51 降臨イベントが始まる
【開催:アンドロマリウス降臨】
コンステレーション クエスト オンラインをお楽しみいただきありがとうございます。
10月10日0時より、特別イベント【アンドロマリウス降臨】を開催いたします。
エリアス島の北に突如出現した、『ムスカ・ボレアリス』。
そこで待ち構える、アンドロマリウス。
打ち破り、世界の平穏と均衡を維持できるかはプレイヤーの皆さんに懸かっています!
ボスを打ち倒すことが出来れば強力なスキルや、アイテムを入手できる可能性が!
仲間を募って、強力な敵に立ち向かいましょう。
なお、イベントフィールド、ムスカ・ボレアリスは離脱不可エリアとなります。
運営チーム
◆
ムスカ・ボレリアス。
始まりの島の北に突如出現した、その島。
イベントフィールド。
夜明けとともに、イベントが開始された。
さてさて、命知らずが蹴散らされる様子でも見ようかと、上空から遠巻きに眺めているわけだが……。
誰も居ないなぁ……。
障害物が一つもない、荒野の上。
その中心に、件のアンドロマリウスらしき姿はある。
1キロ以上離れているのでその姿はゴマ粒ほどだか。
対して、プレイヤーが一人も居ないのは、既に全滅って訳じゃないよな?
あれか?
このゲーム自体が、既に過疎ってるのか?
うーん。
突撃してみるか……?
いや、フィールド上は離脱不可。
流石に一人でどうこう出来ないだろう。
……フィールドの端、ギリギリから槍投げたら沈まないだろうか?
流石に無理か。
レベルは20の大台に乗った。
スキルスロットが一つ増え、危険だと言いつつ万全の準備をして来ているあたり、やっぱり倒したい訳で。
槍を右手に、少しずつアンドロマリウスらしき物に近づく。
島の端、上空。離脱不可エリアに体が入った瞬間だった。
アンドレマリウスがこちらを見て、そして、光が走る。
と同時に敵意。
マズイ。
マジックパリィ!
敵の攻撃を逸らすその武技は、しかし、発動する時間も与えられず俺の体を閃光が貫いた。
『超反応』のお陰で、辛うじて急所に突き刺さることは免れたが。
弾かれるままに全速で後退し、離脱。
◆
瞬時にウヌクアルハイまで戻った俺は、すぐに自分の状況を確認する。
HPが半分以下……。
そして、左の肩から先がすっかり無くなっていた。
「何だよ……アレ……」
一歩間違えば一撃死も有り得た……。
「……どうしたの? ハルシュ……」
更に間の悪いことに、犬を抱えたジルヴァラにその姿を目撃された。
「死にかけた。再生」
吹き飛ばされた腕を魔法で治す。
「まさか……降臨ボス? 行くなって言ったの貴方じゃない!」
「様子を見に行っただけだよ」
「何で様子だけでそんな大事になるのよ!」
「そんだけバケモンなんだろ……」
そう言って、ジルヴァラの腕の中に収まる毛玉にポンと手を乗せる。
吹き飛ばされた左手から、柔らかい感触が返ってくる。
あんな奴、現時点で勝てるプレイヤーは居ないだろう……。
◆
腕を吹き飛ばされ、命からがら逃げ帰り、やっぱり少し動揺していたんだろうな。
後にして、そう思う。
宿屋の食堂で仮想ウインドウを開いて問い合わせ。
ジルヴァラが横に座り、犬は下で貰ったミルクに口を付けている。
『はい』
「イベントの事なんだけど」
『申し訳ございませんが、フィールドへの移動方法につきましてはお答えできません』
画面越しのいつものオペレータが深々とお辞儀をする。
質問に謝罪を被せてきたのはそれだけ問い合わせがあるって事か?
そうか、あの島に人が居なかったのは、そこまで行く手段が無いからか。
……バカじゃね?
「いや、移動方法じゃなくてさ、敵の強さ。
危うく一撃で蒸発させられそうになったんだけど」
『ボスフィールドまで行かれたのですか?
なるほど。ハルシュ様は【飛行】スキルをお持ちでしたね』
……。
「へー」
それを聞いていたジルヴァラが、ニヤリとする。
……遂に、バレたか……。
「それより、ボスの件。
あんなの勝てる訳ないだろ? 調整間違えてないか?」
『そうでしょうか?』
「そうだよ」
『私共としては、十分お楽しみいただけるものと思っています。例え勝てなくても』
「はあ?」
『申し訳ありませんが、これ以上のお答えは差し控えさせていただきます』
再び頭を垂れるオペレータ。
『他にご質問はございますでしょうか?』
「いや……」
『では、失礼します。星々の導きのあらん事を』
仮想ウインドウが閉じられる。
ボスは意味がわからない。それは、まあ置いて置こう。
それよりもだ。
「ハルシュ様は【飛行】スキルをお持ちでしたね」
オペレータの声真似をして言うジルヴァラ。
「……言うなよ。誰にも」
「言わないわ。LPは?」
「……1」
最早、隠しても仕方ない。
「だから、プレイヤーから逃げるように移動してるのね」
「それだけじゃないけどな」
「……大丈夫よ。貴方は私が守るわ」
いやいや。
そう言うの、要らないです。
「結構だ」
「どうして?」
信用できないからな。
ジルヴァラが、では無く、自分以外の誰かが、だが。
「君が居なくなったら犬の面倒は誰が見るんだ?」
「え?」
ミルクを飲み終わった犬を抱きかかえる。
小さいなー。
「俺は今まで大丈夫だったんだから、この先も平気。守ってもらう必要は無いかな」
「でも」
「大丈夫。下手な事を考えるとそっちのほうが危ない。だから君は自分を守ることを優先するんだ。犬のために」
そう言って、犬をジルヴァラに渡す。
「リヒト、よ。名前。覚えてよ。
……わかったわ。貴方の事は守らない。でも、貴方は私を守ってくれるのよね?」
「ん?」
「自分で言ったのよ? それは変わらないわよね?」
「人使いの荒い上司だ」
「ふふふ」
いたずらっぽく笑う魔王様。
「この事は、二人だけの秘密な」
「誰にも言わないわよ」
はー。
あのバカオペレータの所為で面倒な事になった……。
いや、ジルヴァラの前で問い合わせをした俺も悪かったのだが。
「ねえ。ハルシュ」
「ん?」
「もし、貴方のライフがゼロになったら、私がハマルに迎えに行くわ。
だから、好きなだけ暴れて良いのよ?」
そう言うの、なんとかフラグって言うんじゃね?
そんなつもり、さらさら無いので止めて頂きたい。
ハルシュ Lv.20
筋力値:22
魔力値:22
敏捷値:22
装備:
【英雄の槍】
【魔導銃・喇式】
【ミスリルスケイル】
【大魔導士のローブ】
セットスキル:
├[1]【飛行】Lv.1
│└─【指南】Lv.1
├[2]【英雄】Lv.1
├[3]【槍】Lv.2
│├─【防御】Lv.1
│└─【魔法防御】Lv.1
├[4]【銃】Lv.1
├[5]【観察眼】Lv.2
│└─【暗視】Lv.1
├[6]【超反応】Lv.2
│├─【気配察知】Lv.1
│└─【魔力察知】Lv.1
├[7]【神聖魔法】Lv.1
└[8]【離脱】
所有スキル:
【回復】Lv.1
【夜目】Lv.1
【看破】Lv.1
【恫喝】Lv.1
【拷問】Lv.1




