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沈んだ船の後継者  作者: ライブイ
最終章
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最終話 船出

「これで動力源も確保……っと」


 常人ならば一瞬で発狂して死ぬほどに穢れた魔力に満ちた空間、S級ダンジョンの最奥でアレットは邪神の心臓、神格を手に入れた。その見た目黒く淀んだ水晶のようだが、その効果はこの世界の真なる神々の神格と同じものだ。

 アレットが昔から抱いていた夢、故郷の船を再建するという目標。そんな夢を叶えるための最後の材料がこの神格だ。


 これを手にしたことで、アレットの旅は終わり。

 アレットがやるべきことの全てが終わった。最後に目を瞑り、一人の人物の姿を思い浮かべる。

 相棒であり親友、七対十四枚の羽根を背負い天使と悪魔の力を極めた、唯一無二のライバルでもあった男。

もう人生を終わりにした大切な友人に、一言声を掛けようか考えて、何も言わずに島に戻った。




 アレットは島に戻りに完成した船を見上げる。鉄と植物で出来た船に登り、心臓部に邪神の神格を取り付ける。これでこの船は永遠になる。

 知恵を蓄え、研究のみを続け、その結果人間社会から距離をとるしかなかったアレットの故郷ルプス号。

 対してアレットは、人間社会から距離を取りつつも、窓口を維持することにした。


 自分はこの船で知識を蓄え続け、人間社会から救援があった時に知識を放出する。

 人間社会で、人間だけでは手に負えない何かあれば、その時はアレットと契約を結んだ誰かが、そして何よりアレットの姉が呼ぶだろう。


 アレットの号令と共に、船は海に漕ぎ出す。船のエンジンに火をつけると霧が噴出する。

 霧が船を包み込み、同時に霧の内部の空間が無限になる。誰も入れず、誰にも邪魔されない独立した神殿。


 アレットは船で暮らす様々な種族の生き物と、アレットの言葉に共感しこの船に移住してくれた友人たち。

 笑顔に生きている彼らを最後に一目見て、アレットは自分の人生を終わりにする決断が付いた。


 奥へ奥へと進み、最も重要な子部屋に入る。

船の心臓部に接続した邪神の神格。アレットはこれと自分を中心に魔方陣を起動。

魔法陣が光り出すと同時に、アレットの体が石化し始める。石化が全身に及ぶと、アレットは永遠の眠りについた。


これで暫定ですが完結です。

お付き合いいただきありがとうございました


間の話は番外編としてそのうち投稿します。

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