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【2‐8】お兄様と冒険者ギルドに向かいます

 宿屋を出てからはジョンの馬車で私達は素材の売却、そしてピクスィーを依頼者の屋敷まで送り、依頼の品を届けに行ってもらいました。


 ほくほく顔で戻ってきたピクスィーはウィスキーボトルぐらいのサイズの瓶に蜜を入れて戻ってきましたね。


 蜜はそれでもかなりの価値らしいですね。彼女の話だとおちょこ一杯程度でも五〇〇〇ジルはするそうです。


 お兄様と私で少しなめさせていただきましたが、身体がとろけるほどの極上の甘さでした。

 お兄様の頬も垂れ落ちてそれがまた素敵なのです!


 ただ私達はそれを持っていても使い道がないので、私達の取り分はジョンに渡しました。

 そしたら今度奥様にお菓子をつくってもらい持ってきて頂けるとか。


 て、へ?


「あ、あの奥様は、え~とご健在で?」


「え? はぁいますが」


「ママいるよ~」


「あ、でもラリアちゃんママはもうって……」


「あ~、うんそうだよ~ママね……もうお胸大きくならないんだって……」


 しょんぼりと肩を落としていいますが、なんだそういう事だったのですか……


「なんか娘が紛らわしいことをいってしまったようですみません」


「いえいえ~こっちこそ勘違いしてごめんね」


「そんな! 勘違いしたのは私です!」


「どっちでもいいじゃん」


 ピクスィーが呆れたようにいいますが、お兄様が勘違いされるのは許しがたいことなのです。

 でもジョンは笑ってくれました。いい方ですね。


 そしてそのまま冒険者ギルドに送ってくれました。そこでジョンとは一旦別れを告げ、ピクスィーの案内でギルドに入ります。

 ギルドは石造りの白い建物で二階建てですね。

 入り口のドアの上には剣がクロスされた看板が掛かっておりました。


 そしてギルドの中にお邪魔しピクスィーの後に付き従いますが、ただ周りのピクスィーに対する視線が冷たいですね。

 ヒソヒソ声を聞く限りどうやら魔法を使えなくなるというスキルで嫌われてるらしいです。冒険者にも色々あるのですね。

 それにしても冒険者の方々はかなり心がせまいようです。


「このふたりの実力は僕が保証するよ。なんてったって――」


「え! 盗賊を退治してシャダクに蜜の採取もですか! それでしたら問題ありません試練も免除です」


 ギルドのカウンターでピクスィーが説明すると、受付の巨乳の女の娘が驚いたようにいいました。その様子にお兄様が照れくさそうにしてます。

 むむぅ私の方が美乳ですよ!


「では登録させていただきますね。この本にお手を触れてください」


 そういわれてお兄様と私で本の上に手を乗せました。

 どうやらこの本に触れることでお兄様と私の能力が記録されるそうです。

 ただ糸で調べた限り、通常の隠蔽ではごまかしきれませんが、私の専用スキルで弄ったステータスまでは見破ることが出来ないようです。


「はいありがとうございます。え~とミサキ様はレベルが10と――」


 結構戦いましたからね。レベルは少し上げてます。


「そしてショウタ様が……え!?」


 受付嬢が素っ頓狂な声を上げました。そんなに驚かれるとは、やはりレベル7000でも十分高いということなのでしょうか?


「しょ、少々お待ちください!」

 

 すると慌てたように声を上げ、受付嬢が奥の階段を駆け上がっていきました。


「おいおい一体あんなに驚かれるなんてどれだけレベル高いの?」


 ボクっ娘が目を丸くさせてお兄様に訪ねます。

 それをお兄様は笑って誤魔化しておりますね。


「ショウタ様!」

 

 あ、受付嬢が今度は階段を駆け下りてきました。


「支部長がお呼びです。お部屋まで一緒に来て頂けますか?」


 う~ん? 支部長ですか。て、ピクスィーが更に驚いてますね。

 普通はいきなり支部長が会うなんてことなんてないそうです。


 ふむ、ちなみに兄妹ということで私も一緒に通されました当然ですね。


 そして受付嬢に案内され二階へ上がり一緒に部屋へと向かいました。


「いや、どうも突然お呼び立て致しまして申し訳ありません」


 部屋にはいると一人の壮年の男性が丁重に頭を下げて挨拶してきました。

 お兄様と私もそれに倣って返礼致します。


 冒険者ギルドの支部長ときいていたので、厳格な方を想像してましたが、意外と物腰の柔らかそうな人ですね。

 

 ローブを纏い杖を持ち眼鏡をかけてます。細身で戦士タイプにはみえませんが、うんやはり糸でみたところ魔法士の方でした。

 でもレベルは200を超えてますね。


「さて早速本題ですが――」


 支部長に促されソファーにお兄様と並んで腰を掛けると、彼がレンズの奥の目を光らせてきましたね。

 この辺は少しは迫力があります。


「おふたりは迷い人ですね?」


 へ? 突然なんでしょうか?


