。


 とある国、その国の名はレイリス王国。


 その国のとある地域、ここでも1人の少年が、戦に明け暮れている。


「セインスッ! 右翼が押され気味だっ! 援護に向かえ!」

 そう叫んだのは、40歳手前ぐらいだろうか、見るからに鍛えられた肉体を持ち、長い銀髪を後ろに一纏めにした、立派な青い革鎧を着た男。


 少しタレ目の、青い瞳が印象的だ。


 セインスと呼ばれた少年は、見た目は13歳程度だろうか。

 まだ小さな、およそ150センチほどの身長の体に、不釣り合いな大人用の弓を持ち、必死で矢を放っていた。


「了解、父さん! セインス小隊行くぞ」

 と一言叫び、自分より年上の部下を3人引き連れ、銀髪の髪を揺らして走って行く。


「ここを抜かれたら、我が国は苦しくなるぞっ! 気合い入れろっ!」

 セインスに命令した男が、自軍の兵達に気合いを入れる。


「クローム騎士! 国軍は来ないのですかっ?」

 横に居た仲間の兵が、矢を放ちながら男に聞く。


「国軍の多くは、アストン国戦線に向かっていたから、報告はしたがおそらく来ない!」

 クローム騎士と呼ばれた男が、そう答えると、


「ここの国境国軍が国境を突破されたのに、国軍の応援が来ないとか、国王陛下は何を考えてるんですかねぇ? てか、敵の数が多過ぎませんかねぇ!」

 と、愚痴を叫ぶ兵士に、


「どの戦線も、ギリギリの人数でやってんだから、しょうがねぇだろうが! 奴らかなりの大部隊だ、本気でここを落としにきてやがる」

 と、クローム騎士が答える。


「応援は来ないので?」

 との問いかけに、


「パイド騎士の騎士軍が、来てくれる事になってる! もう少し耐えろ!」

 と、クローム騎士が言うと、


「了解でさぁって、あのパイド騎士軍? 猪突猛進しかしないあの? うちと一番仲の悪い?」

 と、聞かれたクローム騎士は、


「奴のところしか空いてないそうだ。仕方ない」

 とボヤいた。


「まあ来るだけマシかぁ」

 そう言って、矢を放つ兵士達。



 騎士、それはこの国の貴族の中では、一番下位の貴族である。


 正式には騎士爵という。


 伯爵以上の、上級貴族に認められた者が推薦され、国王の承認を経て騎士となる。


 爵位の継承も認められている。


 上級貴族のように領地を持つ事はないが、戦力の保有を認められ、国の防衛に協力する。


 クローム騎士は、寄親(推薦してくれた上級貴族)であるノードス伯爵により推薦され、騎士となってからは、ノードス伯爵領の防衛に協力していた。


 ノードス伯爵の領地は、国境に面しており、絶えず小競り合いのある地域なのである。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