日常のホラー
残虐なものを含めてホラーというののは大くくりになっているので、何とも言えない。
趣味と言うと怒られるかもしれないけれど、同好の仲間と言う気がするよね。
面白ければ読むけれど、別に感想がつかなくてもイジイジする人はいない。
情勢を考えるとこのジャンルで書籍化を狙うと言うのはちと難しい。
好きなことを書いているのですよ。小説家になろうに最もふさわしい分野かと思います。
ここからですが、ひと昔前は日常がホラーだったのですね。
近隣に古民家があって文化財に指定されているというので見学に行ったのですよ。
古民家と言っても庄屋です。明治初期に飢饉があって襲撃されたそうです。そのときの刀傷なども見学したのですが。
このときに死者が数人出ました。要するに惨劇の現場なのですよ。
だけど血のりだってあるだしょうし、そこを清掃してまた住み続けると言いうのはな。
それで裏にお堂を作って毎日供養しているというのだけれど。
そういう問題ではないような気がする。
ここからは私の母の話です。認知症ではないのですが、父の命日をきれいさっぱり忘れたりするので少しまずいかなとも思うのだけれど。
たまにランチに行ったりすると、突然子供の時の思い出を語りだしたりする。
これがやたら怖い。
底なしの田んぼと言うのがあったそうな。名前だけでも怖いけど。アリジゴクみたいなもので、足を踏み入れるとズブズブと沈んでしまう。
だから筏みたいなものに乗って作業するらしい。いったい何を栽培していたの。
ところが、遠方から嫁に来た人が事情を知らずに田んぼに入って沈んでしまったそうな。
子供だっているのにそんな危険なものを放置するなんて。
「かわいそうにねえ」
「・・・・・・・・」
大体80年くらい前の話でしょうね。それにしてもあんまりではないですか。
ある家族がたまたま乳幼児を連れて農作業に行ったのですが、その鷲だか鷹だかにさらわれたというのね。
ひどいではないですか、野口英世の方がまだましではないですか。
「かわいそうにねえ」
待ってよ、お願いだから一言で話を完結するのはやめてよ。
おそらくね、このように日常に異常なことが起こるのではいちいち泣き叫んではいられないのでしょう。
出るとか出ないとか、心霊スポットに行くなどと言うことは平和だからできる話なのよ。
「そう言えば肺病やみの家というのもあったな」
よく聞いてみれば誰もその家近づかないし、どうしても近くを通る時は手拭いで口と鼻を塞いだとか。
このうような差別的な行為が許されるのでしょうか。
「自分の身は自分で守らなくてはいけないからね」
そうかもしれないけれど、もしかしたら正論かもしれない。
しかし死んだとなると協力したらしい。当時は当然土葬なのだけれど、流行り病の場合は火葬したらしい。
当然火葬場などないから、空き地に薪を組んで焼いたらしい。
「不思議なことにその後何年たっても草のひとつも生えなかったね」
怖い。