2-2 選択
遅くなりました!よるのないくに2の主人公がレヴィと似過ぎる件…性格と胸が全然違いますけど…おっと誰か来たようだ。
「レヴィちゃんだいじょう…ぶだね!」
「あ、タイナさん」
タイナが騒音を聞き駆けつけた時には戦闘は既に終了していた。というかレヴィは大丈夫だがそれ以外は全然大丈夫じゃない。
「ぎゃー店先が死屍累々に!!というか一般通行客すらいない……!ノ、ノルマが…」
「早く店畳め和服バニー。今日はもう客はこない」
「シ、シェリルさん気を確かにしてください!確かに今日のノルマ達成は厳しいですけど明日挽回しましょう!」
経営難的にワナワナ震えるシェリルをなんとか励まそうとするティファ。そして残酷な真実を躊躇いもなく言葉にするタイナは有象無象の中に立つレヴィに近づいていく。
「これはいったいどういう事でしょうか?ゲルドさん以外にも魔力暴走した魔族がこんなにもたくさん…」
「これが偶然なんてありえない、サイ魔族の件も含めて誰かの陰謀だよ」
「つまり俺は加害者から被害者になったぞイェーイ!!」
「空気読めサイ」
「公務執行妨害です」
なんでだよー!とどさくさに紛れて拘束を解いたサイ魔族の横では見回り騎士隊長が頭を振って思考を切り替えていた。
「よし、気絶しているうちに拘束するぞお前たち!」
「「「「りょ、了解!」」」」
何人かはレヴィの方を気にするようにチラチラ見ていたが隊長が一喝すると慌てて作業に集中する。隊長はレヴィに近づき鉄製の兜を取るとやせ細った顔を表に出した。特に特徴と言える尻尾や耳は確認できずなんの魔族かはわからない、だがやせ細った体と壮年さを感じさせるシワの多い顔から少なくとも運動能力は他の騎士より低そうだ。
「助力感謝する。君たちは私の管轄の見回り騎士じゃないな」
「うん、今日はこのレヴィちゃんを案内役兼パトロールとして活動してるの。私は『コンヴィクト』のタイナ・アルトルだよ」
コンヴィクトと聞くと見回り騎士隊長は難しい顔をしてタイナを見つめる。どこか申し訳ないような感じだ。
「…そうか。私は魔族街デアント北東部見回り騎士の隊長、デマニス・スタインという。改めて礼を言わせてくれレヴィくん」
「いえ、私は大した事は何も…」
「いいや、謙遜しないでくれ。君のような実力者はこんな見回り仕事ではなくすぐにでもエリート部隊に入れるだろうな」
レヴィとデマニスのやりとりが長くなりそうなのでタイナは早速本題に入って会話を切り替えさせた。
「ねぇ、デマニスさんはこの事態にどれだけ詳しい?」
「この暴徒どものことか?さっぱりだ。俺たちもつい先ほど事態を知ったばかりでな…これはいったいどういう事だ?」
そこでタイナに続いてきた黒豹魔族が会話に割り込んでくる。ギルドが関わってる事柄なので焦ってるいるのか少々早口だ。
「時間がないから手短に言うぜ、今回の騒動はギルドが黒幕、もしくは"被害者"かもしれねぇ」
「な!?ギルドが……君はいったい誰だ?」
「…………シルバーランクのナルア・イコウだ」
「ふむ?イコウ…?あのイコウ家の者か!」
「よしてくれ!あいつらとはもう縁を切ったんだ」
ナルアが苦々しくそう口にするとデマニスは自分の軽率な発言に謝罪をする。
「す、すまない、先代魔王様側近の家の者と会えると思わなくて…すまない」
ナルアは他所を向いて舌打ちすると更に口を早めて説明する。完全に機嫌が悪くなっている。
「いいか?今倒れてる連中は全員冒険者のはずで、コレと同じ物を持ってる筈だ」
タイナが懐から紫色の魔石を取り出して見せつけ、それをナルアが指を指す。
「それは?」
「ギルドが冒険者に支給品として配っていた魔石だよ。内部に取り込んだ魔力を少しづつ漏らしていく効果があるの」
「それがどうかしたのか?この暴動とどんな関係が…」
「これから漏れ出た魔力が冒険者達に蓄積していって体の許容魔力量を上回っちまったんだ」
「なるほど…だからそれを持っていたゲルドさんはあの時魔力暴走を起こしたのですね」
「ならば早くこの事をデュラン団長に知らせなくては!」
すると拘束作業をしていた騎士がタイナの持っている魔石と類似した物を続々と発見してきた。
「隊長!確かに暴徒と化していた物たちからこのような魔石が一人一つづつ確認しました!全員ギルドカードを所持していたことから冒険者であります」
「確定だな、この件はギルドが関わっている。即刻調査をしなくては」
「で、ですが隊長…話を聞く限り未だに暴徒が多くいるのでは?ギルドを抑えても被害が拡大するのでは」
「だから誰かに騎士団本部に増援を要請しにいって欲しい」
「あ、はい」
レヴィが呪印が刻まれた左手を上げて注目をあつめる。
「それだったら私が連絡とりますよ」
「何?連絡魔石でも持っているのか」
「こうやって…『ランコーレ』!」
再び呪印が輝きを放ち動作していく。そして怒りが伴った声が響いてくる。