「え? え~と、迷い、人?」


 お兄様が不思議そうに首を傾げます。

 当然ですね私もわかりません。


「あの、その迷い人というのは何なのでしょうか?」


「え? あぁすみません。そうですね、そちら流でいえば異世界からやってきた者、といえば判りますでしょうか? 迷い人とはそういう意味です」


 一瞬にして空気が変わります。

 お兄様も私も警戒心を露わにしました。


「あっとすみません。そんな怖い顔しないで下さい。いや受付からレベルの話をききましたので、もしかしたらそうかなと思ったのですよ。他の世界からきた方は大抵レベルがこの世界じゃ考えられないほど高いですから」


 その言葉でお兄様が目を丸くさせました。


「ということは過去にも異世界からきた人が?」


「はい、それを一部の者の間では迷い人と呼んでます」


 支部長の話だと迷い人は過去何度も現れ、その度に大魔神を倒したり戦争の火種を消したり、また色々な技術を伝えたりしたそうですね。


 どうりで水道が完備されていたり、和食があったりするわけです。


「まぁそういう事なので、私達としては迷い人は寧ろ歓迎ではあるのですが――実際のところはどうでしょうか?」


 そういわれお兄様が目で確認をとってきましたが私はひとつ頷きます。

 判断はお兄様にお任せしますので。

 ただこの支部長は、お兄様と私がその迷い人であると確定して話してるように思います。


「実はそうなんです。それで解決策がないかとおもって……」


 お兄様もそれを感じたようで、支部長に素直に自分たちの素性をお話いたしました。

 流石お兄様! 懸命なご判断です!

 



「――なるほどなるほど。それでおふたりとしては元の世界に戻りたいと」


 お兄様の説明に支部長が頷きます。

 どうやらお兄様は元の世界に帰る為の情報が欲しかったようですね……

 私は……正直戻りたくはないのですが、とりあえずはお兄様の話に合わせます。


「それで前の迷い人というのはそれからどうなったのですか?」


「そうですね。最後に現れたのは三〇年ほど前だったと思いますが、確か最後には元の世界に帰られたと聞き及んでおります。その他の迷い人も中にはこの世界で一生を過ごされた方もいたようですが、大体は元の世界に戻られたそうですので、帰る方法はなにかあったのだと思いますね」


「だって! 良かったねミサキ!」

「え、えぇそうですわねお兄様」


 私はとりあえず相槌を打ちますが気持ち的には微妙なのです……


「まぁとりあえずその方法については私達の方でも調べておきましょう。ただそれまではギルドにご協力頂けますか?」


「うん! 勿論だよ!」


「良かったです。迷い人のお力は心強いですからね」


 そういって支部長が笑顔をみせましたが……こんなにあっさり協力して貰えるとは、もっと異世界にはお兄様が必要です! とか引き止めてくだされば宜しいのにまったくもう!


「あぁそれですみません。実はひとつお願いがありまして皆様の素性は出来るだけ他の人には伏せておいて欲しいのですよ。いらぬ混乱を招く可能性もありますし、迷い人の事は殆どの方は知りませんので――」


 なるほど……私達を呼んだのはその事を伝える意味合いも多きかったようですね。

 勿論お兄様の実力を買ってというのが一番の理由でしょうが。


「それとこれをお渡しして置きます。申し訳ありませんがショウタ様は常時嵌めておいて頂いてよろしいでしょうか?」


 そういって支部長が取り出してみせてきたのは赤いルビーのような宝石が嵌めこまれた指輪です。


「これは何でしょうか?」

 

 と、聞きつつも糸の力で調べはしますが。


「これは隠蔽の指輪です。この指輪を嵌めていればショウタ様のレベルは70として表示されます。勿論見た目上だけですけどね。この指輪はかなり力が強いので隠蔽の効果が破られることもないはずですので」


