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1-6 尋問と拷問

この街で異常が起きている。その事実を得たが何をどうするにもまず情報と異変の進度を知る必要がある。

「異変にしてもタダの悪戯かもしれないし、反魔王派(オベディエンス)のテロ行動の可能性もあるしね」

「今捕まえてる人達がこの異変の首謀者なのか被害者なのかもわかりませんね。兎にも角にも話を聞きに行きましょう」

「………」

二人は後ろからおぼつかない足つきでついてくるティファを連れて従業員が掃除している厨房を通り過ぎ更に奥、従業員の休憩室に簀巻き状態のサイ魔族を所々ぶつけながら向かう。

「レヴィちゃん、あの時何か気づけた?」

「いえ……少なくとも私達が駆けつけてからは怪しい動きをするのはいませんでした」

「じゃあ…既に仕込み済みってことだね」

「ええ、『場所』に仕込んだのか『魔族』に仕込んだのかのどっちかでしょうね」

「だとするとサイ魔族とこの周辺を調べる必要があるなー」

「ええ…ここですか?収容されてるところは」

「……」

ティファはレヴィに尋ねられても顔を伏せて沈黙を貫いている。

「嫌われたねー」

「仕方ないですよ」

レヴィがドアノブを捻ると鈍い音を立てて扉が開く。

休憩室はオシャレな写真立てや愛くるしい人形などで彩られており色鮮やかだが、人が数人入れる程度の大きさで狭い部屋だ。片側の壁にロッカーが所狭しと並んでおり休憩室の大きさと従業員の数が見合ってないのが一目でわかる。本来テーブルと幾つか置いてあるはずのイスは撤去され、そこには三人の魔族が蜘蛛糸で拘束されていた。

「なんでこうなってんだ俺?タダ適当に揺すって金儲けしようとしただけなのに…」

「アウトだバカ!テメェが俺に揺すらなければあの灰色草食野郎と関わり合いにならずにすんだのに…つかお前が元凶じゃねこれ?」

「ソ、ソンナコトナイヨー、ぼくわるいさるじゃないよ、ほんとだよ!」

「は?何そのキモい高い声、精一杯努力してそれとか哀れだな」

「上等だテメェ表でろ黒猫野郎!!」

「拘束されてて出れねぇんだよテメェのせいでな!!このトンチンカンモンキー!!」

「うるさぃ……!」

いがみ合う赤猿と黒豹、それに出来るだけ距離を離し兎耳を聞こえないようにぺたんと閉じ迷惑そうにするシェリル。このやり取りがずっと続いてたなら音に敏感な兎にとってさぞ辛いだろう。

そこにオタマを持ったティファが歩いていき喧嘩する二人に振り落とす。

「いで!?」

「ゴホ!?」

「シェリルさんがうるさそうにしてるじゃないですか!静かにして下さい!!」

バカコンビは頭を押さえながら呻きオタマを縦に持つティファを睨む。

「いってぇ……何しやがんだこのおっぱい犬女!あと君今彼氏いる?」

「くっ…いだだ…この犬耳ウェイトレス…!この後暇?これから一緒にお茶でも」

「ふん、自業自得で…エエーーー!!?」

まさかのセクハラナンパに驚愕の声を上げてしまう。バカ二人は鼻の穴を大きくしてじっくりねっとりティファを満遍なく見る。ティファも恥ずかしくなり身を手で覆い体を捩らせてしまうが逆効果だったのか二人はガッツポーズする。

