33 闘技大会本戦を勝ち進む
『二回戦、第一試合、黒騎士対黒刃』
さて、一回戦に続き黒対黒。
真っ黒の鎧に身を包んだ黒騎士が盾を構え、斧を振り回す。
対して、黒のバンダナを巻いた黒刃が果敢に、多少は自信があったであろう速さを武器に立ち回る。
しかし、その尽くを(多分)リーザの盾が弾き返していく。
そして踏み込みすぎたその体を、斧が容赦なく叩き潰した。
『勝負アリ! 勝者、黒騎士』
◆
『二回戦、第二試合、黒魔道士対ロック@団員募集中』
大男が果敢に突っ込み大剣を振り下ろす。
初戦を見ていたのであろう。
黒い霧に弾かれ、それでも怯むこと無く二度、三度と振り下ろす。
しかし、結局その剣は魔道士に届くこと無く黒い炎に包まれ消滅した。
◆
『二回戦、第三試合、アンドレイ対配管工』
アンドレイが華麗とも言っていい程の立ち回りで配管工を圧倒。
その、秀麗な顔は終始汚物を見るような目を配管工に向けていた。
◆
『お姉ちゃん、頑張って!』
そう言うメッセージがウミから届く。
スクリーンショット付き。
画像の中で、ウミと人形が何かの肉の串を手に笑っていた。
頑張るけど、頑張るんだけど、お姉ちゃんじゃ無いんだ。
これ以上面倒くさいキャラを付けないでくれ。
◆
『二回戦、第四試合、オミ対ハルシュ』
相手は弓使い。
どう戦う?
間合いを詰めないと話しにならないよな。
『始め!』
俺は掛け声と同時に地を蹴る。
そして、わずかに、気づかれない程度に滑空。
一歩、二歩……およそ四十メートル程先の弓使いとの間合いを一気に詰める。
「足を刈り消す」
その速さに反応できないままの弓使いに、足払いの武技を仕掛ける。
そして、勢い良く足をすくい上げ、僅かに宙を舞う弓使いの鳩尾へ反転しながら槍の石突を打ち据える。
更に反転しながら、上段から一気に槍を振り下ろす。
穂先が頭蓋に突き刺さると同時に。相手が掻き消える。
『勝負アリ! 勝者、ハルシュ』
場内の歓声とどよめきに送られながら、控室に転送。
◆
『準決勝、第一試合、黒騎士対黒魔道士』
ランク10同士の戦い!
頑張れ! (多分)リーザ!
魔王も強いが、リーザは化物。
さて、戦いやすいのはどっちだろうね。
『始め!』
声と同時に飛び出す黒騎士。
その体から、僅かに紫の炎。
ほら、やっぱリーザだ。
剣を手に、一気に突進。
そして、上段から一気に剣を振り下ろす。
空気を揺さぶるような金属音と衝撃が場内に響き渡る。
続けて、横一文字に。
しかし、霧は、物ともせず。
リーザは構わず、再度上段から剣を振り下ろす。
その剣は、激しく紫の光を放つ。
ぶつかり合う二つの力。
直後、一層甲高い音を響かせ、リーザの剣が二つに折れる。
その刃を阻んでいた、黒い霧と共に。
素早く、背から両刃の斧を引き抜き、衣の剥がれた魔術師に刃を向ける。
それと同時に黒の炎がリーザを包む。
黒い炎に包まれ、それでも尚消えない紫の炎。
炎の中から振るわれた斧が魔術師の脇腹に突き刺さる。
だが、反撃はそこまでであった。
刃が、魔術師の体を両断する前に、リーザの肉体は粒子と化し消えて行った。
『勝負アリ!』
場内に響く歓声は、勝者への賞賛か、敗者を称えたものか……。
◆
『準決勝、第二試合、アンドレイ対ハルシュ』
相手は、速さで翻弄するタイプ。
その一撃は、常に正確に打ち込まれる。
涼しい顔のイケメン。
あーあ。
客席の女性陣を、全て敵に回してしまいそうで怖い。
ま、勝ちますけどね。
『始め』
掛け声と共に互いに前に出る。
じっくりと。
しかし、相手は、そう見せかけた後、一気にギアを上げ間合いを詰めに来る。
下がりながら、繰り出される剣を穂先で捌く。
間合いは此方に分が有る。
それは、相手も承知だろう。
懐に潜り込みたい筈だ。
絶え間なく繰り出される細剣の突きを捌き、反撃に転じる隙を見計らう。
絶え間なく突き刺さる、赤い敵意。
それを、全て槍であしらう。
相手が攻防に焦れ、次の手を決めあぐねたほんの一瞬の隙。赤が弱まる。
踏み込み、槍を突き伸ばす。
後退しながら避けると同時に、強烈な赤い視線が突き刺さる。次いで、相手の口が動く。
「切り裂く風」
飛び来る風の刃。
逡巡の素振りすら、囮だったか?
見えないその刃の魔力の気配に槍の穂先を向き変える。
魔力を払い消す。
槍に魔法防御を合わせたその技により、風の刃が搔き消える。
そして、眉根に皺を寄せたイケメン。その皺の寄った眉間目掛け再度槍を伸ばす。
「前に貫き進む」
相手が、武技と共に此方に突進しながら鋭い突きを放つ。
身を捻って躱したその剣先が俺の鼻先を掠める。
体が交差する瞬間、石突を相手の体へめり込ませる。
そして、体勢を崩したイケメンの喉仏に穂先を深々と突き立てた。
『勝負、アリ!』
相手が消滅すると同時に宣言。
残りは、アルバイトの魔王様か。




