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告白 ちょっと修正

それは例えるなら電子回路に電流が走るように素早く。

 大河の中心に投げ込まれた木片が流れるようにスムーズに。

 電光石火、迅雷風烈で無常迅速、ボクの上面の精神などお構いなしに、体がと口が自然と動き彼女に告白。

 何故か抗えないこの衝動に流されるまま頭を下げ目を瞑り差し出したボクの右手。

 まるで、テレビのお見合い番組のラスト近くの定番シーンのような感じで。

 混乱する僕の表層を本心は無視を決め込む。

 ボクの本心を察した胸ははち切れんばかり脈打ち。

 目を瞑っても彼女の姿が浮かぶ。

 エメラルドブルーの透き通った大きくて青い瞳。

 新緑の若葉のようなサラサラで光沢のある髪のポニーテイル。

 褐色の肌に映えるアラビアン風の服装。

 顔立ちはまるで人間じゃないみたいに整いとてもきれいでかわいい。

 凄い魅力的な女性だった。

 ボクは彼女だと感じた――。

 彼女より何倍も魅力的で綺麗な女性が現れても彼女――。

 彼女しかいないんだ――。

 彼女が動揺しているのが感じる。

 それもそうだ、初対面の異性に告白(結婚を前提に)をされたのだから。

 彼女からすれば迷惑かもしれない。

 学生の身分のボクが結婚を前提にお付き合いを求めて重いと思われるかもしれない。

 でも、この気持ちは――。


 胸に灯る暖かい物。


 彼女の事を考えると感じる空に気持ちよく浮かんでいるような幸福感。


 胸の中の心臓ははち切れんばかり脈打つ。 


 心地よくこれは心に大切な物だと訴ってくる胸の暖かい異常。


 まるで、薄い暗闇になれた目がやっと待ち望んだ光輝く昼の世界にさらされたような感覚。


 僕はずっと求めていたんだ――。


 僕の色めきに足らない灰色の世界を着色する色を――。


 彼女という色めきを――。



 「な……なんで私なんですか?」


 ボクが胸に芽生えた気持ちを理解するとほぼ同時に彼女は口を開いた。

 その声は動揺してかたどたどしい物だったけど。

 ボクは迷わず即答する。

 これが僕が心の底から絞り出した答えだから。


 「一目ぼれです!」


 ただ、一言。

 ボクの感情を表現するのはこれしかなかった。

 我ながらチープな答えだと思う。

 恋愛の初心者どころか恋すら一度もしたことがないボクが、一目惚れをしたといっても友人でさえ信用してくれないかもしれない――。

 ボクの事を全く知らない彼女から見ても奇妙で歪な行動かもしれない――。

 彼女みたいに抜群に可愛い女性にボクみたいな平凡な男が想いを告げて断られる事なんて当たり前かもしれない――。

 でも、僕はその日、彼女に恋をした――。

 まるで彼女以外と恋する事を拒んできた心が自らの束縛を解くようにあふれ出す想い――。

 そのボクが初めて感じた恋の心は甘酸っぱくもほろ苦くもなくて――。

 自らの優しい気持ちに包み込まれるような甘い幸福感だった。

 


 これがボクの初恋――。


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