「「恥じらい身捩り犬耳おっぱいウェイトレス最高!!」」

「うわーん!!助けてシェリルさーーん!!」

「何アホやってんのバカ二人。ほら兎が食い殺さん目で見てるよ」

タイナが指を指す方向を見ると兎魔族が目を赤く鋭く輝かせて殺気を放っていた。漂う雰囲気は草食動物ではなく間違いなく復讐者のそれだ。

「お客様…当店ではセクハラ行為には徹底的な制裁を加える事が義務付けられております。特別代金として命を捧げて頂きます」

「キャアアアアアアアーー!?何この子恐ろしい!!これが兎!?嘘だろ絶対、もうこれ肉食系の目じゃーん!!」

「お、おちおちおち、落ち着け、まだ、まだ慌てる事はない今すぐ二人で土下座すればワンチャンある!!」

恐怖で身を寄せ合うバカ共、というか本当は中がいいのでは?黒豹が兎に土下座とかそれでいいのか?などと色々と考えながらも話が進展しないので割り込む。

「あのー、そろそろ尋問よろしいでしょうか?」

「尋問!?」

「騎士さんスイマセーン!尋問じゃなくて事情聴取じゃないのでしょうかー!?」

何故か細かいことに一々ツッコム犯罪者予備軍共。取り敢えずそこにサイ魔族を投げ入れておく。

「ほら、あなたたちのお仲間ですよ」

「違いますー!全然知らないサイですー!」

「俺たち寧ろ止めようとした側ですー!コレとは違いますー!」

そう言って更にサイを指差してギャーギャー訴えてくる。

「うるさいなぁ、いいじゃん犯罪者も犯罪者予備軍もそんな変わらないじゃん。あとシグルド黙ってろ」

「いやーー!!そんな闇鍋みたいなごちゃ混ぜ思考しないでー!!違うから!俺たちまだ犯罪者じゃないからー!?」

「そうだそうだー!ってあれ?俺名前教えたっけ?」

シグルドと呼ばれた赤猿は名前を呼んだ方を向くとそこにはニコニコして手を振るタイナがいた。

「やっほー、久しぶりだねーシグルドく〜ん」

嫌な汗がダラダラ流して慌てて弁明するシグルド。シグルドの処罰はタイナに任せる事にして傍観する。

「げぇーーー!!タイナの姉御!?なんでこんなところに!?いや、待ってくださいよ、これには雲よりも高く、ドリトンダンジョンよりも深〜い事情が____」

「あんたねぇ…もう悪い事から足洗ったんじゃないの?というかするなと言ったよね〜私!ったく昔っから毎度毎度問題ばかり起こして…筋はいいのにアホなんだよあんたは!!」

「い、いや〜それほどでも〜」

「レヴィちゃんやっちゃって」

「はい」

「ぎゃああああああーー!!待ってそのハサミ形状変えれるのいやああああー!!ツッコミにしては激しすぎるうごごごごごごご!?」

レヴィは腕を人一人覆える程の大きさのペンチ状に変形させてシグルドを挟み潰しにかかる。シグルドもギブアップと言わんばかりに手を叩いて訴えるが少しづつミシミシと押し潰されていく。

この尋問どころか拷問光景に血の気が引いていく黒豹と犬と兎、というか事情聴取すら始まっていないのにこれである。

「う、うぐぐ?な、なんだうるせぇなぁ…」

とそこで灰色の巨躯な体をもつサイ魔族が目を覚ました。頭がまだ痛いのかさすりながら上半身を起き上がらせる。

「あ?なんだここ?つかあったまイッテェ…昨日飲み過ぎたか?うん??」

周りを見渡して状況判断してるのかキョロキョロとあちこち見だす。犬耳おっぱいウェイトレス、和服黒髪兎、騎士の蜘蛛女、腕がハサミな赤髪女、それに潰されかけてる赤猿、怯えた黒豹。コレを見たサイは理解した。

「なんだ夢か。お休み」

「そうですか…人を貧乳呼ばわりした挙句そうですかふ〜〜ん。永遠に眠らさせてやりますよぉ!!」

「え?なに?夢じゃないのおおおおごごごごごごご!!?」

空いていたもう片方の腕をハサミに変形。サイも同様の拷問にかけるレヴィ。甘々庵で絶叫が響く!!

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