『テェンメェエエエエエエエエエエ!!!このクソガニよくもやってくれやがったな!!』
「ザマァみろチビ悪魔バーカバーカ」
『あの…魔王様それ繋がってんですか?あのアホガニと?よくも投げてくれやがったな赤髪首が折れると思ったぞ畜生!!』
「あれ?シグルドの声も聞こえる、なんで?」
「私がシグルドさんを魔王に投げたからですよ。まったくストライクに当たるとは間抜けですねぇ…ぷ」
『はっはっはー、帰ってきたら覚えてろテメェ!!』
「魔王」
『あん?んだよ?』
「敵が動きました」
レヴィのたった一言で空気が変わる。喧嘩しつつもそこに平和を感じさせていたものが、緊張感漂う静かで冷たさを持った張り詰めたものになる。
『そうか…"お前"はどうするんだ?』
「……命令は、おりませんか?」
『これはお前が決めることだ、ここで俺を裏切ってもいいし、騎士として戦ってもいい、そして傍観するのも許す』
「私はあなたが命令をしてくれればそれで…」
『お前は見つけるべきだ、焦る必要はない…あまり自分を責めるな』
「っ…!」
『それでどういう状況なんだ?』
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レヴィは自分がどういう存在か理解していない。
いや、どう生きればいいのか決めれていないのか…
ステラとして…復讐に生き、人間の生まれ変わりのやるべき事をするのか
レヴィとして…ステラを完全に捨てて、魔族として生きていくのか
もし前者だったら俺とあいつは再び殺し合いをしなくてはならない。今のあいつに全力の殺し合いをしたら勝てる確率はかなり低い。以前は人間だったから勝てたものの、今度は魔族になっていることで身体能力が更に強化されてるだろう。……下手したら走って世界一周しかねないな。
後者だったら俺はあいつを受け入れて生きていく。だがそれは難しく苦しい生き方だ。ずっと忘れられたものたちが頭の中で渦巻くだろう。ふと思い出したらきっとあいつは忘れようとした事を酷く後悔する。そしてまた忘れようとする。
俺はあいつを救えるのか?
どちらの生き方も……あまりに救いがない。幸せになりきれない生き方だ。
「そうか、状況はわかった。この魔王城にその魔石が配達された可能性が高いのだな。探しておこう」
『はい、ではお願いいたします…レヴィちゃん大丈夫?』
『…………』
だめだな、あいつ完全に思考に埋もれてる。俺が命令すればただそれに従えばいいのだろうが…それは以前の生き方と同じだ。
あいつはもう、誰かの願いを叶える必要はない。今度は自分のやりたい事をするべきだ。
「ではな」
そう言って右手の呪印に左手を重ねて通話を切ると牢屋の鉄格子から声が聞こえてくる。
「なぁー、出してくださいよー。俺もあの蟹女の被害者なんですよー、ねぇー」
「お前が俺の腹にダメージを与えたのは紛れも無い事実だからな、反逆罪だ」
「理不尽過ぎる!!」
ここは魔王城の地下深くにある留置所だ。空気はジメジメしていて薄暗く、路地裏よりも陰鬱な空気が醍醐味な場所だ。あまり長くはいたくない。
「それにお前…それだけじゃないからな」
「へ?俺他に何かしましたか?」
「二週間前、お前は俺を襲いかかっただろ」
「二週間前…………あ」
どうやら思い出したようで汗が滝のように流れ出す。こいつマジで忘れてたのか
「ちゃ、ちゃうねん…アレが魔王様なんてしらなかったんねん、ほんまなんやねん…ただ、『あそこにいる黒髪のツノ付きのガキを襲ったら金貨やる』って酔っぱらいから言われただけやねん」
ねんねんねんねんうるせぇ、つーかウゼェ煽ってんのかこいつ
「よし、侮辱罪で死刑」
「うわあああああああああ!?ごめんなさーい!!」
キレのある素晴らしい動きで土下座する赤猿。この技術をもっと別に使えないのか
「もういい、そこで大人しくしてろ。数日経てば出してやる」
「へ?そんなのでいいんですか」
「いいんだよ別に…タイナ・アルトルだっけか?あのコンヴィクトにはレヴィが世話なってるからな…もしあいつがなんか迷っていたらお前も力になってくれ」
突然、シグルドとかいう男がニヤニヤして君悪い笑顔をこちらに向けてきた。
「な、なんだよ…」
「魔王さん……レヴィさんが好きなんですか?」
「ブフゥ!?何故そうなる!?いや待て、確かにあいつは美人で外見はあと胸さえデカけりゃ百点満点だが性格がアレだし……ただ…」
「ただ?」
くそぅ全然ニヤつきが止まないどころか増してやがる!これ以上言っても無駄か!
「……なんでも、大人しくしてろ」
それを聞くとつまらなそうに寝転がりながら背を向けると「ヘーイ」とテキトーな返事をされる。俺も地下の閉鎖空間から階段を上がる。
「さて、魔石を探すか」
レヴィの事は気になるが俺にはこれ以上手は出せない。後はあいつ次第だ。
流石に登場キャラが多いので近々キャラまとめとか出す予定です。




