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吸血鬼の創造の力はチート級だった。

「セツナ・ラフィロスッ!前へッ!」


 俺は、試験官の前に立ち、戦闘態勢に入る。

 この瞬間、会場の空気が冷たく感じた。

 

 サイレンが鳴った。


 俺は、直ぐに試験官に走って向かう。


「「「アイツ、速いぞッ!」」」

 

 と、外からガヤが聞こえるくらい、俺は冷静だった。

 しかし、既に試験官は魔法を唱えていた。


火焔球(ファイヤーボール)


 試験官が一つの火の球を放った。

 俺は、向きを変えて、地面を蹴る。

 火の玉を躱すことを確認すると、直ぐに体勢を変えて、向かう。


「コレで終わりだッ!」


 と、俺が試験官のそばに向かう。

 しかし、俺は直ぐに後退した。

 いるはずの試験官が消えたのである。

 いや、正しくは、消えたのではなく、倒れていた。

 何者かが試験官に上から攻撃したのだ。

 すると、魔物が空からやって来て、試験官の上に乗る。


「ハッ!」


 と、俺は珍しく動揺したが、直ぐに戦闘体勢に入った。



 ☆☆☆


 その頃、セーラは別会場で女性のギャルぽっい試験官と戦っていた。


「うん。セーラだっけ?やるね〜、君。マジ、すげーね。」


「ハァ…ハァ…っ…。フぅー…。

「よく喋りますね?」


「あーしはお喋りが好きだからねッ!」


「ラフィリアさんでしたっけ?

「まだ、戦いは終わってませんよッ!」


 と、セーラは魔法を唱える。


大炎弾(メガ・フレア)


 火焔球(ファイヤーボール)とは比べものにならないくらいの大きさの火の玉を出した。


「おぉッ!やっぱ、スゴいじゃん。

「でもね、火は水には弱いだよ。いくら強い魔法でも、弱点の差はそう簡単にカバー出来ないんだよね。

泡爆弾(バブルボム)。残念だったね。」


 と、ラフィリアは泡爆弾(バブルボム)大炎弾(メガ・フレア)にぶつけた。

 そして、空で爆発する。

 水飛沫で会場が霧に包まれた。

 そして、直ぐに霧は晴れたのだが。

 そこには、セーラの姿はなかった。


「いないッ!」


 と、ラフィリアは直ぐに気づいたが、時すでに遅し。



「残念なのは、コッチですよ…。ラフィリアさん。チェックメイトです。」


 と、後ろからセーラの声が聞こえた。

 セーラは、ラフィリアを後ろから抱きしめ、ナイフを首元に当てていたのだ。

 ラフィリアは、負けを認めたのか、両手を挙げて、


「参った。やるねー、相手を舐めてた、私の負けだよ。」


 と、言った。

 セーラはナイフを片付けて、ラフィリアを離した。


「合格ですよね?」


「合格だよ〜。でも、ひとつ良いかなぁ?」


「何です?」


「霧は、狙ってたんだ?」


「ええ。まぁ〜、狙ったといっても、ただの賭けですが…。」


「なるほど〜、中々の策士と見たよッ!」


「それより、お兄ちゃんは…。セツナ・ラフィロスはまだ、試験中ですか?」


「うん?ちょっと待って、確認するね…。」


 と、ラフィリアは魔法電子端末(スマートフォン)を胸から手に取った。


「どこに、入れてるですか…。」


「良い考えとは、思わない?この大きな胸を活用しなきゃね。」


「嫌味ですかッ!?」


 と、セーラは小さな胸に手を当てた。


「大丈夫だって。直ぐに成長するって。」


 と、言いながら、魔法電子端末(スマートフォン)を見る。

 すると、ラフィリアの表情が急に曇る。


「どうしたですか…?まさか、ふ…不合格…?」


「い…や。そんな、生半可なもんじゃないよ…。」


 セーラが分かるように、ラフィリアは焦っていた。


「え?教えてくださいッ!お兄ちゃんはッ!

