転生してしまったようです
やわらかい声、暖かな手の温もり、ぼんやりとした意識の中で私は目覚めた。
「…お…よ、…リ…」
誰かの声が聞こえる、なぜだろう、私は一人暮しで家に上がり込むような知り合いもいない、
「……わね。…に…………ね」
はっきりと聞き取れない、なんて言っているんだろう、でも、心地よいそこ声に少し開けていた瞼が自然と閉じていった。心地良さには抵抗出来ないようだ。
「ふ……...、…や……い」
沈んでいく意識の中で優しい声が聞こえた。
白く靄がかった意識がだんだんと晴れていく、目を開けると見えたのは白い天井だった。私の家の天井とは何かが違うように感じた。
「あぅあ?」(あれ?)
幼い声が聞こえる、
「あぅああぁああ?」(誰かいるんですか?)
返事は帰ってこない、声の正体を探そうと体を動かそうとするが、思うように動かない、唯一動かせそうな手を顔の前に持ってくる。
「うぁ?ああ」(なに?これ)
そこには赤ん坊特有のぷにぷにした手が見えた。
私の手を動かしてみる、すると赤ん坊の手も同じように手を動かす。手を握ると、赤ん坊の手も同じように手を握る。
おかしい。改めて周りを見渡そうとする、でも、思うよう動かせない首のせいで見える範囲は狭い、しかし、頭では理解し難いことを考えてしまっている、声を出しても返事が来ない、まあ、無視されている可能性はあるかもしれないが、それは今は置いておこう、しかも、私が話した言葉は私の耳には聞こえない、あと、私の手はこんなにぷにぷにではなかったぞ、しかもこんなに小さくはない、どういうことだと、…やはり、そうなのか?マジなのか?まさか、私は赤ん坊になったのか?
……いや、夢だろう、寝よう
おやすみなさい