美少女VS雰囲気美少女?逢禍時の大決戦!なのかい?
「まあ、中野太賀氏の中の人だ」
メファシェハ・カヴンは言った。
「はぁ?」
僕は思わず聞き返したんだが。
「『トゥー・フイー・エゴ・エリス』ですね」
少し青い顔のままのコマッちゃんが、ハッキリと言うんだが、頭の上の三毛子さんが「ニャーッ」。
メファシェハ・カヴンが頷くんだが、僕には解らん?
「ねぇ、なに?」
「中の人ってのは『私はあなたであった。あなたは私になるだろう』の私を中野太賀氏、あなたをメファシェハ・カヴンに変換して考えてみなよ」
コマッちゃんに言われた。
【中野太賀氏はメファシェハ・カヴンであった。メファシェハ・カヴンは中野太賀氏になるだろう】ってなるよね。
「『僕はメファシェハだった。メファシェハは僕になるんじゃね』か?……メファシェハって前世の僕!?で僕に化ける!?」
「いや、化けはしない」
メファシェハが僕を、かわいそうな子を見る目で眺めてる。
「私と中野太賀氏は同じ魂。私の、カヴン家に連なるチカラの残り香がこの魂に残っているのと言うに、むざむざ命散らさすこともあるまいと思うてな。請われて顕現したのだからな。……あ、いや、当面の脅威の去るまでだ」
「成り代わる気まんまんな気がしますが」
メファシェハに対するコマッちゃんの口調が何か怖いんだが。
「コマッちゃん、何かやな事有った?」
「有ったに決まっておろうが」
「もう、いっぱいな」
僕の質問にメファシェハとコマッちゃんが返事する。
「フラウロスに、知る気も無かった事まで知らされた。担任教師はだ、馬場顧問代理は××だ、出海副部長は△△だ、小松部長は◇◇だ、中野生徒会長は□□だ、立川先生が、葛西先生が、東川が、堀江が、早島がって、おかしくなりそうだよ」
「そうか。フラウロスは人の子に、知らされるべき真実も、知るべきでない真実をも告げ、絶望の底に叩き落とし、やがて狂わする者であるからな」
コマッちゃんの言葉に、メファシェハが、ウムウムうなづいてるし。
「ねぇ、フラウロスって何んなん?」
「「はぁ?」」
コマッちゃんとメファシェハの声がそろった。
クオンクオン。
突然前のドアがノックされた。
「失礼します。太賀氏くん、帰るよ」
ガラリと引き戸を開けて姉ちゃん登場。
「これはこれは鬼姉であり、生徒会長とやらの中野舞沙枝ではないか」
「……鬼?……あら、珍しい写真部に新顔の方が?1年生?の?どなたかしら?」
姉ちゃんの鉄壁の仮面が何か揺らいでるような。
「私か?私はメファシェハ。カヴン家に連なる者だ。中野太賀氏の魂に連なってもいるがな」
「太賀の!?こんなののどこが!……よいのかなぁ1年生?メファシェハさん」
一瞬、姉ちゃんの仮面がずれたような気がするんだが。
けど……こんなの、って酷くね?
腕組みして、姉ちゃんの眼を見上げるメファシェハ。
腕組みして、メファシェハの瞳を見下ろす姉ちゃん。
僕もコマッちゃんも三毛子さんも無視されてるなぁ。
ど、どうしよう。
姉ちゃんとメファシェハの対立?
ケンカ?
無言でにらみ合い。
こわいんだが。
頭に三毛子さん乗っけたコマッちゃんは、窓の方を向いて、ふたりを見ないふりしてるし。
「にゃん」
するりとコマッちゃんの頭から下りて、三毛子さんは姉ちゃんの脇をすり抜けてお帰りになった。
しばらくして、おでこの汗を手で拭きながら、姉ちゃんが言った。
「残念だけど私の負けね」
荒い息をしながらメファシェハも言った。
「もう少しで……私の方が……危なかった。貴女……善くやった」
膝から崩れ落ちて、姉ちゃんがメファシェハを見上げて言った。
「貴女もね」
はぁ?
何か、にらみ合いしてただけなんですけど、二人。
メファシェハが差し出す右手を、姉ちゃんが右手でつかみ握手?
そのまま、メファシェハは姉ちゃんの手を引くと立ち上がらせた。
姉ちゃんがメファシェハを抱き締める。
「良く判ったわ。メファシェハ・カヴン、今日から貴女は私の妹扱いよ」
何で?何で?何で?




