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星海の光  作者: ZEXAS
第二章 吸収と繁栄の帝国
26/50

いわゆる依頼ってヤツです



いっそごちうさの画集買っちゃおうかな

ついてにロウきゅーぶの画集もあれば……

え? それじゃロリコンみたい?

やだなぁ、作者はもともとロリコンですよ



ーアプソペリティ帝都内

ー商業地区 雑貨屋オリド

ー視点 ライト




わりとキレイな感じのお店の中へ入ってみると、そこには生活に必要な必需品、道具、ちょっとした狩りに使える軽装、何かの卵から変な物まで沢山展示されていた。


「まさに雑貨屋って感じだね。薬っぽいのもあるし」


「……雑貨屋なのだから当たり前だろう」


なんだかんだで初めて見るものばかりだったから興味津々で色んなものを見ていた。

そしてどこからともなく結構可愛らしいお姉さんがいたので商品を見る振りをしてチラチラ横目で見ているとオレに気付いたのかこっちへ来た。


「あらあら、これは可愛らしいお客さんだねぇ」


可愛らしいお姉さんに可愛らしいお客さんと言われた。

オレをお客さんって言うってことは店員さん……かな?


「……え、えと……店の人ですか?」


オレがそう聞くとお姉さんは優しそうな笑みを浮かべた。


「そうよ。私はここの店長よ。今可愛いお手伝いさんを雇おうとしていたんだけど、よかったら雇われてみない?」


ああ、この人が依頼主か。

とりあえずオレは懐からカードを出した。


「えと、アロットのスターライト・エクスシーションと言います。依頼を受けてやってきました」


「まぁ! こんなに素晴らしいことが起こるなんて!」


「あぶ!」


どんな素晴らしいことなのかは分からないが、まさに顔がパッとなったお姉さんに思いっきり抱きしめられた。女性特有の温かさや柔らかさがオレを幸せにした。……はふぅ、息苦しいのに心地いい。


「えらいわねぇ、親の為にお仕事だなんてぇ~。私の言うことちゃんと聞いて良い子にしてたら報酬は張るからねぇ~。よしよし~」


かなーり勘違いされてるけど気にしない。今はこのままでいたい。


「……あまりうろちょろす……。…………。……すまない、その子を解放してやってくれないか」


「……あ。ごめんなさい、あなたがこの子のお兄さんですか?」


「……ぷは」


どうやらオレの幸せタイムはダークSUN によって終わらされたようだ。



~数分後~



少し落ち着いてから店の奥へ行ってオレ達はお互いに名前を言った。

相変わらずダークSUNの固有名は黒陽というなんかのハンドルネームみたいなののままだった。

お姉さんの名前はジェシネスっていうらしい。なんか強そうってか大物になりそうな名前だね。


「……依頼の日数を聞いてもいいか?」


「いいわよ。そうねぇ、ライトちゃんはまだギルドメンバーに成り立てみたいだし、私の言うことを聞きながら働いて1日ってことでいい?」


「……かなり良心的だな」


「ねぇねぇダークSUN 、何が良心的なの?」


1日アルバイトだってあるんだ。1日働いて終わりのどこが良心的なんだろう? 普通じゃない?


「……簡単だ。1日働けば依頼完了となる」


……?


「いや、だからどこが良心的なの?」


「……簡単だ。1日働けば依頼完了だ。そして『1日働いて終わり』とは言っていない」


うーん? …………。あっ、なるほど!

連日働けばそれだけ依頼完了するってわけか!


