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夜中にハッと目が覚める。

 そんなありふれた光景で見える薄暗い部屋の天井は、いつもよりはっきり見える気がする。

 

 「あれから一週間か……」


 先ほど目の前にあった光景から七日。

 求め続けた出会いは未だ影すら見えず期待だけが募るそんな日々が続く。

 出会い――それは人生の重要な予兆(フラグ)

 良きにせよ悪きにせよ出会いというフラグは人生と深く絡みついていて 人生とはフラグで成り立ている――。

 その証拠に古今東西多くの物語は何かしらの出会いを起点に物語は進行していく。

 英雄譚なら光り輝く聖剣だったり、自分を導く師であったり、美しいお姫様。

立ちはだかる幾多の強敵たちそれをバッタバッタと倒して世界を救うそんな話。

 ミステリーなら事件と被害者と関係ある人々。

 冴えわたる探偵の明晰な頭脳、明かされる事件とトリックの謎、事件の真相。

 ロボット物なら自分が乗るカッコいいロボットだったりで出会いの数だけ物語は変化していく。

それぞれの出会いは実に運命的で見ごたえがある。

 その最たる理由は出会いによって生じる登場人物の変化にある。

 時に傷つき時に笑い絆と結束を高めるシーンは印象的だ。

 その変化は僕が体験したことのない物ばかりで正直羨ましい。

 出会いとは変化の一要素であり起点である。

 それは人生も同じで出会いの数だけ人生の物語は変化の可能性を秘めていると言えるらしい。

 出会いとは使い古された言葉で言うなら運命だとも言えるけど。

 でも人の運命は決まってはいない。

 例えば大都市が崩壊する大地震が起こったとする。

 それに巻き込まれれば怪我や被害を必ず受けるかと言えばそれはケースバイケース。

 地震発生時建物の中にいれば被害は必須だけど。

 屋外にいるだけで生き埋めの可能性は大きく下がる。

いる場所がよければノーダメージだってあり得る。

 当然いる場所によっては地割れにはまるだとか看板が落ちきて破片で怪我をしたりする。

 大地震という大災害でさえ条件次第では確実に被災者を殺すことは出来ないのだ。

 確かに大地震のように人の手に及ばない運命ともいえるイベントは確実に訪れる。

 問題はその時大地震との出会いの場でどこで何をしているかだ。

 人間は気付かないうちに多くの選択肢に出会って気づかないうちに多くを捨てている。

 それが運命を分けることだってあるけど。

 唯一の救いは全ての出会いは自らの糧になる可能性を秘めている事だろう。

 最悪な出会い。最高の出会い。最愛の出会い。悲しみとの出会い。全ての出会いは捨てて拾って手を伸ばすものだ。

 その時の足掻きこそが僕ら人間が運命を選べる生き物である証明だと思う。

 片足のばたつきの違いですら同じ事柄でさえ違う未来に僕らを導く。

 これは誇張じゃない出会いとは時に豪快でデリケートで風船のように破裂しやすい。

 割るにせよ手を伸ばすにせよ、選択した結果で未来は決まり。

 その出会いをどのように糧にするかによって自分という存在は形作られていき変化していく。

 だれしもあの時そっちを選べば――と一度は思う物だ。

 その当時の迷いの天秤だって少し傾ければ反対に傾いていたからだろう。

 時はいくら望んでも戻ることはなく時は人間の後悔をわれ関さず無情にも流れ続ける。

 すでに遅いと分かっていても時よ戻れと念じることが人が無限の可能性を秘めていると言える。

 何故なら今と違う未来の可能性を考えないならそもそも時を戻れなどと思うわけがない。

 変えようもない過去でさえ可能性を見出せるならまだ見ぬ未来の可能性は果てしなく広がっていく。

 何故なら過去に戻れないなら未来に向かう選択肢しかないかだ。 

 過去に可能性を見出せるなら未来に可能性を見出すことは難しくない。

 結局人間とは出会いがないと生きていなない生き物なのだろう。

 出会いとは未来の予兆(フラグ)でありその光を人は手を伸ばして道を進む。

 その先に何が待っているかどんな出会いが待っているかなんて神様しか知らないだろう。

 僕たちは道を進むことを止めることは出来ない。

 来た道を戻ることは出来ない。