「ツっ!何が起きたんですかッ!?」


「セツナ・ラフィロスの試験中に…。試験会場に、魔物が出たようで…。

「し…死亡者、1名出てしまったよ。」


「え?ぅ…嘘ッ!?」


「大丈夫…、亡くなったのは、あーしの同僚だよ…。

「そいつは、戦闘を得意としない索敵タイプだけど、並大抵の魔物には、殺られない。だから…。」


「お兄ちゃんが危ないッ!」


「今すぐにでも、助けにいきたいけど、ここからではかなり遠いから…、その…ごめん…。」


「仕方ないですよ。大丈夫です。お兄ちゃんなら…。」


 セーラは、願った。

 願うしかなかった…。お兄ちゃんの無事を…。



 ☆☆☆


 突如、現れた魔物に会場は混乱していた。

 それもそのはずだ。なぜなら、その魔物は龍だったからだ。

 サイズはかなりデカい。

 二階建ての家くらいの高さだろうか…。


「セツナ・ラフィロスッ!逃げたまえッ!!」


 と、助けにやってきた別の試験官が言った。

 俺は、深呼吸して。


「逃げませんよ。この程度の魔物に手こずってると女神に笑われる。

「あなたは、手を出さないでくれ。」


 と、再び片手剣を構えた。

 説得するのを諦めたのか、分かったと助けにやってきた試験官が頷き、


「危なさそうなら、手を出すからな。」


 と、言った。


「ええ、構いませんよ。

「さーて、龍か。こんな大物、久しぶりだから、ワクワクしてきたよッ!」


 と、龍のところに走って向かう。

 すると、龍が口から炎を吐いた。

 俺は、それを上へ飛んで躱す。

 が、それを読んでいたのか、また、口から炎を吐いた。

 普通の人間は、空中では動けないから、躱すことができない…。

 だが、俺はそれをいとも簡単に躱した。

 その方法は、創造で空中に瓦礫(コンクリート)の足場を造り、それを蹴って、横に飛んだだけ。

 なぜ、瓦礫(コンクリート)が創れるのか。理由は、簡単なことだ。

 空気中の二酸化炭素を酸素と炭素に分けて、酸素を使わずに、炭素のみを素材に炭素繊維のコンクリートを創ったのだ。

 俺の創造の力は、素材が1つでもあれば、何でも創れるから恐ろしい。

 蹴った瓦礫(コンクリート)が地面に落ちると、もう一度、創造で空中に次々と瓦礫(コンクリート)の足場を造りながら、龍の元へ向かう。


「「「何の魔法だッ!?」」」


 と、魔法と勘違いしてるヤツも何人かいるようだ。

 これなら、俺が吸血鬼ということを誤魔化せるな。

 さて、後は、この片手剣で頭をかち割るだけ。

 と、思い片手剣を振るった、が…。

 なんと、片手剣が折れてしまったのだ。


「チッ、なんて石頭だよ。」


 と、思ってると、龍が空中にいる俺の目の前で口を開いた。

 どうやら、炎を吐くようだ。

 流石に、俺は冷や汗をかいた。

 なぜなら、この距離で躱しようがないからだ。

 足場を造ってる時間はない、と思い。創造である物を造ることにした。

 それは…。


心霊灯(しんれいとう)ッ!!」


 俺は、心霊灯という見えない刀を手に構える。


 この刀は、親友が使ってた武器で、実体を持たない。要するに、幽霊みたいな刀。人などの実体として存在するものは斬れずに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()斬ることが出来る刀である。

 そう、対()()用の武器だ。この龍には効かないだろう。

 だから、俺は、創造する段階で、〔 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()〕の部分を〔 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()〕と書き換えておいた。

 これにより、どんなに固くても斬れるようになった。

 しかし、この武器は、この攻撃を避けるとか能力はないため、このままだと、死んでしまう。


 普通の…人間ならね。

 俺は残念ながら人間ではない。

 驚異的な再生能力を持つ吸血鬼(バケモノ)だ。

 躱す必要が無い。

 そんなことを考えていると、遂に炎が俺を燃やし始めた。

 流石に俺にも痛みは感じる。

 ああ、熱いな…。

 かなりの高熱だ。鉄でも溶けるだろう。

 だが、再生し続けることで体は何とか原型を保っている。


「じゃあなッ!」


 と、俺は心霊灯(しんれいとう)を振るう。斬る対象は、もちろん、龍の心だ。

 龍は、意識を無くなったように倒れた。

 俺は、地面に着地すると、直ぐに自分の体を確認する。

 俺は、ため息を深くついた。

 しっかりと再生してたので、安心したのだ。

 ちなみに、服も連動して直ぐに再生するようになっている。

 裸では不味いから、現実世界(あっち)でも創造で造った特殊の服を着ていた。


 心霊灯(しんれいとう)を消すと、俺が危なくなったら、手を貸そうと言っていた試験官が走ってきた。


「大丈夫かッ!?まともに攻撃をくらったように見えたが…。」


 あー、不味い。俺が化け物とバレてしまう。

 俺の再生能力を気づかれたくないから、咄嗟に嘘をつくことにした。


「あれ?そうみえました?

「魔法で避けましたよ?」


 と、白を切る作戦だ。


「……………………。」


 試験官は、何かを考えているようだ。

 深く考えこんでいる。

 不安になった俺は、顔が引きつく。

 すると、何かを閃いたのか、試験官が口を開く。


「そうか…。幻影魔法か。

「その様子だと、幻影魔法を隠してるようだな。分かった。このことは内緒にしよう。」


 と、酷い勘違いをしてくれたようだ。

 俺は、助かったと、安堵した。

 その事に気づいたのか、試験官は肩を叩いて。


「幻影魔法は、闇魔法が派生した魔法。闇魔法はイメージが悪い。気持ちは分かる。だが、いずれバレることだ。なんかしらの言い訳でも考えとけよ。

「困ったことがあったら、相談に乗ってやる。受付でガルトさんに会いたい、といえば俺の部屋まで案内してくれるだろう。」


 と、完全に勘違いしてくれたようだ。

 安心すると、人は些細なことに気付くものだ。

 俺は、先程、龍に殺された試験官の遺体がないことに気づいた。

 龍の遺体ならあるのだが。

 と、思っていると察したのか、ガルトさんが口を開いた。


「ああ、試験官(アイツ)か。試験官(アイツ)は死んでないよ。」


「え?死んでない?どういうことだ?」


「いや、だだしくは本体はまだ生きていると言った方が良いか。」


「ますます意味が分からないんだが。」


「まぁまぁ、要するにだ。そこに倒れている試験官(アイツ)は分身みたいなもので、本物は別にいるんだ。

「分かりやすくいうと、ある意味、アイツは不死身だ。」


「不死身……。」


「驚くのも無理はない。俺も最初は聞いた時はたまげたからな。

「このことを知っているのは、俺ら、試験官でも一部だけだ。」


「そいつは何者なんだ?」


「名前はサルトビだ。

「たしか、魔法ではなく、ニンジュツとか訳の分からんことを言ってたから強く覚えているよ。」

*3/3 大幅に、修正をしました。

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