「なるほどね」


「……普通、こういうタイプの依頼で1日だけというのは滅多にないんだがな」


「ライトちゃん。ライトちゃんはメンバーに成り立ての新人さんなんだから少しでも依頼完了件数を増やさないといけないのよ。だからこれはサービス」


「あ、ありがとう! ジェシネスさん!」


「そう! その笑顔よ! あぁ~いやされる~」


この世界にはこんな良い人がいるんだ。……オレ、感動しちゃったよ。


「……ってライトちゃん? なんで泣いてるの!?」


気がつくと涙は零していなかったが、すでに目には涙が溜まっていた。


「え、えへへ……。嬉しくて……」


素直な気持ち。良い人に会えた喜び。こんなに嬉しくて喜ばしいことはあんまりない。


「あぁ~! なんて良い子なのぉ~!」


「(……やっぱり子供……なのだろうか?)」


「ねぇ、依頼だなんて言わないでさ、ずっと働かない? 歓迎しちゃうからっ。ね、お兄さん?」


「……それは出来ない相談だ」


「そうなの……。うーん、じゃあ気が向いたらってことで……」


「……随分と諦めがいいな」


「ええ、まぁ……。自分以外の人に決められて進む人生はちょっと辛いもの。強要なんてしないわ」


「……なるほどな」


このままジェシネスさんとダークSUN が依頼内容まで話すのかと思っていたが、ダークSUN は何故かそのまま立ち上がった。


「ダークSUN ?」


「……これはお前の仕事だ。俺が口出しする事ではない。後は自分で進めろ」


そう言ってダークSUN は外へ出て行ってしまった。


ジェシネスさんの方を見ると、どこか困ったような笑みを浮かべていた。


「……や、やっぱりオレじゃ不安ですか?」


「うーん、確かにライトちゃんは子供だからね……。キチンと話の内容を理解してくれるか不安といえば不安ね……。お兄さんがいてくれれば良かったんだけど……」


きっとジェシネスさんは依頼の詳しい内容を話しても理解されずに説明が無限ループするのを恐れているんだろう。


自分を推さねば!

面接に必要なのは自分を推すアピール力だ。まずは自分が話を理解できるだけの教養を受けていることを伝えないと。


「だ、大丈夫ですよ! オレ、こう見えても計算は学校の先生より出来ますから!」


元の世界の学校の先生には適わないだろうが、あまり学力平均の高くなさそうなファンタジー……言うなれば中世の世界の学校の先生になら勝てる気がする。

たぶんこの世界の数学の一番難しい問題は一次方程式とか不等式とかそこら辺だし。

もしそうだとしたら一次方程式なら余裕で暗算出来るからもしかしたらこの世界ではオレが一番数学者を名乗れるかもね。


「うーん、それじゃあ軽いテストをしてみましょうか。私、一応商人だから計算に関してはそれなりの自信があるのよ」


そう言ってジェシネスさんは何かの呪文を唱え始めた。

すると、オレの目線に合った位置に計算式らしきものがポワっと出てきた。


「こ、これは……」


「ふふふ、先生と肩を並べるならこれくらいは出来ないとね」


簡単過ぎる! ありえない程に簡単過ぎる!

一桁の足し算だなんてナメてますよこれ! 基礎も基礎だよ! ナメ過ぎて起訴レベル!


「うーん、やっぱり早かったかなぁ……」


……なんか逆に恥ずかしいよね。この年(……いや、見た目は小3にも満たないだろうけど精神は三十路手前)になって一桁の足し算見せられて『これできるかなー?』ってやられるの。

はぁ……でも答えなきゃ。


「それ、2です」


「ちょっと簡単すぎたかな? じゃあこr」

「5です」


即答。数字ぼやけて出てくるだけですぐ分かる。


「そ、それじゃあk」



~数分後~



「……ライトちゃんって本当に頭がいいのね……」


「いえいえ、学校では中の下くらいなんで……。オレにはもったいない言葉ですよ」


推しながらも謙虚に。面接官よりは優れていない事をアピールして好感度を上げよう!


「先生より頭が良いのに?」


墓穴掘った!?


