新しい出会いがありました
目覚めても何も変わってなかった…。
そろそろ寝るのも疲れてきた。
ガチャ
ドアが開く音が聞こえた、誰か来たようだ。
私が寝ているベッドまでは距離があるようで、コツコツと足音が聞こえてきた。
「…リーン様、目が覚められたようですね」
1番最初に聞こえた声とは多分違う女性の声が聞こえた、そのまま彼女は私の顔を覗き込んできた。
うわぁ、綺麗な顔…。
その女性は艶々とした黒髪を綺麗に結って、明るい青色の瞳で私に、にっこりと優しく微笑んだ。
うん?最初に目覚めたときは声がはっきり聞こえなかったのに、はっきり聞こえてる。視界も白い靄がかっていたのに今は、はっきり分かる。
「リーン様、お食事しましょうね」
私が考えているうちにそういった彼女は私を軽々と持ち上げた。
一気に視界が広がる、前世?の私の重さだとこんなに簡単には持ち上げれないだろう。当たり前だが。それより、私が寝ていた部屋は結構な広さだ。すぐに彼女の腕に抱かれたのであまり分からなかったが、大きめのクローゼットと私が寝ていたベビーベッドの他に別の大きめの天蓋付きベッドがあり、私と彼女以外に人はいなかった。
「お食事ですよ」
哺乳瓶のような容器に入ったミルクを口に当てられる。本能で感じたのだろう、自然と私は飲んでいた。どんな味なのかと思ったが私が知ってる一般的な粉ミルクとあまり変わらない味だった。
にしても、今の味覚で粉ミルクは不味いかと思ったが、普通にごくごく飲める、味覚まで赤ん坊になったのだろうか?
いつの間にか飲み終わっていた。
「全部飲めましたね。…ゲップ、しましょうね」
彼女が優しげな笑顔で酷いことを言う。
これでも前世は成人越えてる大人だ、恥ずかしすぎる...。しかし、無情なことにゲップの姿勢にさせられた、赤ん坊の私には彼女に抗う力などない。
ふぅ、何とか吐くことはこらえれた。
「上手に出来ましたね。あ、下着を変えましょうね」
ゆっくりとベビーベッドに降ろされた私はその言葉に固まってしまった。そう、私は考えないようにしていた。ミルクを与えられた時点で分かっていたことだったのに…。
ダメだ、同じ女性だとしても耐えられない。
やめてください.....お願いします…….。
「あぅー!」(やめてー!)
もう、お嫁に行けない...。疲れた、精神的に。
赤ん坊ってことは分かっている、理解はしている、彼女も赤ん坊だと思ってやっていることは分かっている。
「…終わりましたよ。綺麗になりましたね」
彼女は綺麗にお尻など拭いてくれた。
さっぱりしてとても気持ち良い。ありがたいが複雑。
...まあ、簡単に言うと、本能(尿意)には逆らえないようだ。とても恥ずかしい、何も聞かないで下さい。誰に言ってんだろ...。
「あぅああ〜」(ありがとうございます〜)
広い部屋といい、彼女が敬語であったり、今の私は貴族かなんかなのかな?
多分、リーン様って私のことだろう。
うーん、ここは日本じゃないのかな?外国かな?
日本でこんな暮らしあるのだろうか?
さっき下着って言ってたのは、柔らかめの布に近くて、馴染みのあるオムツでは無かった、分からないことばかりだ。それに彼女の容姿も気になる。黒髪は日本では普通だし、外国でも沢山いる、でも、あんなに綺麗な青色の瞳は初めて見た、うーん、やっぱり外国なのかな?
「それにしても、リーン様は泣きませんね。このお歳の頃はすぐに泣かれるのに」
彼女は不思議そうに私の顔を見ている。
あんまり見られると照れます。先程の恥ずかしい思い出がフラッシュバックして耐えられないです。
確かに、赤ん坊の頃って泣くもんだよね。
泣いた方がいいのかな?……恥ずかしくない?
大の大人(今は赤ん坊)が人前で泣くなんて、
そんな私の葛藤をよそに、ドアの開く音が聞こえた。
「奥様!お身体はもう大丈夫なのですか?」
彼女の動揺した声が聞こえる。
奥様って誰だろう?
「えぇ、リーンの顔が見たくてね。身体は大丈夫よ。ゆっくり休んですっかり元気になったわ」
「それならいいんですが、気を付けて下さいね?」
心配そうな彼女の声とは裏腹にそういった女性は私の元まで来ると覗き込んできた。
「ふふ、おはようリーン、よく眠れた?」
私は本能で分かってしまった、この人が私のお母さんだと。1番最初に会った人はこの人だ、優しい眼差しで私を見る、この人こそ、新しい母親なんだと。
「あぅ!」(はい!)
その女性、いや、私のお母さんは少し青がかった銀髪に翡翠の瞳で、返事をした私のほっぺたを「可愛い〜」と言いながらぷにぷにしてくる。でも、嫌な気持ちにはならなかった、それよりも逆に嬉しかった。
しかし、とても綺麗な人だな、その子供の私って、美形になる可能性大だね。まあ、父親がダメだったら悲しいけどイケメンでありますように。
バンッ
いきなりドアが開く音が聞こえた。
「リーン!…っ!お母様!お身体は大丈夫なのですか?」
「お母様はここにいらっしゃったのですね」
2人の男の子の声が聞こえた、
「あら、カインとギルどうしたの?今はお勉強の時間じゃなかったかしら?」
男の子たちの会話からここにいる、私のお母さんの子供という事が分かる。だとしたら私のお兄さんにあたるのか、顔が見たい。
「はい!終わりました!なのでリーンの顔を見に来たんです!」
「僕も同じです」
なんか1人は元気オーラ全開で、もう一人は優しそうな雰囲気漂う感じがした。
「そうなのね。沢山リーンに話しかけてあげてね。」
お母さんが言ったすぐにこちらに駆け寄る足音が聞こえた。
そのまま二人同時に私を覗き込んだ。
「あ!まばたきしたぞ!可愛いな!」
「ええ、とても可愛いです」
元気オーラ全開の、男の子は赤髪で短髪、お母さんと同じ翡翠の瞳をしている。
優しげな物静かな少年はお母さんよりは控えめな青色がかった銀髪、濃い青色の瞳だった。
うわぁ、美少年...こんなに綺麗な顔、前世でも見たことないよ、
しかし、外国だとしてもお母さんといい、兄といい、
髪色も瞳の色もカラフル過ぎないかな?
地毛の赤い髪なんて聞いたこともないし、青色がかった銀髪なんて見たことないんだけど。
だとしたら私も相当なカラフルが予想出来る。
...なんかワクワクしてるんですけど。楽しみだ。