 なるほど……レベル7000というのを知られるのはまずいって事なのですね。

 確かにこの指輪には特定の隠蔽効果が付与されています。

 糸で見る限り嘘もないですね。


「判りました。ありがとうございます」


 お兄様はお礼を言って指輪を受け取り、直ぐにそれを指に嵌めました。

 ですので私もお兄様のステータスを弄ります。

 実はこの指輪は私のスキルには全く効果が無いようなのです。


「それでは冒険者としてのご活躍期待しております。それと受付には前もって適当に私の方で伝え、本来の能力は他言しないようにも言いつけてますので――」


 ひと通り話しも終わり、支部長の部屋をお兄様と辞去しその脚で受付カウンターに戻りました。

 ピクスィーが待っていてくれたので、ギルドに紹介してくれたお礼をいいつつ、受付嬢と再度話をし、冒険者の証明であるプレートを受け取ります。

 

 これで身分を証明するものが持てましたね。ジョンにも迷惑をかけずに済みます。


 そしてその後は魔金を売り(受付嬢には魔金の量でも随分驚かれましたが)、手に入れたお金と素材を売却した分をピクスィーと分けあいました。


 その後は、依頼は請けますか? と訊かれましたが今日はとりあえずこのまま図書館にいきたかったので、お兄様と相談し依頼はまた後日というお話に落ち着きましたね。


 そしてギルドを出た後は先に装備は揃えておこうよ、とピクスィーがいうので、彼女のオススメの装備店で、ひと通りの武器と防具を買いました。

 

 基本動きやすさ重視でお兄様も私も革装備。

 武器はお兄様が長剣、私は小剣です。


 その後は一旦ピクスィーと別れ図書館に向かいました。


 ピクスィーは本は苦手なのだそうです。見た目通りですね。

 ちなみに素材と魔金を売った分で資金にはかなり余裕が出来ました。

 装備を買っても十分すぎるほど余っています。


「うわ~~結構な量だね~」


 図書館に着くとお兄様が驚きの声を上げました。確かに中々の量ですね。

 そしてお兄様も何か歴史の関係の書物などを持ってきて椅子に腰掛けお読みになっております。

 流石お兄様は勉強熱心です! ガリレオやノーベルも驚きの努力家です!


 さてっと私は私で本を探すふりをしながら糸を出して館内を回ります。

 こうしておけば触っただけで中身が瞬時にわかりますからね。


 更に魔法書も持ちだしてお兄様の隣で読んでいきます。

 まぁあくまで振りになってしまいますけどね。何せ内容は糸と賢女の心得の効果でどんどん頭の中に入ってきます。


「そろそろ閉館ですので」


 時間になると何か司書のような方にそういわれたので、お兄様と私は図書館を出ました。


「色々勉強になったよ~」


 道すがらお兄様が嬉しそうにいいます。私も読書を続けるお兄様の素敵な横顔がみれて幸せです!




「あれ? ジョンさんどうしたの?」


 お兄様と宿に戻るとジョン様が戻っていらして、カウンターの近くの椅子に座りため息をついていました。


「あぁミサキ様にショウタ様お帰りなさいませ。いや、大した事ではないのですが例のお店まで納品しにいったら、少し予定がずれたとかで今日は受け取ってもらえなかったのですよ。まぁ準備が出来たら連絡を頂けるという話ではあるのですが……」


 なるほど……本当に買い取って貰えるのか心配になって、といったところでしょうか?

 お伺いしていた話では、かなり高価なものみたいですし、それが万が一キャンセルとかになると商売としては厳しいのでしょうね……


「パパ~元気出して~」


「うん? あぁそうだな。それに明日は学園の下見だし。よっし! な~にきっと大丈夫さ!」


 ジョンが高い高いするようにしてラリアを両手で持ち上げましたね。

 彼女も喜んでいます。本当にいいパパさんですね。


 その後はピクスィーも戻ってきました。そして一緒に夕食をとります。

 今晩は流石にあの変な男も見当たらず、楽しく夕食を摂ることが出来ました。

 

 そして部屋に戻ってからは私は習得した魔法の改良に入ります。

 これをしておけばお兄様の役にきっと立つはずですからね。見ていて下さいお兄様!

長くなってしまいましたが漸く冒険者です。

ここまでお読みいただいてもし気に入って頂けたなら感想や評価を頂けると嬉しく思いますm(__)m

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