「え? あ、はい……まぁ……みんな驚くくらいに勉強家でしたから……」


「勉強家が沢山いる学校かぁ……。きっと貴族が流れで入るなんちゃって一流とは違うのね……」


ぎ、ギリギリセーフ? だといいけど……。


「ふぅ、これなら話しても大丈夫そうね。なんか普通の子よりしっかりしてそうだし」


な、なんと三十路手前のおと……幼女見て『しっかりしてそう』ですか……。

うう……ショック……。


「これからライトちゃんには大体傾日の刻くらいまで働いてもらうわ」


傾日の刻。これは夕方の事で頂の刻(正午)からだと6時間。色々と掛け持ちして働きまくってたオレにとっては1日6時間以上っていったらわりと少ない時間だな。


「大丈夫、力仕事をさせようなんてことはないわ。店の外で軽く掃き掃除をしたり私が会計から離れている時なんかは会計を任せたりするだけよ。(というかライトちゃんがずっと会計をやってくれたら良いんだけめど)」


「はい、お任せ下さいっ。雑用はそこそこ慣れてますので」


雑用は嫌い。大っ嫌い。でも慣れてます。


「へぇ~、お手伝いとかしてたんだ。偉いわねぇ(……つまり頭の良い学校に行かせて家の手伝いもさせてついには働かせられる……と。とんだ教育家庭ね……)」


「あ、もし出来るなら今日からやっていくといいわよ。」


今が感覚的に十時前だと過程すると労働時間は八時間以上か。……休憩一回は欲しいところだな。


「はいっ、そうさせていただきます。……えと、それでは何から始めたらいいですか?」


「え? ああ……(その言い方だと邪心が降りてきそうになるわね……。うぐぅ、イケナイコトしちゃいたい)」


「……ジェシネスさん?」


「……あっ、そうねぇ……それじゃあ取りあえず外の掃き掃除でもしてもらおうかしらっ?」


「わかりました」


なんだか様子のおかしくなったジェシネスさんはオレにほうきを渡すと店内の掃除を始めた。


「あ、終わったら言ってね」


「はーい」


オレは返事をしてほうきを持って外へ出た。




~少し経って~




「終わってしまった……」


20分くらいはやろうと思っていた掃き掃除。……なんだけど、元々あまり掃除するところがなかった為すぐに終わってしまった。

なんせ結構な大きさの国の帝都。道路の整備もきれいにされていて目の保養用の草木はあれど土の見えちゃってる場所はほとんどない。

国民のモラルも意外と良いのか目に見えるゴミもほとんどないし土埃もない。


綺麗。綺麗なんですよこの国!

とても戦争をしている国とは思えません!


「はぁ……」


やりがいの無い仕事に溜め息をつきながらオレは店の中へ入った。


店の中に入りカウンターの方へ目を向けるとレジスターをガッチャンガッチャン鳴らしているジェシネスさんがいた。


……なんか美人さんがしょーもない事をしてるのって微笑ましいな。


「あら、ライトちゃん。もう終わっちゃったの?」


「はい。次は何を……」


「うーん……そうねぇ、ちょっと休憩しましょうか」


「え? もう休憩ですか?」


ま、まだちょっとだけ掃き掃除しただけなんですが……。


「ええ、お客さんが来たら分かるようになってるからゆっくりのんびり休憩しましょう」


「……は、はい」


やっぱり中世っていうかファンタジーな世界の仕事ってこんな感じなのかな? それとも自営業だから?


「あ、そこのテーブルにでもどうぞ。私は飲み物を持ってくるから」


「あ、ありがとうござい……ます……」


オレはジェシネスさんの言ったテーブルのあるところまで行き、椅子に腰をおろした。


「ん~……」


掛け持ちまでしてキツい仕事をチャッチャカチャッチャカやってきたオレにとってはかなり変な感覚がするな、この仕事。楽だからいいけど。


「おまたせ」


コップやらなにやら色々と持ってきたジェシネスさんはテーブルにそれらを置いてオレの反対側の席に着いた。


「ライトちゃんはコーヒーは飲めるかな?」


「はい、大丈夫ですよ」


「よかった」


ジェシネスさんは結構オシャレなポットからコップへコーヒーを淹れた。


「まだちょっと熱いかもしれないから気をつけてね。はい、どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


