魔法について学びます
一回目の作戦決行の日が来た。
いつも通り昼食を食べ、(最近は固形物も多くなって美味しい、フルーツは見たことないものも多く、毎日楽しみにしている)ララに絵本を読んでもらいながらベットに寝かされる。歩けるようになってからベビーベットは卒業した。
自然に瞼が閉じていく。うぅ、寝たい、けど作戦が大切だ。ララに気付かれないように寝た振りをする。よし、部屋から出ていった。タイムリミットは約2時間。
私は音を立てないようにドアに近づく、1人で部屋の外に出たことが無い。
少し開けた隙間から外を覗くが人は居ない、今だ!
えー、結果を言うとすぐ見つかりました。
頑張って隠れながら書庫を探していると、本を持ったメイドさんがある部屋から出てきたのでその部屋を覗くと書庫はあった。
ただ、そこに兄たちが居たことだ。逃げようとしたが遅かった。目が合ってしまったのだ。
そして現在兄たちに囲まれ、逃げ場はない。
でも、部屋から出ても怒られないので、見つかっても大丈夫だったんじゃ...。
上目遣いで魔法の本を見たいと言うとすぐに見せてくれた。我が兄ながらちょろい。
「リーンは魔法が使いたいの?」
カイン兄様が不思議そうに聞いてくる。
「らら、ちゅかってちゃ、わちゃちもちゅかいちゃい」
「なるほど、でもね、魔法って危ないんだよ?」
「あぶゅにゃい?」
「うん、小さい頃は魔法を使うと身体に負担がかかるから魔力を体の外に逃がそうとして暴走することが多いみたいなんだ。僕も最近使えるようになったんだ」
カイン兄様は6歳、ギル兄様は7歳で、カイン兄様が最近となるとまだまだ私は使えないのかな?
「でも、魔法の知識だけは教えてあげてもいいんじゃないか?簡単に使えるものでもないし、リーンは危ないことしないよな?」
カイン兄様の隣で話を聞いていたギル兄様が私の頭を撫でながら聞いてきた。ナイス!ギル兄様!もちろん危ないことをするつもりはない、暴走って言ってたから周りにも被害が出るだろうし。
「あい!あぶゅにゃいことしにゃい!」
「でも...」
カイン兄様が渋っている。危険なのだろうから心配になるよね、でも、知識だけだから!お願い!
「かいんおにぃしゃま…」
もう一押しとばかりに上目遣い&目を潤ませて強請る。可愛いから通用する技だ。
「うぅ、もう、しょうがないな、お話だけだよ?」
よし!お話しだけでもありがたい。
「かいんおにいしゃまだいしゅき!」
感謝を込めて抱きつく。両手の長さが足りず上手く抱きつけないのでもたれ掛かる感じだが。
「あ!カインだけ狡いぞ!」
もたれ掛かってるとギル兄様に後から抱きしめられた。カイン兄様も私を抱きしめてくれる、3人で仲良く抱きしめあいこした。仲がいいのはいい事だ。
「まず、魔法を使うには魔力ってものが必要なんだけど、魔力はこの空気にも、僕達の身体にも必ずあるんだ。その魔力を使うことで魔法を使えるんだ。魔力量は生まれた時からある程度決まっていて、魔法を使うことで少しづつ上限を上げることが出来るけど、ある程度上げると魔力量は決まって、それ以上は上げることは出来ないんだよ。ああ、魔力量っていうのは、自分の身体にある魔力の量のことで、使っても自然回復するけど、一定の時間が経たないと回復しないから、連続で魔法を使う時は魔力量には気を付けないと気を失ってしまうんだ。だから、魔力は限界まで使わないようにするんだよ?魔力のことはこれぐらいかな?」
うーむ、難しい...
でも、何となく分かった。自分の使える魔力は
魔力量と言う器で入る水の上限が決まっていて、
溢れてもそれ以上は保つことが出来ない。
時間が経つと少しづつ失った魔力は戻るが、連続で使うと水は空っぽになってしまう。魔力は水滴みたいに溜まりずらいのだろう。
こんな考え方でいいかな?多分。
「あとは、呪文とかになるけど、発音が難しいんだ、言葉に魔力を込めて魔法が発動するんだけど、言葉の意味やイメージが強いほど魔力を消費を抑えて、強い威力で発動出来るんだ。あと、無斉唱で魔法を使う人も居たみたいだけど、伝説の勇者様とかほんとに居たか分からない凄い人だけが出来ることだったみたいだよ」
なるほど、ここは日本人でありがたかった。
魔法のなんてテレビで何度見たことか。イメージしやすい。
「まりょく、わちゃちもありゅ?」
先程から疑問に思っていたことだ、みんなの身体に魔力があると言っていたがそういう魔力みたいな物を感じることが出来ない。子供だからかな?手を握ったり振ったりしてみる。
「ああ、魔力感知をしてないからね」
また新しい言葉が出てきた。
「魔力感知ってのは魔法がまだ使えない人に魔法を使える人がその人の魔力を刺激して、魔力を感じれるようにするんだ。カインも俺も使えるから魔力感知は出来るぞ」
魔力を感じたい...。
「しちぇ!」
自然に目を輝かせていた。
「えぇ、ダメだよ。危ないんだよ?」
「いや、魔力感知だけならなんの問題もないぞ」
「でも、暴走したらリーンが痛い思いを...」
「呪文唱えないと暴走はしないし、小さい頃から自分の魔力に触れておくのも将来的にはいいと思うぞ」
「まぁ、そうだけど…」
「やってあげよう?こんなに目を輝かせているし」
ギル兄様がこちらを見て笑う。カイン兄様も心配そうにしているが、ふっと笑うとしょうがないなと言って納得してくれたようだ。