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1-4 蟹魔族

ギリギリ投稿!ミス多めかもしれません(´⊙ω⊙`)

「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞマグレ女がああ!!」

斧を引っ張るのを諦めたサイは両腕を組みアームハンマーを繰り出す。魔族の全力を込めた巨腕の一撃はレヴィへと向かう。

「ほいっと」

左手で兎の刀を押さえながら余裕を保ったまま右手に掴んでた大斧を離しアームハンマーを一本腕でキャッチボールのように難なく受け止める。200はありそうな体躯をするサイが細腕のレヴィに後ずさりするという異常が起きる。

「怪我はしてないですかシェリルさん?」

「え?…………あ?………」

レヴィも追撃はせず刀を傷つけないように置きながら何が起きたのか理解出来てないシェリルの安否を確認している。

「な、なん、ま、マグレだ、そうに決まってる!そうだ!魔法だ!魔法を使いやがったんだ!!」

「私は魔法が使えませんよ…というか魔術式を立ち上げてすらないのですが…それでその結論を出したのですか?」

「じゃ、じゃあなんだよ、まさか、女が俺より基礎能力(パラメータ)を上回ってる訳が…!」

「……貴方、少し冷静になってはどうですか。戦闘の場数は積んでいる筈ですよね?感情的になりすぎですよ」

「う、うるせえええええ!!偉そうな口叩いてんじゃねぇぞ騎士があああああ!!」

サイは怒りに震えながら自身の大斧を拾いレヴィに再び襲いかかる。斧を縦に持ち上げ振り下ろしを、横に薙ぐと見せかけてフェイントで石突きによる突き攻撃を、そのまま薙に移行して短く持ち方を変えた素早い連撃を、柄による強力な叩きつけを、何度も、何度も何度も鋭く、修練と戦闘を続けた賜物による猛攻が繰り出されるがレヴィには届かない。

縦振りは右足を左足の後ろに持っていき体をズラす事で回避し、石突きは赤い甲殻に覆われた手で虫を叩くように手の甲で弾き、連撃は一つ一つを甲殻で受け流し、柄による叩きつけは持ち前のパワーだけで片手で押し返す。

「ぜぇ…ぜぇ…く、クソが……!」

「あ、もう終わりですか?」

「クソがあああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

叫びながら武器を放り投げ、頭を下げレヴィにツノを向ける。腰を低く落とし地面にしっかりと固定した両足に凄まじい程の力を蓄え始める。見た目としては両腕を地面につけないクラウチングスタートの様だ。

「もう知ったことか、騎士だろうが何だろうがぶっ殺してヤル!!」

完全に怒りに呑まれたサイ魔族を見た赤い猿は慌てて止めようとする。先ほどまで呆然としていた黒豹の魔族も赤い猿に続いて止めに行く。

「ちょ、おいサイ野郎それはやりすぎだ!?騎士なんて殺っちまったら重罪だぞ!!」

「ウルセェ、キサマモダマッテイロ!!」

「は、はぁ!?おかしいぞお前!?頭どうかしてんじゃねぇの……か……?」

サイ魔族の目が赤い、それも充血なんて呼べる程ではなく余すところなく完全に真っ赤だ。興奮した程度であそこまで目は赤くならない。

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「魔力暴走!?なんで街中で、おかしいだろ!」

「おい黒豹、あのサイ野郎止めんぞ!!アイツがあそこにいる赤い嬢ちゃんを殺しちまったら俺たちまで騎士団に目の敵にされかねねぇぞ!!そんなことなってみろ、永遠に逃亡生活だぞ!」

「んな!?…クソッタレ!!俺は力に自身はないからな!!」

「俺もだよ畜生!!」

赤猿が鎖に繋がれたダガーを取り出し駆け出すと頭を乱暴に掻きながら黒豹も短刀二本を腰から抜き飛び出していく。

「タイナさん!この人をお願いします」

「え、うん!わかった。レヴィちゃんは?」

レヴィがタイナに呆然とした兎魔族を引き渡すとそのまま準備体操のように腕を伸ばす。

「あの人を放置して置けませんのでちょっと懲らしめに行ってきます」

「うん、なんかもうレヴィちゃんがいろいろ規格外の性能してるのはわかったよ。腕力で人を空まで飛ばすし、いまの連撃を平然と受け流せるし、心配は要らないよね…ほんと何者?」