オレの方へ置かれたコップを手に取り、早速飲もうとして口を近付けた時、あることを思い出して止めた。


……熱いのそこまで平気じゃなくなってたっけ……。

とりあえずふーふーして冷まそう。


「……ふー……ふー」


「…………ッ!?」


そろそろいいかな……


「…………っ……」


ま、まだ熱いや……。


「だ、大丈夫ライトちゃん?」


「はい、大丈夫……です」


「……そう」


……ふぅ、やっといい感じになった。

う~ん、どこか気品を漂わせるというかなんというか、神様への捧げ物って言っても過言じゃない程の無駄のないゴージャスな感じ。VIPメイドのシェリルさんが淹れたのより美味しいかも。


「美味しいですねこのコーヒー。ジェシネスさんって王家にでもいたんですか?」


「え? やだなぁライトちゃん。私はこの通り普通の商人よ? ごく稀にどこかの王家ではなく貴族の屋敷に商品を届けに行く事はあるけど何処も美味しいと思った所なんてなかったし」


「おお、つまり自力でこの美味しさに到達したんですね」


「うーん、そうなるわねぇ。人に飲ませた事なんて無かったから気づかなかったけど、私のコーヒーってそんなに美味しい?」


「はい、スッゴく美味しいですよ」


「なんだが照れくさいわね。ありがとう、ライトちゃん」


ジェシネスさんはオレに微笑みかけた。


……笑ったら可愛さより綺麗さが際立つな、この人。





★ ★ ★





ー宿屋




傾日の刻になり宿屋に戻った。意外な事にダークSUN は既に戻っていて自分の剣の手入れをしていた。


「……で、仕事は出来そうか?」


「うん、想像していたのと全然違ってずっと楽だったよ」


「……そうか」


ダークSUN はオレの返答を聞くと再び作業に戻った。


「そういえばダークSUN は何してての?」


ふとオレはそんなことを聞いた。

剣の手入れをしているって事はそれなりの事を終えた後なんだろうし。


「……久々に依頼を受けていた」


「へぇ、どんな?」


ダークSUNの受ける依頼、気になります。

だって意味不明な力を持つオレを倒した人なんだもの。どんな依頼を受けたか気になるのは仕方ないよね。


「……暗件を4件程だ」


4件も!? 十時間以内に!?


「暗件?」


「……そうか、ライトはギルドも初めてでその類の依頼も知らないのか。今まで一体どうやって生計を立ててたんだ?」


う、うぐ……


「そういうのはなんとかなるものなの!」


「……そうか」


「それより暗件って?」


「……暗件と言うのはその名の通り暗い件の事だ」


「暗い件?」


「……依頼の中には人には頼めない、人には自慢出来ないような歪んだものがある。商隊襲撃、ターゲットの住処の破壊、暗殺、これ以外にもまだまだあるが大体こういうタイプのものだ」


「……ああ……う……あ……」


オレは何も言えなくなってしまった。

ダークSUNは自分がした依頼を歪んだものと分かっていて、オレはそれを言わせてしまった。

それがなんだか申し訳なくなってしまったんだ。


「……なんかごめん」


「……何故謝ってるかはわからんが気にするな」


「……うん」


素でわかっていないのかオレを気遣っての大人な対応なのか。……後者だとわかる。

だからこそ、ダークSUNに迷惑を描けてしまったお詫びという意味でも、オレはこの話題は終わりにしていつも通りに振る舞うことにした。


「そう言えばさ、ハトルのオッチャンが言ってた『本』ってなんなんだろうね」


『本』

正直どうでもいい物なのだが話題として取り上げる分にはちょうどよかった。

そう言えばこれが世に知れ渡り悪い奴に聞かれたらマズいらしいんだっけ。


「……それなら今調べているところだ」


依頼をしながら情報集め……。

ダークSUNってとんでもない働き者なんだね……。


「あんまり無理はしないでね」


「……無理はしてないが?」


やっぱり大人だなダークSUNは。子供オレに心配かけまいとやせ我慢とは……。


「それじゃあ今の依頼が終わったらオレも手伝うよ」


「……そうだな、そうしてくれると助かる」


「えへへっ」






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