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43話 『英傑』として悪を追い②

「えーと、始まってから今日までの5日で17件、追加報酬で金2と銀50か。」

 夕方、チーム集会の卓。

 ミレースが書面を見ながら、最も目についたその内容を告げる。

 実際に受け取る分は、その額面から人数割りとなる。とはいえ基本給への上乗せだからありがたい話。


 けど。

「軽犯罪が多数とはいえ、流石に多すぎじゃない?」

 ローテーション休暇中のを引いて、日に10チームくらい動いててのこの件数。単純に10倍…とは言わないとしても、全体で結構な数になってるはずだ。

「元からそんなもんだったんじゃねーの? 中央地区の事情はよく知らんけど。」

 確かに中央地区の実情まではよく知らないのは自分も同じ。「平穏そうに見える」、その程度。

「そんなもん…なのかなぁ…?」

 けど思い返せば、昔ロイノ達に加担してた時も、街並みは不穏の片鱗すら感じないほど平和に見えたわけで。

 そんな感じで「潜伏してただけで元々多かったのが取り締まり強化で一気に表面化した」…まぁ否定できない可能性か…?



 そんな傍ら、あまり浮かない様子のタァ。

「どした? 何か不満か?」

 その問いに、不機嫌さを崩さないまま返答が来る。

「なんていうかさ、ミレースばっかり目立ちすぎじゃない?」

「そうか? …そうかも?」

 基本の流れは自分が追い込み、その流れをタァが追って、ミレースが仕留める。

 たまに表通りを逃げてそれを追う事はあるし、予想外の事された時にミレースの代わりにタァが仕留める事はある。

 けど一番目立つ場所で動く事が多いのは、ミレースだ。

「でも誰が仕留めても報酬はチーム単位だし、別にいーじゃん。」

 そう言ったのは、当のミレース。

「そうだけどさ…そうだけどさぁ……。

 『英傑』って名前からのイメージと違うっていうか……。」

 本活動するにあたって告知された組織名『英傑』。タァに任せてた役割がそれらしくないというのは、分からないでもない。

 それにまだ暫定的な役割分担、このまま最終決定にするつもりは無い。

「まぁまだ分担は模索中なんだ、次はまた違う形を考えておくよ。」

「ほんと!?」

 嬉しそうに身を乗り出すタァ。

 と対照的に、ミレースは面倒そうな様子だった。

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