八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさん。その7。
八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさん。その7。
八雲 「今年も逆三角形の聖地は戦場だったんだろうな~」
夏目くん「逆三角形の聖地?」
八雲 「コミケの会場だよ。毎年やってるの」
夏目くん「ああ、あのニュースになる同人誌即売会のことか」
八雲 「そう。それ。俺も一回行ってみたいんだよね」
夏目くん「行けばいいじゃないか」
八雲 「そんな簡単に言うなよ! コミケは戦場なんだよ! 素人が一人で乗り込んだら命を落とすかもしれない危険なところなんだよ!」
夏目くん「そんなにすごい所なのか」
八雲 「ええと、今年は三日間で約55万人だっけ」
夏目くん「それはすごいな」
八雲 「な? すごいだろ」
夏目くん「さぞかし経済効果も期待できるだろう」
八雲 「確かに何百億って言われてるもんなぁ。って! お金じゃないから! お金は夢を買うための手段なだけだから!」
夏目くん「金が動くことは良いことだと思うが。だが、同人誌って二次創作がほとんどだろ。大丈夫なのか」
八雲 「大丈夫って?」
夏目くん「TPP問題」
八雲 「TPP問題?」
夏目くん「非親告罪化」
八雲 「ひしんこくざいか? 何それ?」
夏目くん「……おまえ少しはニュースを見ろ」
八雲 「TPPはなんとなく分かるよ! 輸入品の関税のこととかだろう!」
夏目くん「貿易だけじゃなくて、他にも金融などのサービス、一時入国の取り扱い、政府や企業との間で国際紛争が起きたときの解決方法など、多岐に渡る。その中には知的財産権も含まれる」
八雲 「TPPってそんなにいっぱいのことがあるんだ。知的財産権も含まれるって同人は作者さんが了承したら平気なんじゃないの」
夏目くん「そこに出てくるのが非親告罪化」
八雲 「だからそれ何?」
夏目くん「平たくいうと、原作者が黙認していても第三者機関の指摘があれば警察が取り締まれるってこと」
八雲 「警察? なんで? ひどいよ!」
夏目くん「海賊版と二次創作の境目がどこなのかってことだな」
八雲 「そんなの悪意があるかないかだろ!」
夏目くん「そのラインをどこで引くかが問題なんだろ」
八雲 「でもさ! みんな原作が好きでその「好き」の気持ちを自分なりに表現してるだけなのに、海賊版と一緒にされるなんて心外だよ!」
夏目くん「感情論だけをいってもの法は動かない。そうならないために必要なことを考えなきゃ駄目なんだろう」
八雲 「俺、難しいことは分かんないけど、きっと55万人もいれば何かが動かせるよ!」
夏目くん「確かに数百億円が消えるのは日本経済にとっても大打撃だしな」
八雲 「結局金に戻るのかよ!」
難しいけど大切な問題ですよね。