「だから言ってるじゃないですか。ステラカルミヌスですって」

「それはないでしょ」

「むぅ…」

と軽口を叩いていると赤い猿と黒豹が空中を回転しながら舞い、そのまま地面に直撃した。

「ぐへぇ……硬すぎだろアイツ……ガク」

「刃が通らない相手なんぞどうしろと……ガク」

「あー、あの人達の回収もお願いします」

「りょーかい、んじゃ頑張ってね」

タイナが兎魔族を店の方へ預けに行くと同時にサイ魔族が再び此方に先ほどと同じ体勢で構えて来る。

「コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル!!」

「随分と嫌われましたねー。まぁ貴方との戦闘のお陰で体内魔力の流れを掴めました。魔族は魔力でいろんな事が出来るのですね。ツノや爪を長く鋭くしたり糸を出したりと、種族毎に便利ですね〜」

魔力の流れを両腕に集中すると赤い甲殻が更に厚さを増して行く。と、そこでふと疑問に思ってしまう。

(あれ?私はいったいなんの魔族なんでしょう?魔王なら知っていそうですが…確か魔王は私の事を偶に『蟹女』と呼ぶような……?)

自分の腕を見やるとそこには真紅色のキチン質特有の艶を放つ甲殻があった。

(いやいやいやいや……流石にそれはありえませんよ。女性としていろいろありえません。"アレ"は食うぶんには構わないですけど…なろうとは人生で一度も思いませんし)

更に両腕に魔力を集中していくと腕の形状が変わっていく。いや、腕というか手だ。手首から二つに分かれていき、とても見覚えのある存在の代名詞のような形になっていく。

(……いやいやいやいや、おかしい!おかしいですから!私がそんな、"アレ"とかありえませんから。それに第1……第1……だい……いち……)

腕の変化が止まる。いや完了したと言った方が正しい。真紅の腕の先にあるのは手が二つに分かれた大きく鋭利なハサミだ。丸みを帯びており刃の部分はギザギザに尖っている。斧の猛攻を受け流せるほど頑丈な赤い甲殻に特徴的なハサミ、つまりレヴィは

「あ、レヴィちゃん蟹の魔族だったんだ」

「うふ、うふふ、うふふふーー」

「レ、レヴィちゃん!?」

理想と現実に壊れかけた騎士。理想と言っても現実逃避だが。ハサミを目の前にやり悲しそうに閉じたり開けたりしている。

「ウガアアアアアアアア!!」

サイが雄叫びをあげて重戦車のように突っ込んで来る。速さは兎魔族程ではないが十分殺傷能力はあり、くらえば五体満足では済まないのは明らかだ。レヴィはハサミを構えて突撃して来るサイ魔族に駆けていく。

「シネエエエエエエエェェェェ!!」

勝ち誇ったような笑みを浮かべ更に突撃のスピードを上げる。猛々しいツノがレヴィへと迫っていく。だがレヴィも駆け足を止めずそのまま走り続ける。

「オレノカチダアアアアアアアア!!……ア?」

ツノの直撃寸前に消えた。そこには倒れる赤髪も何もなかった。そして腹にナニカが当たる感覚、だが突き破る事もなくただ大きな物で掴まれているような

「ふむ、形状変化も可能ですか。本当に便利で融通性がたかいですね」

相手の懐に潜り込んだレヴィはハサミで腹を掴んでいた。ハサミは刺々しい見た目ではなくカクついたようなペンチの形をしていた。

「フン、ツカンダカラナンダ!ドウトイウコトモナイワ!」

「さぁ?それはどうでしょうね〜」

サイの足が地面から離れ、巨躯の体が持ち上がる。レヴィは軽い荷物のようにしているが、タイナはもう何も気にしない事にした。レヴィはもう"そういう存在"なのだと割り切ったようだ。今のうちに気絶している黒豹と赤猿を蜘蛛糸で縛り上げる。

「ハナ、ハナセェェェェェェ!!」

「うるさい!近所迷惑ですよ!」

「コノ"ヒンニュウ"オンナガアアアアアア」

ブチン!!

「ふーん、あ、そんなこと言っちゃいやがりますかそうですかー」

雰囲気が一変する。空気が重くなったような、張り詰めてるというか、踏んではいけない地雷を踏んだというか、パンドラの箱を開けてしまったような空気だ。レヴィの髪が夥しい動きをしている。

「レ、レヴィちゃん?殺しちゃ駄目だよ?堪えて、堪えて!」

「ちょーっと、地獄行きますか!!」

「ナ、ナニヲヲヲヲヲーー!?」

そのままサイを持ったまま振りかぶり…投げた。

「誰が貧乳だオラァァァァァ!!昔はデカかったんだぞおおおおおお!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアーーー!!」

サイは甘味処の反対側にある石造りの建物に直撃した。石壁を粉々にし、破壊音と土煙を上げながら建物の中に入っていった。

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