表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/76

2話 流れ着いた民②

 「街」と呼べる範囲から離れ、ニメージュと荷車はキャンプ地へ。

 雑草の掃けた土の道のようなものはあるが、整備なんてされている訳も無く。何度か車輪が石に引っかかりながらも、道から外れた所に荷を寄せる。



「荷物おまちど!」

「おう、ありがとな。」

 無事荷物を引き渡してフリーの身。

 慣れてきたとはいえ、流石に重かった。脚は歩くのが精いっぱいだし、手もしびれが来てた。

 すぐにでも休みたいところだけど、もう少しだけ歩く。


 見た目の同じこのテントたち。どこに誰がとかどれが荷物置き場とか、まだ全然覚えられてない。

 けどほんの一部、自分の寝床とかは場所で覚えた。

 そして、これから向かうテントの場所も。



「あら、いらっしゃい、ニメージュ。

 なんだか久しぶりな気がするね、まだそんなに経ってないはずなのに。」

 テントに入るや否やの声。簡易ベッドの淵に座ってる、少し年上の森人(エルフ)女性だ。

「ごめんなサーシャ、手伝いで忙しくてさ。」

「ううんこっちこそ。私も手伝いに参加できればよかったんだけど……。」

「サーシャが気にする事じゃないよ。てか、私みたいに怪我が無かった奴の方が少ないくらいだし。」

「…ほんと、ニメージュが無事でよかったよ。

 ご両親の事は、その、残念だったと聞いてるけど……。」

「私もそう聞いたけどさ、まだ見つかってないってだけだし。

 私達みたいに無事でいるかもって思ったら、ずっと沈んでる訳にもいかないからね。」

 思い返すその話は、丁度1週間前の事だ。



 元々居たのは、ここから少し離れた村だった。

 他の土地の事は知らなかったけど、立ち寄る旅人の話からするに、それなりに大きい村だったらしい。


 けど、その災害は突然だった。

 壁のように押し寄せる炎、逃げる村の人たち。私もその内の一人だった。

 そんな状況だったから正確な状況なんて誰も分かってなくて、ただ何かが大きく吼えたのが聞こえた事だけは覚えてる。

 後になって、竜に襲撃されたと思われる事だけ分かった。それくらいしか分からなかった。


 そして見つかった人だけでもとその場から逃げ、今のこの場所にたどり着いて。

 だけどその人数を、いきなり街で受け入れるだけの場所は無くて。

 順番に街に受け入れていきたい、けど準備ができるまで待ってほしい。その状況に居るのが、私達。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