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VS モグラ

食事中、食後の方はお避けください。


感想などございましたらよろしくお願いいたします。

(うぅ…ここはどこだ。)


真っ暗である。


しかし暖かさは感じるのだ。


せっかく草から牛になれたのに…腹が痛くなって意識失うとは。


もしやロンベールになにかされたのか?


いや。あのタイミングでなにかを仕掛けてくるのは不可能であろう。


牛の尾でビンタ張ったのだし、ゴフッとか言ってたし。



それにしても今回はいきなり意識を失った。


ステータスを見てみると職業欄があれやこれやと、せわしなく動いている。


(お…落ち着いたか。)


職業 死細胞。


(!!)


俺は牛の細胞になっていたのか。

そして死細胞。


死細胞となった俺はどこに運ばれるんだ……。


(……まさか!!?)


そのまさかであった。


俺は異世界でチート能力を持った牛○になったのだ。


ウィンドウを開くのも恐ろしい。

今、俺の職業欄は小学生時代のアダ名等、歯牙にもかけない破壊力だろう。


きっと世界最強の牛○。



自己再生能力を持つ牛○になったのだ。


そして再び身動きが取れなくなる。


(あまり牛○を連呼するのはやめよう…。悲しくなる。)



俺は無となる。


異世界の咽ぶような新緑の香りが頬を撫でていく。


○だけど。



しかし草の時は食べられ尽くすまで意識を保てたのに、牛になったらいきなり意識が途切れたな。


牛一頭に対してどれぐらいの割合を占めていたのかわからないが、自分が牛の細胞になっていたのはわかる。


いや。職業が牛になってたくらいだから、ある意味では乗っ取ったのであろう。


(細胞レベルで捕食者を乗っとるとは…ある意味凄い能力だな。)


しかし希望が出てきた。


食物連鎖で上位種に捕食され続けていけば勇者になるのも、ドラゴンになるのも夢ではない。


問題は牛になった時に起きた細胞の死だ。



もしドラゴンになっても俺の本体である細胞が死を迎えたら排泄されて終わりである。


(どうすべきか…。)


ウィンドウを開き思案に暮れる。


ふとひとつの特技に目が止まる。


(…自己再生か。)



細胞レベルの死を迎える前に自己再生を繰り返せば、永久とは言えないだろうがある程度はいけるのではないか。



例えば牛の細胞で粘る。


そして強い捕食者が現れるまで粘る。


捕食者を乗っとり再び次の捕食者が現れるまで自己再生で粘る。


これを繰り返して食物連鎖ピラミッドの頂点に立てば良いのだ。


元々チート能力は持っているのだし、新世界の神になる事も夢ではない。


名案だ!!


この自己再生能力は役に立つはずだ!!


そう!!希望が見えてきた!!


異世界で生きていく方法は見えた!!


未来は明るいぞ!!


(…さて)


未来は見えたのだが、現状を打開する方法が見当たらない。


メンタルで乗り越えられるような状況ではないのである。


周りを見渡すが何もない。


せめて職業表示を変えたい。


ジョブチェンジしたいのだ。


そう考えていると目の前にオークが現れた。


オークは驚きとまどっている!!


そんな訳はなく、牛○である俺をジッと見つめている。


(…まさか食べないよな)


いや。


食べてもらえればオークの体を乗っ取れるのだ。。


打開策としては最高な部類には入るのだが、そんなシーンは俺も見たくない。


15禁どころか18禁である。


それにオークの意識を乗っ取った後、オークの…いや。


俺の口がどうなっているのか。


考えただけで恐怖で震えてしまう。


三日三晩歯を磨いても耐えられそうにない。


それに[オークの主食は牛○です]なんて事になったら……。



なんて事を考えていたら、俺はオークに拾われた。


篭に入れられてどこかに運ばれていく。



篭の中はある意味仲間で溢れていた。


(…?)


オークの主食である疑念は捨てきれない。


豚は雑食だって言うし。



(…?)



止まった。


どこかに着いたみたいだ。


そして俺は畑に撒かれる事となる。


(オークすげぇ!!)


正直、異世界の魔獣が栽培をするなんて思ってもいなかった。


植物を栽培する種族が人間だけしかいないと考えるのは傲慢だったのかもしれない。


考えてみたら食料を奪う為に人間を襲い続けていたら人間は絶えてしまうし、オークだってそれは望まないだろう。


ある程度の食料自給率があると考えた方が自然な流れである。


そして畑に撒かれた俺はトウモロコシになった。


トウモロコシになる前、ミミズに食べられてミミズになったりミミズの排泄物になったりしたのだが、その辺は割愛させていただこう。



異世界もタイムイズマネーなのだ。


しかし収穫もあった。


ミミズになった時、自己再生能力を使い続けた時はミミズでいられたのだ。


草の時に手に入れ、慣れ親しんだ能力なので呼吸するくらい簡単に使える。


MPの消費はほとんどないし。


モグラに襲われた時も自己再生能力発動中は、かじられた体も再生したのだ。


そのままモグラを乗っとる事も考えたが、モグラを捕食する動物ってなんだろうと考えてしまい、結局やめた。


目の前にオークの食料となるトウモロコシ畑があるわけだし、トウモロコシになりオークを乗っ取った方良いのではと考えたのである。


そして今の俺はトウモロコシである。


ここまで色々ありすぎて既にレベルは2つ上がった。


ダメージを負うと強くなるとか、どこかの戦闘民族のようだが仕方ない。


今のところ経験値の手に入れかたもわからないし、どこに行っても食われてばかりなのだ。




そして俺はこの夏大人になった。


相手は金髪のトウモロコシ。


童貞だったのに受粉したのだ。



今も隣に生えていて目を合わせるのが少し照れ臭い。


しかしふっくらと実っていくトウモロコシの粒を見ると誇らしくなる。


早く育ってオークに食べてもらうのだ。


ともかく魔獣でもいい。


意識を乗っとり、まずはこの異世界を把握せねばならない。



魔獣を乗っとるとか、怖い事を考えていたらステータスウィンドウが光った。


職業 大人になった玉蜀黍。


HP 6243


MP 4421


特技 自己再生 鞭 分身



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