6話 そこにいた者③
「なぁ、泥棒って儲かるのか?」
茶フードの奴も訳が分からなかったんだろう、返答まで数秒の間。
「…は? 何を言ってるんだお前…?」
瞬間的な思い付きから出た言葉、言った自分でも正気の発言とは思えなかった。
けど、普段の思考では思いつかない良い案だとも思った。
「金が要るんだ。手っ取り早い方法で。」
「知るかよ離せ!」
「私としてはいいんだよ、このまま泥棒として表に突き出しても。謝礼金とかもあるかもだし。」
なんにせよ、この手は離せない。掴んだ可能性を逃してしまう気がして。
「わかったよ、盗んだ分は返す。それで満足か?」
「それだけじゃ足りないんだ。だからなるべくすぐ金になる手段が欲しい。」
「それは何故だ?」
「…詳しい事は言えない。」
サーシャの話題を出す訳にはいかない。巻き込まないためにも。
「つっても稼いだ分使ってんだ、大した額持ってねーぞ。」
「そんな雑な期待はしてない。だから私にも稼がせろ。実行犯だろうとなんだってやる。」
「…正気で言ってんのか?」
「真面目な話だ。」
それを聞いて深いため息の後、そいつが言葉を返す。
「わーったよ。で、なんて呼べばいい?」
「ニメージュだ。お前は?」
「…ロイノだ。」




