八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさん。その6。
八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさん。その6。
八雲 「……」
夏目くん 「……」
鏡花姐さん 「あらまた、どうしたの。二人とも黙っちゃって」
八雲 「鏡花お姐さん……。俺たちに合わせたいって人って?」
鏡花姐さん 「もうすぐ来るわ。わたしの友達なの。それにしても遅いわね」
夏目くん 「あのこっちに向かって走ってきているのか?」
鏡花姐さん 「あ、そうそう。もう! あの子ったら相変わらずセンスのない服装ね!」
【ぽっちゃり女子が走ってくる】
八雲 「……走って来ているのは見えるのに、遅いね」
鏡花姐さん 「ぽっちゃりさんだからかしらね。トストストスという音が聞こえてきそうね」
夏目くん 「確かに」
八雲 「鏡花お姐さん、女の子にそんなこと言ったらダメだよ! 夏目も納得するな!」
鏡花姐さん 「八雲ちゃん、優しい~!」
夏目くん 「おまえ、そういうのうるさいよな」
あっこちゃん「おまたせ、鏡花!」
鏡花姐さん 「遅いわよ、あっこ。紹介するわ。この子はわたしの友達の晶子。あっこって呼んであげてちょうだい」
あっこちゃん「初めまして。鏡花の友達のあっこです。よろしくね」
八雲 「よろしくです」
夏目くん 「どうも」
鏡花姐さん 「どう、あっこ。言った通りでしょ?」
あっこちゃん「うん! すごいわ鏡花! よくまあこんな子たちを見つけたわね!!」
八雲 「……あの、何の話をしているの?」
あっこちゃん「君は『受け』ね」
八雲 「は?」
鏡花姐さん 「八雲ちゃんはそうね」
あっこちゃん「そっちのハンサムくんは絶対『攻め』ね」
鏡花姐さん 「ナッくんはそれ以外ないわね。それを言ったら八雲ちゃんもそうだけど」
八雲 「……鏡花お姐さんとあっこさんはさっきから何を言ってるの?」
あっこちゃん「八雲ちゃん、鈍いね。男で『攻め・受け』と言ったらBLしかないでしょ」
八雲 「BL? BLってあの男同士で恋愛する…?」
あっこちゃん「他になにがあるのよ」
八雲 「ベーコンレタスバーガー」
鏡花姐さん 「八雲ちゃん、もうさすがにその使い方は古いわよ」
八雲 「鏡花お姐さん、ひどいよ! でもBLって! なんで俺が『受け』なの!? ヤダよ!!」
鏡花姐さん 「ヤダっていってもねえ」
あっこちゃん「まあ、極めれば『受け攻め』もできるようになるわよ」
八雲 「あっこさん、さらっと話を進めないでよ! 俺、『受け』も男と恋愛も無理だからね! 女の子が大好きなんだからね!!」
あっこちゃん「大丈夫よ、八雲ちゃん。一度扉を開けばあとは楽になるから!」
八雲 「扉ってどこの扉―!? しかもそれ開けちゃダメな扉でしょー!!」
あっこちゃん「こんな逸材が近くにいたなんて! あたしとしたことが! でもおかげで創作意欲がわいてきたわ!!」
八雲 「創作? あっこさん、なにかしてるの?」
鏡花姐さん 「この子、同人誌書いてるのよ。その世界じゃちょっとした有名人よ」
八雲 「……腐女子だとはわかったけど、まさか出してるなんて」
鏡花姐さん 「甘いわね、八雲ちゃん。あっこクラスまでいくと、もう腐女子とは言わないのよ」
八雲 「なんていうの?」
鏡花姐さん 「貴腐人」
八雲 「どっちでもいいよ!!」
あっこちゃん「やっぱナマのモデルの男の子がいるのはいいわね! しかも『攻め』と『受け』がそろっているなんて!!」
八雲 「あっこさん!? 俺たちをモデルに何をする気なの!?」
鏡花&あっこ「何ってナニ?」
八雲 「うるさいよ!! おい夏目、さっきから黙ってないでおまえもなんか言ってやれ!!」
夏目くん 「日本語ってすごいな」
八雲 「感心するなーっ!!」
あっこちゃん登場です。「貴腐人」を知った時は素直に感心と感動をしました。






