サウシア拡張計画
こちらもいよいよストックがなくなりました…
北東の合戦(謎)から1ヶ月くらいの時が流れた
この1ヶ月くらいの間みんなは何をしていたかというと、富国なんたら…をしていた
遂に敵軍も動いた事だし惰眠を貪っている訳にはいかなくなったと言えば不思議に思う者はいないだろう
ちなみに各各の作業の内容はこんな感じだ
まずは200人以上に及ぶオレの僕部隊
彼らのほとんどをサウシア周辺の整地に当たらせて未来のサウシア領地を確保
以前のサウシアは王宮を中心として半径1kmはあるかないかのわりと小さな国だったが今では1.5kmはあるんじゃないかと思われる程にまで広がった
少ないように聞こえるがこれを比率的な何かで計算するとサウシアの国民が10人から15人、100人から150人、1000人から1500人となかなか馬鹿に出来ない数値だ
フリーデイのない働き詰めの賜物なのだが、彼らに苦痛はないのかと尋ねた事がある。そしたら…
『主の与えて下さった仕事が苦痛な訳がありません!むしろ幸せなくらいです!』
とまぁドマゾ発言をしてくれちゃった訳でして、人の幸せを奪う趣味などないオレは彼らから仕事を取り上げる事はなかった
そんなこんなで着々と整地作業が進んでいる中、ロイ王とウィザードたんはサウシアの魔道具に毎日魔力を送り、少しずつ魔道具の効果範囲を広げていった
(魔道具の効果範囲には砂漠でも緑が生い茂るエリアとなります。つまりオアシスの拡大です)
そして国中のクリエイター達が施設や建物のデザインや設計図をあーだこーだと言い合い、決まったら国中の魔術師が砂で造り上げる
まずは僕部隊(200人以上)を収容出来る5階はある超巨大な館
次に住民からの希望であった図書館や教会を始めとする学力向上の為の施設や畑や食用動物に関する施設、そして家
それらに僕部隊が下水道などのライフラインを整える
これを1ヶ月間やってきたのだ
1つの家に二世帯が共存するのも珍しくなかったサウシアの住民はこれを期に家庭分別を始め、結果として国中のあらゆる効率が向上した
後はせっせせっせと子作りに励んでくれれば十数年後にはサウシアはやっとこすっとこ中小規模の国になる訳だ
オレはどうしてたかって?
いや、まぁ…さ?
オレも何か手伝おうとしたんだけどね?
…まぁ皆様に止められちゃいまして…
ロイ王曰く
『戦闘や兵士達の装備に関してはライトに頼ってしまうがこればかりは我々の仕事だ。だが何か良い案があれば気にせず言ってくれ』
ウィザードたん曰く
『ライトは武勇、知識、軍事と色々優れているのは皆承知だ。しかし今はどうか見守っていてくれないか?』
シェリルさん曰く
『だったら私と遊びませんか?退屈はさせませんよ?ウフフ♪』
寒気がしたので却下
フィルしぇんぱい曰く
『こういう事は俺達に任せてゆっくりしてろ。なんせライト嬢ちゃんは異国のお客様なんだからな』
とみんな揃ってこれだ
ラミスさんだけなら丸め込めたんだけど、流石に今回は無理だった
みんな頑張ってるのに参加出来ないのって辛いなぁ
なんだか仲間外れにされた気分だった…
それでも諦められなかったオレはせめてみんなの頑張りを見ようと変わりゆくサウシアを毎日見て回った。シェリルさんと
まぁ無理矢理車イス的な何かに乗せる以外は何もしてこなかったし何の問題も無かった…と思う
そして今日も日々変わる国サウシアを見守る1日が始まる
王宮の入口の番兵に見送られ、緑と綺麗な砂の造形が広がる世界へ飛び出したオレとシェリルさん
ルートはシェリルさんの気分で変わるのだが今日は何処から行くのだろう?
「シェリルさん、今日は何処から行くの?」
「えーとですね…まず始めはライト様の下僕部隊、そこへ行く途中に魔術師達の仕事風景も見てみましょうか?ちょっと危ないですけど」
おお、いきなり遠い所からか。いいねぇ
「大丈夫、危険な事ならもう沢山経験してるから」
別に沢山という訳でもないし、シェリルさんからすればそ『んな事は問題じゃねぇ!大事なVIPがケガしたら処刑くらっちまうだろうがボケ娘!』だろうがオレはそう言った
オレ、口下手なんです…
「ライト様…(おお、なんと気丈な方なのでしょう…。そこがなんとも凄くカワイイ!)」
そんなこんなでシェリルさんとくっ喋っていながら街中を見て最近気付いた事がある
老若男女問わず住民全てが忙しそうに何かをしているのである
「シェリルさん、街のみんなは何をしてるの?」
「新居へ移住する為の身仕度、又は魔力の泉を魔術師達にお届けする準備…といったところでしょうか」
前者は予想してた
「魔力の泉?」
「ライト様は知らないのですか?」
ウッソーマジデー!?って感じの表情を少し浮かべながらシェリルさんは言った
「いやはや…申し訳ない」
「なるほど、では説明しますね(ああ、可愛いなぁ)」
一呼吸おいてからシェリルさんの話した魔力の泉についての説明はこうだ
まずサウシアの命とも言われる泉の水を適当に汲んでくる
更にその水を適当な大きさの器に移す
そしてその水に自らの魔力を注げばはい終わり
無味無臭のマジックポーションの出来上がり
そしてサウシアの人々はそれを魔力の泉というのだそうだ
そして魔力の泉を魔術師達の所に持っていくということは…
「へぇ、つまり国のみんなで国造りってわけですか」
「そうなりますね(本当に頭も良いのよねこの子…)」
