死んでみるか。
気づいたら、俺は、部屋の中にいた。うっ……急に頭の中に……なんだ。
流れ込んでくる……記憶? どうやら、あの女が言っていたように、俺は生まれ変わったらしい。
18年の月日がすでに流れていた。くそ、わけがわからない。なんなんだ、これは。
神とか自称していたか、あの女。ふざけやがって。俺はそのまま死にたいと言ったはずだ。
その後に、急に態度が豹変して……これだ。そういえば、何か言っていた気がするな。
『死ねない』……とか。
「……試してみるか」
試す。とは、ようするに「死んでみる」ということだ。元々、そのまま死ぬ予定だったわけだ。
今、死んだところで別に問題ないだろう。……まあ、今まで俺を世話してくれた連中には悪いと思うがね。この世界の連中……家族というべきか? いや、俺の家族は前世のあいつらだけだ。
ここの連中は違う。そういうのじゃない。冷たいと思われるかもしれないが、はいそうですかと、受け入れられるわけもない。
悪いが、俺はこの世界の住人じゃない。このまま、死なせて貰おう。
よく見ると、ベッドの横にある台に果物のようなものと、それを切る為のナイフが置かれていた。
丁度いい、これを使おう。俺は、首にナイフを当てる。
──怖くない。と、いえば嘘になるか。手が少し震えている。
自殺したことなんて、ないからな。当たり前か。しかし、あの女の言いなりになるのはごめんだ。
覚悟を決めろ。すぅーっと、息を整えた。
「──!」
俺は、ナイフを首に勢いよく突き刺した。
当然だが、絶命した。