表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/64

Run Like Hell【2/7】




 あなたは本当に『水兎学』を学んだの、……か。


 なるほどね。


 至極ごもっともな発言だわ。

 なら、応えるか、フェアに。



「水兎学は、先の〈革命〉の原動力になったわ。精神的支柱って奴ね。学んだつもりよ、学んだら、それは捨てることなんてできない型のものだった。言い換えれば水兎学は〈グランドセオリー〉。自分の根幹の近くにあるはずよ、今でも。いつまでも。わたし以上に深みにはまって、自分の精神・魂と水兎学がイコールで結びついてしまった奴もいるくらいだもの。そのバカは、……鏑木盛夏っていうんだけどね」



 雛見風花は怒りがこみ上げてきたらしく、拳を強く握る。

 その拳は震えている。

 わたしを殴りたいのかもしれない。

 でも、知ったことじゃないわ。


「どうしたの、顔が真っ赤よ、こめかみに血管が浮き出ているけど?」



 挑発。

 なんでそんなこと、わたしはしてしまうのだろう。



「今度お薬を過剰摂取しても風花、助けてなんてあげないんだからねっ!」


 わたしはきっと、怒らせたかっただけで、今の会話をしているのかもしれない。

 風花を怒らせる今の会話はとても楽しいと、心がわたしに告げている。



「まあ、とりあえずわたしを奥座敷まで通してよ」

「勝手にしてッ!」



 叫んだ風花は踵を返し邸宅に戻っていった。

 門は開いたままだ。

 手提げ洋燈を右手で持ちながら、わたしは門から入り、庭園を横切ったのだった。


 自分の精神・魂と水兎学がイコールで結びついているのが鏑木盛夏だ、と言えばこの娘は怒るんじゃないかな、とは思っていた。

 そうでしょう?

 盛夏の、可愛い可愛い小さな恋人、風花ちゃん?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