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77 みんなで討伐に行く

「これさ、火、吹いてるの?」

「そうだね。馬が背後から火の息を吹き掛けてきた」

「避けた?」

「結構喰らった」

「ダメージは?」

「二割くらいかな。あと、火傷の状態異常になった」

「それは?」

「多分敏捷値ダウン、筋力値ダウン、継続ダメージ。でも、治癒で回復した」

「ふーん。見た目よりダメージ軽いかな?

 後さ、結構自分の弾、当たってるよね?」

「結構どころじゃ無いぞ。それこそ穴だらけになるくらい」

「だよね。

 良くこれで生きてるなーと思うんだ」

「まあ、ちょいちょい回復してるから」

「んーMPはジルヴァラのマジックポーションでしょ?」

「うん」

「あれもダメージ喰らうよね?」

「微々たるもんだよ」

「一回試したけど、三割くらい持って行かれたよ?」

「三割?」

「うん」

「それに、当然の様に被弾しながら動いてるけど、これ、一発結構重いよね?」

「そこまでじゃ無いだろ? 急所に当たれば違うだろうけど」

「でも、これでジルヴァラを倒したんだよ。君は」

「あれはまとめて喰らわせたからな」

「うーん、納得いかん!」


 時間を置いてログイン。

 そして、ウミとセーレ戦の映像を見返しながら、映像に映って無い細かい情報やらの質問に答えている訳だが。


「で、その辺の諸々を計算して『イケる』って事で突っ走ったんだよ。

 ま、ギリだって自覚はあったけど」

「ちょっと、フィールドで確かめたい。君、回復力おかしい」

「ん?」


 という訳でウミに連れられフィールドに。


 ◆


 地面に左手を置く。

 その上にウミが左手を重ねる。

 甘酸っぱい青春のワンシーン……では決して無いのである。

 なぜなら、目の前に刃物がある。


「行くよ」

「ああ」


 ウミが右手に手にした剣を振り下ろす。

 そしてその剣先が、二人の手を貫き地面に突き刺さる。

 微かに痛み。


「どう?」

「んーどれくらいだろう。3パーセントってとこかな」

「私は、7~8パーセントぐらい」

「ステータスの影響は?」

「無いとは言い切れない。で、継続でダメージがある。進行中」

「それは、無いな」

「そっか」


 ウミが剣を引き抜く。


治癒キュア治癒キュア


 二人を回復。

 ウミの願いでこんな実験をしてみた訳だが。


「やっぱ、ダメージ量と、自然回復量が違うよ」

「あ、そうか」

「ん? 何かカラクリがあるの?」

「んー、アリアシアの親に変な薬飲まされた。ドーピング中だわ。この体」

「へー。そう言う事か。自然回復量増加?」

「そう。アリアシアも飲んだって言ってたな」

「あの子もか」


 結論が出たので町に戻る。


「しかし、そこまでの効果か。比較が無いからいまいち実感が無かったな」

「つー訳で、あの弾丸の雨は常人には結構痛いから控えなさい」

「了解。誰か傘を発明しないかな」

「なんか、そんな子居なかった? 闘技大会に」

「あーいたな。黒い人形」

「なんでみんな黒が好きなんだろうね」

「本当だよ。黒とか白とか」

「ちなみに闘技大会で団体戦があったらみんな白装束にするか、それとも、魔法少女みたいに色分けするかで意見が分かれているんだけど、ハルシュはどっちが良い?」

「白一色か戦隊モノか……。どっちもイタいな」

「そこは、私がカッコよく仕上げるから」

「でも、黒魔道士に黒騎士の時点で被ってるぞ」

「いやいや、ちゃんと色は分けるよ。

 一応、リーザは緑、ジルは白か黒、獅凰は黄色、私が青! アリアは紫かな」

「何でアリアシア入ってるんだよ。赤いねーし」


 ピンクも居ないし。


「赤はハルシュ、やる?」

「えー。ネカマがセンター? どうせフリルのスカートだろ?」

「嫌かい?」

「変な虫が付いたら困る。マジで」


 宿屋に着き、そして、食堂へ。

 話はまだ続く。


「やっぱ白装束かー」

「あれだよ。みんなで仮面もかぶろう」

「仮面?」

「犬神家みたいなやつ」

「それはー面白いけど魔王様が絶対嫌がるわ」

「そうかー。てか、俺とアリアシアを勝手に巻き込むなよ」

「いやいや。ハルシュはともかく、アリアはもうちょっと巻き込んで行くよ」

「何でだよ」

「朝さ、真っ青な顔して君を待ってたんだよ。ここで」

「そんなに?」

「そんなに。

 で、あまりに見てられないからジルと三人で待ってたんだから。

 その間、あの子ケーキ二切れしか食べなかったんだよ?」


 二切れは、『しか』では無いと思う。

 しかも、一切れがホールの四分の一。

 つまり、控えめに表現してるけど、半分食ってるんだよ。

 全然問題無いじゃ無いか。


「『ハルシュが帰らなかったら、私はもう生きていけません』だってよ?」

「いやいや」

「そしたらジルが、『アリア。私が居るわ。ハルシュは何があっても連れてくる。例えそこが地獄でも』って」

「魔王様らしいや」

「そしたら『姉様……』って二人で手を握り合ってさ」

「またか」

「背景にピンクの花が咲いてたよ。あれは魔王のスキル?」

「何だろうな。スキルなら教えて欲しいわ」


 ふと、思い至る。


「まさかと思うが、真珠姫、アレとは?」

「やってた!」

「マジか!」


 それは、見てみたかった。


 ◆


『A!』


 通信機越しにウミの短い指示。

 それと同時にセーレの姿が消える。

 飛んだ先は、獅凰の背後。

 直後、馬が体勢を崩す。

 咄嗟に反転した獅凰が右脚を切り飛ばした様だ。


貫き注入する・麻痺パラリシス・インジェクション


 そこにウミが馬の尻へ剣を突き刺す。

 更にオマケとばかりに獅凰が、翼を一つ根元から切り落とす。


「離れろ」


 横に並ぶ二人が右手を掲げたのを見て、二人に合図。

 咄嗟にセーレから距離を取る、ウミと獅凰。


「「炎。全てを無に(イ・レーズ)」」


 魔王とその弟子の声が重なり、直後、動けなくなった馬とその上のセーレを黒い炎がまとめて飲み込む。


 終わりか?


 その成り行きを見守る六人。


 やがて炎の中から現れいでるセーレ。

 騎馬は既に無く、その手に長剣。

 間髪置かず、斧を振りかぶったリーザが跳躍。

 身体をしならせ、全身の力を乗せたその一撃は、防御のために頭上に構えたセーレの剣をへし折り、そのまま心臓に達する程の傷を負わせる。

 それが、止めとなり、不死者は粒子となり消えて行った。


 結局先頭時間は十五分程か。


 て言うかさ、ジルヴァラの【魔王】も、リーザの【修羅】も強すぎないですか?

 俺が! 三時間激闘の末、打ち破ったボスを!

 まぁ、丹念に攻撃パターンを分析したウミの手柄が大きいのだけれど。

 そして、獅凰とウミがセーレの足を止めたことが最大の勝因なのは疑いようがないのだけれど。

 それでもさ、嫉妬する程の破壊力ですよ。

 何なの? 【英雄】。

 役に立ったところを見たこと無い!

 スキル効果も意味不明だし。


<ポーン>


 システム音。


<降臨モンスター・セーレ討伐おめでとうございます>

<特別フィールドから通常フィールドに転送します>

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新作もよろしくお願いします。
サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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