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復活

「──はっ!?」

 俺は、目が覚めた。思わず、首をさする。傷は……ない。どういうことだ?

 俺はたしかに、ナイフを首に差し込んだはず。あれが、夢なはずはないだろう。

 となると、やはり……あの女が言っていた死なせない呪いのようなものがかかっているということか。

 ちっ……クソ女め。これでは、死ねない。カーテンを開けると、朝だった。

 朝、か。確認したいことがある。取り合えず、部屋を出てフローラに会いに行くか。


 すると、ノック音が聞こえた。

「失礼します。アキラ様。お食事の用意が出来ましたので、お越しください」

 メイドのフローラ。記憶では、そうある。転生、とやらで18年この世界で過ごした俺の記憶に。

 最も、俺としては今この世界に来た感覚もあるわけだが。記憶が流れ込んで、思い出したというべきか。

 しかも、転生後も同じ名前らしい。そこはあの女が配慮したのだろうか?

 まぁ、いい。そんなことは。俺が聞きたいこと、それは。

「なぁ、フローラ。今は何日だ?」

「はい? えぇと、16日ですが。何か?」

「そうか、わかった」

「?」


 死んだ1日前に戻されていた。そう、俺が確かめたいこと。それは、死から蘇る規則性だ。

 てことで、さっそく俺は3日後に死んでみた。すると、3日前に復活した。つまり、同じ日に復活したわけだ。復活というべきか、死に戻りというべきか。ロードされたというべきか。どうでもいいか。

 てことは、16日にセーブされた状態。そこから変化しないのか?

 一生、同じ人生を無限ループさせる気か? あの女が考えそうな醜悪な設定だが……。

 結論を出すには、まだ早いか。


 ということで、俺は次に10日後に死んでみた。すると、5日前にロードした。

 わけがわからない。規則性はないのか? それから、何度死んでも最後にロードした日に戻された。

 ちっ、繰り返してるとダメとかあるのか? わからんな……。


 そうこうしているうちに、1か月が経過……。死ぬかどうか、考える必要がある。

 実験するのはいいが、また1か月前に逆戻りしてみろ。同じ生活を送り直すことになる。

 これは、想像以上に苦痛だった。考えようによっては無限に時間があるということ。

 とはいえ、人の人生なんてそう簡単に変わるわけでもない。やることが同じだと飽きてくる。

 1か月で、これだ。これが、1年、10年、100年となってみろ。頭がおかしくなってしまう。

 そもそも、俺の寿命はどうなっている? 人の寿命のそれと同じか?


 しかし、復活ポイントは変わっている。自動セーブというのがムカつくところだが。

 例えば、70年後に死んだとして、今の時代に戻るのをただ繰り返すというわけでもないらしい。

 ……億劫だが、死んでみるしかないか。


 俺は、もう一度、死んだ。

 目が覚めると、死んだ当日の朝にロードした。

 ダメだ。規則性はわからない。ないとしか。完全にランダムなのだろう。

 あの女らしい、嫌がらせか。まぁ、いい。時間自体は進むということがわかっただけ、収穫か。


 とりあえず、「死の実験」はこの程度にしておくか。これ以上は、精神が疲弊してしまう。

 死ぬことに慣れては来たが、恐怖はあるし、死んで戻った時の心臓のバクバク感というか。

 動悸のような感覚が嫌でしょうがない。


 ここからは、普通の生活に戻ろう。死ぬのは諦めた。

 なら、あの女に再開してやめさせるようにするしかない。もしくは、一発殴らないと気が済まない。


 覚悟しておけ。俺の恨みは怖いぞ?

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