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ハロー♪ロンベール

オークになったからちょっとお出掛け

(う…頭痛い)


昨夜の収穫祭は呑みすぎた。


久々に人間らしい食事をしたのだ。


植物時代は根から栄養を吸収していたし牛時代は草だし


ミミズ時代は土…


ベジタリアンが俺の食生活を聞いたらイッツグレイトとかいってスタンディングオベーションだろう。



さぁ動く体も手に入れたし、旅でもしようかと思ったのだが、せっかくオークになったのだし、暫くオーク時代を楽しもうか。


特技の確認もしなきゃならないし。


そういえば、この体の持ち主であるジェードはどんな生活をしていたのだろう。


記憶を呼び覚ましジェードの自宅も両親もわかった。


あとはどんな生活を…


そんな事を考えていたらジェード母から声がかかる


「ジェード!!朝食食べて肥料取りに行ってくるのよ!!」



もしや


あの牛○を集めていたのはジェードだったのか?


なんたる偶然!!


という事はあのトウモロコシ畑も…そして俺を食べたのも


ジェードはあの広大な土地で俺(牛○)を拾い、そしてあの大量収穫した中で、俺という一本(トウモロコシ)を食べるとは。


よっぽど運がない


しかし運命も感じる。


もう他人のような気はしない!!

まぁいい。


干しトウモロコシのナンシーも食べてみたいし牛○拾いくらいやってやるさ



俺は籠を片手にあの大地に向かう。


異世界にはじめて降り立ったあの地に。



道中は平和なくらい平和だった。


考えてみればこの不幸なオークであるジェードが行ける場所だから当然か。


牛○拾いに大地に立つと草が歓迎しているようだ。


もしや俺を覚えているのか?


(…まさかな)


そのまさかであった


牛○も歓迎してくれてたのだ。


《僕はここだよ》とばかりに匂いを放っている



オークになった俺は鼻が利く為に、大ダメージである。


ウィンドウを開くとHPが凄い勢いで減少していく。


牛も寄ってくる…あれ?この牛達はロンベールの牛達じゃないか


ロンベールは俺に気付いていないようで明後日の方を向いてタバコをふかしている。


(…驚かせてやるか)


俺は後ろから声をかけた


「ハロー♪ロンベール。牛○は貰ってくぞ」


「ヒイイィ!!オーク!!」


…驚かせすぎた。


ひっくり返ったロンベールは膝から血を流している


(…ヤバ…こんなに驚くとは)


そのまま逃げる事も考えたが得策ではないだろう。


この地で放牧してもらえなければ堆肥の牛○は手に入れられない


俺はロンベールに近づく


ロンベールは怯えて手に触れるものを全て投げ付けてくるが関係ない


他のオークはわからないが、ハイオークの俺には通じない


ロンベールを押さえ付け、

靴を脱がせて傷を見る


周りの牛も心配そうにロンベールの回りに集まる


(なんだロンベール。意外と慕われてるじゃないか)


俺はなんだか嬉しくなる


しかしそれどころではない。


ロンベールの足は折れていた


完全に驚かせすぎたのだ


(…どうしよう?当て木をするにしても木は無いし、骨折したオッサンを置いてくわけには)


俺がロンベールと同じ人間なら町に連れて行って美談で終わるが今の俺は魔獣オークだ。


(困ったな)


都合よくウィンドウが光る



特技 蘇生


(はぁ!!?ここは回復魔法の出番じゃないの?いきなり蘇生かよ!!)



関西弁で「なんでやねん」とツッコミをしたいところだが構わず唱える


ロンベールの全身が光に包まれて膝の傷が治っていく



ロンベールも驚いているが初めて使う回復特技に俺もビックリした


(これなら許してもらえるだろう)



「待て!!オーク!!」


(ち…赦されなかったか)


「名前を教えてくれ!!」


「なぜだ?」


「俺にとってあんたは神だ!!」


理由を聞くと、蘇生呪文で水虫も治してしまった


足の痒みに悩まされていたロンベールは俺を神と位置付けしたらしい。


(…とりあえず今の俺は手を洗いたい)


そんな事はお構い無くシェイクハンドを求めてくるロンベール。


(…まぁいいか。)


ロンベールはご機嫌で牛○集めを手伝ってくれた


牛も手伝ってくれたから本日は大量である。

牛達はワザワザ俺の目の前で(自粛)


しかしロンベールがこんなに喜ぶとは…


他人が自分の行為で喜ぶというのは異世界だろうが嬉しいものである


せっかく聞く耳を持っているから苦言を伝えるか


「ロンベール。草は苦しんでいる。同じ場所で牧草を食べさせるのではなくローテーションで場所を移動せよ」


「なな!!なぜ私の放牧エリアを把握してるのですか!!?」


「草の声を聞いた」


「ははー」


ロンベールは頭を垂れる


草が喜んでいる声が聞こえてくるから有意義な堆肥集めとなった。



そしてこの1日が後に事件を起こす事になる。

御意見御感想ございましたらよろしくお願いいたします

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