オレの国がそうだったかは結局わからずだったがこの国は本物ってわけだ
なんだかつくづく良い国だなぁ
そしてしばらくして魔術師達の所へ着いた
「おおお〜」
「やっぱりいつ見ても凄いですよね〜」
シェリルさんと家造りの光景を見てると、緑の草原から少しづつ砂が出てきた
恐らく美術特化野郎に性能特化野郎、更にスペース特化野郎が論議に論議を重ねた末の素敵な家の一部なのだろう
これを1分近く掛けて設計図通りに1つの家につき5人掛かりで造るのだ
手間も人数も時間も少ない素敵仕様
元の世界に魔法を持ち帰ればサハラ砂漠だってたちまち楽園になるだろう
魔法凄いね
とまぁ家の形が出来たらその5人は形の維持に専念
そして他の魔術師部隊がその砂の家の強度を最大限に上げる為に魔法で他の砂をその砂の家にぶつけ始めた
サラッサラの砂も元は硬い硬い岩がぶつかり合って粉々になったもの
それらをまた1つにすればあら不思議
コンクリートよりも硬い砂の家になるのだ
しかも見た目もしっかりビシッと決まって文句なし
まるで大理石に綺麗だ
「この瞬間はいつ見ても堪らないものですね」
「うん、最初見た時は何が起こってるのか解らなかったよ」
シェリルさんとそんな事を話していると魔術師の1人がこちらに気付いてやってきた
取り合えず挨拶
「こんにちは」
「「…?」」
日本語バージョンを話した為2人は何ぞ?といった表情をした
そして魔術師から話しだした
「シェリルではないか。最近この辺りに2人の女性が現れると聞いていたが君だったとはな。そちらのお嬢は?」
お嬢って…
「いえ、皆様が頑張っているところを見たいと仰る少々おてんばな方が居まして。それがこちらのスターライト・エクスシーション様です」
「ど、どうも」
取り合えず頭を下げて挨拶をし直してしまった
それにしてもシェリルさん、あんた仮にも主的な存在がいる前でそんな事言っていいんですかい…。しかもどこか嬉しそうに話すから突っ込むに突っ込めないという…
「え?あの荷台を魔法も使わずに吹き飛ばしたと言われる化けも…エクスシーション様の…ご子息?このお嬢が?」
魔術師はナイナイと言った感じで首を横に振る
「実際に何か吹き飛ばしてみましょうか?」
敬語なのは何となく威圧感がでるかなー的なノリだ
「え?」
「え!?」
前者が魔術師
後者がシェリルさん
「ライト様!ど、どうか気をお静めになって下さい!」
魔術師が何か言う前にシェリルさんが必死に頭を下げてきた
それを唖然と見る魔術師
「じょ、冗談だよ冗談。だからそんなにならないで」
オレがそう言うとシェリルさんはようやく落ち着いてくれた
「もう、こんな怖い冗談はよして下さい…。心臓に悪いです…」
別に化け物と言われた事に怒ったわけではないが、ちょっと脅してやろうと思っただけだ。悪気はない
ごめんねシェリルさん…
「…?」
魔術師は何でシェリルさんがあんなに必死になったのか解ってない様子だった
無理もない
なんせ何Mも先にある荷台を一瞬で壊したという化け物、エクスシーションが目の前の車イスお嬢などと言われても本気にする訳が無いのだから
「おーい、こっちに来て手伝ってくれー!」
他の魔術師の1人がこちらに向かって声を上げた
おそらく目の前の魔術師さんに言ったのだろう
「呼ばれちゃったなぁ。シェリルにスターライトお嬢、見学は構わないがいわばここは工事現場。危ないから安全な場所に行く事をおすすめするよ。ではな」
そういって魔術師さんは他の魔術師の所へ行ってしまった
「ちょっとした嵐の様な人だったね」
「魔術師達も1ヶ月間も仕事らしい仕事が出来て少しテンションが上がっているのでしょう」
「魔術師以外の話し相手が欲しかったというわけなんだね」
「そんな感じです」
そんな事を話しながら近寄った魔術師達に日本語の挨拶をかましつつサウシア拡張計画の一番外側へ向かった
・・・・・・・・・・・・
流石に外側は一面砂、砂、砂の殺風景な場所だった
見栄えの無い場所なのでシェリルさんは少ししたらもうちょっと見たいと主張するオレを無視してとっとと引き返した
あのサウシアの魔道具の圏外である外側の空間に何回か来て気付いたのだが、サウシアの魔道具の圏内と圏外では気温が全然違った
まぁ圏内の緑が視覚効果的なアレで涼しくしてくれるのもあるが、人の住みやすい環境をつくるという能力は本当のようだった
まぁそんな話はさておき、俺達はもう王宮に戻ってきていた
1ヶ月の間、オレの座る謎の車イス的な何かを朝から夕までずっと押してきたシェリルさんが流石に疲れてしまったからだ
「申し訳ありませんライト様…。私が不甲斐ないばっかりに…」
「お、オレこそごめんなさい…。あろうことか女性に無茶させちゃって…」
「いえいえ…。私がもっと鍛えてれば…けほっ」
なんだか様子がおかしい
「だ、大丈夫!?…今日はもうゆっくり休んで。明日からはオレも歩くから…」
「それには及びません…。けほっ…今日休めば治りますから…」
治る?
ま、まさか病気!?
そういえば心なしか顔も赤いような…
その時、シェリルさんは急にフラフラしだし、パタンと倒れた
「シェリルさん!」
「…大…丈夫です…よ…けほっけほっ…」
や、やばいぞ!?
こりゃ病気だ!
「…ん〜!よいしょ!」
オレは意識を失ったシェリルさんを気合で担いで王宮の中にいる他の人を探し回った




