八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさん。その4。
八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさん。その4。
八雲 「夏目のバカヤロー!!」
夏目くん「なんだ、急に」
八雲 「この前、あのあとひどい目に合ったんだからな!」
夏目くん「鏡花姐さんに喰われたか」
八雲 「さらっと恐ろしいこと言うな! 貞操は死守したよ!! 俺にだって男の意地があるんだ!!」
夏目くん「ああ見えて鏡花姐さんは頭脳派だから、力技では迫ってこない。安心しろ」
八雲 「俺は無理やり担がれて攫われたけどな!」
夏目くん「そうだった」
八雲 「もうやだ! ……俺、初めてスカートはいちゃった……。すっげえヒラヒラの。鏡花お姐さん、大喜びしてた」
夏目くん「結構じゃないか」
八雲 「結構じゃないよ! 俺、もうお婿に行けない! 田山ちゃんとも結婚できないよ!!」
夏目くん「安心しろ。もともと二次元のキャラとは結婚できない」
八雲 「わかってるよ! 気持ちの問題なんだよ!! だいたい、なんであんな濃い人と仲がいいんだよ!!」
夏目くん「知らん。向こうから勝手に寄ってきただけだ」
八雲 「……どういうふうに寄ってきたの?」
夏目くん「初対面でいきなり真正面から飛びついてこられた」
八雲 「そ、それでどうしたの?」
夏目くん「背負い投げで沈めた」
八雲 「どこが頭脳派だよ!! そしておまえは何者なんだよ!!」
夏目くん「そこからなぜか気に入られた。それだけだ。悪い人じゃない。たぶん」
八雲 「……最後の一言が俺の不安の心に深く刺さるんだけど」
夏目くん「あの人は気に入った相手にしか手を出さない。それもかわせばたいして害はない」
八雲 「俺にはおまえみたいな戦闘能力はないよ!!」
夏目くん「だから襲われてないだろ」
八雲 「あ……」
夏目くん「鏡花姐さんは人をよく見ている。本気を出されれば俺も簡単には勝てないし、おまえだって瞬殺だ」
八雲 「確かに……」
夏目くん「鏡花姐さんはおまえが気に入ったんだよ。これから関わっていくかは自分で決めろ」
八雲 「……着せ替え人形にされたのは恥ずかしかったけど、鏡花お姐さんはずっと優しかった。……だから、嫌いじゃないよ」
夏目くん「そうか」
八雲 「仲良くなりたいとは、思う」
【夏目くん、無造作に携帯電話を取り出す】
夏目くん「だそうだ。よかったな」
八雲 「へ……? 誰に話してるの、夏目」
夏目くん「鏡花姐さん。今の会話、全部スピーカーで聞いていた」
八雲 「な! 騙したな、夏目!!」
夏目くん「別に騙してない。 決めたのはおまえだろ」
八雲 「ぐっ! そ、そうだけど」
夏目くん「鏡花姐さん、あと数十秒でここに来るぞ」
八雲 「ふざけるな~!!」
逃げて、八雲くん!