23話 ここが新たなスタート地点②
翌日。
これまでの生活圏だった東門地区を離れ、中央地区に。
「防衛団一番隊」、昔からシントにある治安組織。
元々は九番隊まである自治組織だったとか、時代と共に便利屋みたいになっていったとか、ざっくりした事は聞いた。
そんな状況だから改善としての事だろう、「新しい治安組織」として一新するのは。
地図の場所に着いたら、現地はすぐに見つかった。
各地区の中心にある目立つ塔、それを囲うようにある広場。
目的地である拠点は、広場に隣接する形でそこにあった。
整然とした建物群の中で、それはあまりにも目立った。
補修の跡だろうか、その建物の壁面は綺麗とは言いづらく、そして何より、大きい。
飾り気の無い無骨さが、周りの建物との調和を拒んでいる。
…しかし誤算だった。
思ってた以上に、ここって家から遠い。
この間の東門地区への配達からして、大した事ない距離のように見えてた。
けど違った。あれは楽な通り道、普段見るのとは違う景色の新鮮さ、奇妙な話でぐるぐるする思考、そういう状況が重なっての体感時間の狂い。
1回限りならまだしも、これから通うとなると……。
…………。
確か数は限られるけど、泊まり込みの部屋もあるって聞いたな。
今からでも間に合うか…?




