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知ろうとしない眼

「寒っ」

 言葉にすると余計に寒く感じた。まぁ12月半ばも過ぎれば

寒いのは当然だろう。と、笹森明は夜道を歩きながら1人で納得した。

しかし、もう年末も近づいてきて、世間も色々と騒がしくなってきているのに、

笹森の心は冷めていた。

 「年末って言ったって、ただ1年が終わるだけじゃないかよ」

 テレビやら何やらでは、やたら年末って言葉が出てるが、特別何かを感じたことは

ない。元々冷めてる性格に加えて、現状がそうゆう風にしてるだろうことは、一応

笹森自身も自覚はしている。

 が、この性格はもう直らないだろうと思うし、今の所現状を変えようとも思って

ないので、年末は特別何もしないで過ごそうと思っている。

 そんな事を思っているうちに、家に着いた。

 2階立ての小さいアパートだ。自分の部屋は2階の1ルーム。キッチンは入ってすぐ横に一応小さいのが1つ付いている。この部屋で救いと言えば、風呂とトイレが別々という事だ。

 部屋についてすぐ、タバコに火をつける。昨今は禁煙化が進んでいるが、笹森にはどこ吹く風だ。

買ってきたビールとつまみを袋から取り出し、ビール缶を開ける。

 「ぷはぁ」

一口飲んで、明は床に大の字に寝そべった。こんな時考えるのは、自分の過去、現在、未来だ。

明は普通の両親の元、育った。兄弟は上に姉が1人いる。幼少の頃から、特別なことなど何一つなく、

健全に普通に育った。友達はそこそこいたし、勉強も中ぐらいで、恋人もいたことは何度かあるし、

そこそこの大学にも入った。

 ただ、就職はしなかった。理由は特にないが、あるとすれば、自分が社会に出て社会人として、仕事してることが想像出来なかったからだと思う。ずっと学生をやってきて、いきなり社会に出て働けと言われても、無理な話だと思う。ただ、現状コンビニでバイトをして生活費を稼いでる以上、結局は、ただ自分に甘えているだけかもしれない。

 1つ上の姉は大学出て就職して、バリバリ働いている。そんな姉からは

「あんたもさっさと就職しなさいよ」と会うたび口うるさく言われる。

自分は一体何をすれば、何になれるのかといつも自問自答するが、答えは出ない。今の自分は

惰性で生きてるだけだ。死ねない以上、生活して、生活の為に働いて、たまにこうやって考え込んで

生きてる。ただそれだけだ。

 

 

         

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