 唯一許されているのは道を歩きながら何をするかだ。

 休憩してお弁当を食べる。

 近くの道を進む人と雑談をする。

 自身の趣味の本を歩きながら読むのもいい

 道端のきのこや木の実を拾ったっていい。

 進みながら共に道をあるくパートナーを見つけるのもいい。

 もしかした足をくじいてその場に一時留まり再び歩き始める事があるかもしれない。

 歩けば歩くほど出会いは積み重なり我が道という人生は刻一刻と変化していく。

 それだけ人生とは出会いに満ちている。

 出会い、出会い、出会い、たかが出会いされど出会い。

 出会いが大切であることはわかる。

 でもそれが僕の願いに直結していると思うと途端想像が難しなる。

 しかし、何年もぴくりとも動かなった僕の恋の心が動く瞬間は想像できない。

 それよりもそもそも恋心とはなんだろうか?

 繰り返すけど。恋とは何だろうか?

 様々意見があるだろうけど。

 恋と言えば有名なのは、恋愛映画あたりが正解の一つと思う人もいるかもしれない。

 困難に合い高まる感情のラブロマンス。

 ゆれ動く感情、生き生きとした男女の演者たち。

 それは演技であろうとも、多くの人が憧れを持つ物だと思う。

 確かに恋愛事があるだけで作品の質は上がるし、演者の演じる映画の登場人物の心の動きは見ごたえがある。

 でも――僕には良く分からない。

 ストーリーが分からないと言う意味じゃなくて。

 純粋にその恋という感情が分からない。

 それはそのままの意味で。

 何故その流れで恋をするのか。

 その心の動きで結ばれるかがボクには皆目見当がつかない。

 僕は恋の始まりにさえ立ったことがないのだと思う。

 自分が知らない物への興味か。

 僕がある程度の年齢になると、自然と沸き上がった疑問。

 それが恋。

 そして恋心。

 ボクぐらいの年齢――高校生になると彼氏彼女を持つ人間はちらほらいるもので。

 告白をばらされ、きゃっきゃと困惑しながらはしゃぐ、クラスメイトを見たことがある人を見たことがあるかもしれない。

 それはとても楽し気で、僕の恋への憧れはより一層強くなった。

 確かに叶わぬ恋も往々として存在する。

 誰が見ても釣り合わない相手に告白する挑戦者もいる。

 でも、ボクにはかなわなくとも恋をすることが、とても魅力的で。

 ボクの眼には恋い焦がれる人は特別な輝きを纏って見えた。

 それがとてもきれいで魅力的で。

 でも、僕は恋が分からない。

 恋の予兆という相手の事を考えるときの胸のドキドキも――。

 異性同性に感じる胸の一時の高鳴りも――。

 その全てがボクにはなかった。

 覚えている限り、幼い頃でさえ一回も――。

 だからこそ、ボクは恋が知りたい――。

 分からないからわかりたいと言う、単純な思いから始まったボクの恋への渇望は、ボクを駆り立てたけど。

 一向に謎は解けない。

 どれだけ綺麗な人を見ても綺麗だと思うだけで、一緒にいたいと言う願望は持てず。

 スタイル抜群でセクシーな人を見るとボクも男の子だからつい見てしまうけど。

 特に憧れはなかった。

 でも、相手を思いやる親愛の情はボクは人並みにある。

 友人、知人を大切にできても恋に発展はしない。

 だからこそ、ボクは自分に問い続ける。

 

 恋と何だろう?


 恋心とは何だろう?


 まず最初は恋をすべきなんだろうと思う。

 どんな事も始まりを知らなければ中腹にさえたどり着くことは出来ない。

 気づいたら目的の登山ルートの中腹にいたなどあり得ない話。

 そのボクの第一歩が、恋心の始まり胸のときめき『恋』なのだ。

 ボクはそれ――胸のときめきを知るために得るために自分に問う。

 恋とは何なのかと――。

 でもやっぱり、そんな問いかけをいくらしたところで、十年以上謎だった事柄の回答が見つかるわけもなく。

 それを知る出会いなど僕のキャパシティで想像できるわけもなく。

 気づけば部屋の窓から日がさしていた。

 相も変わらずの恵みの太陽の早朝出勤に感謝しつつ。


 「着替えるか――」




次も書き直しやな

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