第一章 出発1
どれくらい時間が経ったのだろうか。
僕は紙に書かれていたレンドンという場所に向かうため、電車にゆられていた。
拘置所があるラズルダンからおよそ100kmも離れている。
ボックスの空いている席に座って、窓から外を眺めていた。
変わらない景色は、本当に目的地に向かっているんだろうかと思わせる。
なんで…こうなったんだろ。
ため息をつくと眠気に襲われて、うとうと眠ってしまった。
「相席いいですか?」
その声で僕は目を覚ました。
「あぁ…はい。どうぞ…」
向かい側の席にどすんと座ったのは、若い男だった。
「どうも」
それから、別に話すことはなかったけど。
この男からは妙に嫌な感じがした。
真っ黒なフードを深くかぶり、前が見えているのかどうか、わからない。
でも、視線を感じる。
「あの…どこまで行くんですか?」
フードの男が聞いてくる。
「…レイドンです…」
「そうなんですか?!自分もレイドンまでなんですけど…オーランド遺跡って聞いたことあります?」
「いや、ない…」
「それはもったいないですよ!!いきましょう!!」
「…はい?」
僕の周りに現れる人は、まともな人がいない。
そう、みんな強引で。
「そうとなれば決まり!あと2時間くらいでレイドンにつくので!そこから一時間歩きます!」
しかもテンション高くて。
勝手に決めつけて。
「は、はぁ…」
僕はまったくついていけてない。
「あ、おれ、ラバーソールっていーます!あなたは?」
「…リョー」
「リョーか!よろしくね!」
そんなわけで、僕はレイドンについたらラバーソールって男と共にオーランド遺跡に行くことになってしまった。
どうせ同じレイドンなんだし、あの紙にかいてある場所は後でいけばいい、と。
レイドンにつくまでの列車では、ラバーソールが一方的に遺跡について語ってきた。
「このオーランド遺跡っていうのはレイドンの南西にあって、かつて文明が栄えた場所なんだ。その時代、この世界の中で一番発達してるんじゃないか?っていわれてるんだけど、波動って知ってる?」
僕は「波動」の言葉に反応してしまった。
波動は、あまり世界に浸透してないと聞いた。
波動師という存在も街に1人か2人、もしくは波動師なんて聞いたともないなんて言う街もあるそうだ。
「あんまりよく知らないけど…」
僕は嘘をついた。
波動師のリョーといったら、指名手配中の脱獄犯だとばれてしまう。
「そっかー。そうだよね。でね!そのオーランド遺跡って、波動を開拓した街で、波動師の聖地なんだ!」
「ふーん」
「あれ?なになに?波動とか興味ないかんじ?それかリョーってサイレンス(波動師のいない街)からきたお方?」
「あ、…あ、そうそう。波動とか見たことなーい」
「そうなんだ。かっちょいーぞ!波動師って!」
フードの姿からは想像できないような、明るい性格である。
最初は不審な目で見ていたけど、案外いいやつなのかもしれない。
僕は、ラバーソールの話を時に笑ったり、時に真剣に聞いたりしていた。




