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VS 牛

御意見御感想よろしくお願いいたします

俺は高橋斗真22歳。


なんと言えばいいのだろうか。


いきなりだが人生最大のピンチを迎えている。


人生と言うか草生と言う方が正しいのだろうか。


今、置かれている状況を説明すると、牛に体の半分を食べられている。



痛みで目もくらむ状況なのだが、必死にウィンドウを開いてHPを確認すると既に1しかない。


なんかウィンドウの枠が黄色く点滅しているし


これで異世界の旅は終わりなのか…


あれだけ祈って異世界に来たのにまさかこんな終わりを迎えるとは。



俺の人生ろくなもんじゃなかったな…


幼稚園で浦島太郎のお遊戯会ではワカメの役だった。


たまたまその日に風邪をひいていて休んでいたら、ワカメの役に決まってしまっていたのだ。


うちの親がモンスターペアレントだったら、役を変えてもらえたのかもしれないが。


…親は爆笑していた。



それから人生の歯車が狂ってしまったように思う。


アダ名は当時刈り上げ頭だった事も手伝い「ワカメ」に決まり

初恋のカナちゃんにすらワカメ呼ばわりで、俺の幼稚園時代はグレーに染まってしまったのだ。


小学4年生になり俺の精神力がワカメに耐えうる強度を手に入れた時に次の悲劇が襲う



その恐怖は突然に訪れた。


社会の授業中に強烈な腹痛がやってきたのだ。


俺は耐えた 教科書の前方後円墳を見つめ耐えつづけた。


気を紛らわす事も限界を迎えた俺は神に祈り続けた。


(神様!!もう悪い事はしません!!赦してください!!)と。


あの時の祈りの強さは宗教家ですら上回るであろう。


…しかし限界は訪れた。


なぜ小学生はあんなにアレに敏感なのだろうか


いや。間に合ったよ!!ちゃんと間に合ったよ!!



でもあのパンドラの箱(トイレの扉)を開いた俺についたアダ名は「ミソスープ」だった


いやー。あの時、人生終わったと思いましたわ


大好きだった幼馴染みのミホちゃんにもミソスープ呼ばわりだもん


それから俺は軽く自宅警備員になった


しかし乗り越えたよ


ミソスープ乗り越えた


自宅警備員になってた時、俺に夢を与えてくれた携帯小説があったんだ。


その内容は現世の記憶を持ったまま異世界に生まれ変わる


そしてチートな力で夢を叶えていくんだ



俺もこんな風になりたいと思った。


22歳になり社会に出てもなにかの拍子で異世界に行けるんじゃないかと心のどこかで願ってたんだ。


ミソスープで童貞だけど異世界に行ったら本気出すって思ってた。


願い続けると叶うって本当だよね


いつものように携帯小説を読み漁っていると頭の中に声が聞こえてきたんだ


幻聴か?とも思ったら違うみたい。


声に集中すると現世と異世界のバランサーという人(神?)らしい


《お前の願いはずっと私に届いていた。異世界に行きたいのか?》


!!キター!!


話を聞くと現世と異世界の魂数がひとつずれたとの事。


意味がわからないけど、バランスが崩れたままだとどちらの世界にも悪影響が出るという話だ


そこでずっと異世界に行きたいと願い続けた俺に白羽の矢が当たったというわけである。


「行きます!!行きます!!」


《なるほど…やはりな。強い思念が常に来ていた。こちらからの願いなのだ。異世界用に3つ願いを叶えてやろう》


俺に迷いはなかった


「チートな力!!アイテムボックス!!そして現世の記憶を持っていきたい」


《それで良いのか?》


「あと…出来ればステータスとか見れるといいな…」


《まあチートな力という枠で捉えてやろう。サービスだ》


…それがそもそもの失敗だった。


異世界に生まれ落ちた俺は草だったのだ。


いや。


人に生んでくれると思い込んでた俺が悪かったのかもしれない。


浮かれていた俺が悪かったのかもしれない。


でもステータス表示をチート枠でやってくれる神様が、人間に生まないとか考えられないじゃないか。



とりあえずステータスを確認する


職業 草


HP 3180


MP 2681


所持アイテム



能力 自己再生


(草…か…)


そこは確かに異世界だった。


草になった俺の上を騎士みたいな人が歩いていった事もある


遠くを眺めていたら勇者と呼ばれる人が魔物と戦ってた事もある。


草の体でも空間視認できるんだからさすがのチート能力なんだけど…。


しかし身動きのとれない俺では勇者の仲間になる事はできない。


それどころか草だ。


アダ名も草以外つけようもないじゃないか。

そんな事を考えながらも何もする事も出来ずただ草を堪能していた。


踏まれたり虫や馬に食べられたりしている間に経験値が増えて今ではレベル4になった。


俺の生命力の影響か


この辺りの草は枯れる事がないと噂になったらしく、この辺に生えている俺は不死の牧草とか言われるようになっていた。



うん。 まぁ…


まぁ楽しいよ。


食べられたり、踏まれたりすると痛いけど。


草の目線になったら、蟻や油虫。ミミズやバッタも凄い迫力で3D映画なんて目じゃないもん。

草の生活に慣れてきた時に悲劇が訪れた


牛飼いのロンベールだ。


この辺りでは牛の頭数が一番多い大農家なんだけど…あんまり好きな相手ではない。


普通は牧草を休ませる為に、牛を移動させるのだが、不死の牧草という噂を聞き付けてから毎日のようにここに現れる。


牛に罪はないんだけどさ


毎日だと地味にダメージ貯まってるんだよね。


そんな毎日が続いた時、自分のステータス異常に気づく


(え?ステータス表示が黄色?)


慌ててステータスを確認するとHPがヤバい。


ヤバイどころか1桁だった


そんな最悪のタイミングであのロンベールが現れたのだ。


相変わらずいけすかない。


というかヤバイ!!ヤバイって!!牛の顔近い!!


みるみる体を失っていき、自己再生能力が追い付かない



(…異世界の旅はこれで終わりなのか…旅というか見学だったな)


高橋斗真 異世界に散る


職業 不死の牧草


HP0−


状態 死


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