表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

彼女のペペロンチーノ

俺の奥さんは料理がヘタだ。不器用なんだ。でも、そのお陰で知れたことは沢山ある。例えば、レンジで本当に卵が爆発するとか、(掃除が大変だった。したのは俺)野菜炒めを不味く作れるってこと、(言葉では言い表せない)それから、カレーがトラウマになるってことだ。

結婚して何年か経った時にぽろっと溢した一言で唯一、ペペロンチーノだけは美味しく作れるようになった。


「最近パスタ食べてないよなぁ。久しぶりにペペロンチーノ食べたいなー」

「そう言えばそうだね。よしっ。今度あたしが作ってあげる。見てて。ペペロンチーノだけはうまく作って見せるから。」

彼女の気合いはなかなかだった。気合いだけで料理が作れれば良かったんだけど、そうはいかない。


ペペロンチーノを食べたのはその会話の2週間後だった。きっと何度も失敗したのだろう。こないだに比べて少し丸くなった気がする。

だが、俺はそんなことより(大事じゃないわけじゃないが)なぜあんなに言ったのか不思議でならなかった。

今まであんな風になったことはなかった。好きなお酒でもあそこまでじゃない。

ペペロンチーノにそんな思い入れがあったのか、食べ終わったときに聞いてみた。

「なんでペペロンチーノなの?」

その質問に彼女は少し恥ずかしそうに答えた。

「だって、告白されたとき食べてたのがペペロンチーノだったんだもん。」


思い返せば高校時代、いつも金欠でファミレスくらいしか行けるところがなかった。勉強会、なんて言って彼女とあって話がしたかっただけだ。

さすがに俺だって告白するときまでファミレスでいいとは思っていなかったから、バイトで金を貯めてレストランに連れていった。

まぁ、レストランと言うより食堂ではあったが必要なのは雰囲気だ。

そこで俺が注文したのがペペロンチーノだった。

いま思えば何でペペロンチーノを選んだのか分からない。そんなことより、そこで俺は告白したんだ。

二人でペペロンチーノを食べながら。



「っとまぁこーゆー訳さ」

「それ、今ので何回目だと思ってる?もう耳にタコができるわっ!」

「やーごめんって。でもさ、言いたいんだよ。あいつかわいいし。」

「ノロケはよそでやってくれるか?」

「まぁまぁまぁ―――――」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