12話 二者は交じり合い⑥
そうしている内に、時間は経っていって。
不意にロイノが下に何か見つけたようで、窓枠を中継しながら下へ飛び降りる。
そこで何かやりとりして、後階段から戻ってきた時には何やら布袋を持っていた。
「ほれ、お前の取り分だ。」
軽く放られたそれをキャッチする。袋の大きさに対して中身は少ないながらも、じゃらりと金属的な音を立てる。
中身を確認すると、茶葉を買って多少の余りが出る程の額だ。
「いいの? こんなに貰っちゃって。」
「そんだけ役に立ったって事だ。受け取れ。」
思ってた以上の収入に気圧されてしまったが、ふと思い出して話を切り替える。
「そうだ、今日は私からもあげたいものがあったんだった。」
自分の荷物から取り出す、シンプルな作りの仮面。
「…これは?」
「村に居た頃、旅の商人さんから貰ったお面。なんかどこかの街のお祭りで使った物なんだって。
もしかしたらロイノの活動の役に立つかなって」
それを見つめて少しの思考の間を置いて。
「…なるほど、確かにいい案に繋がるかもな。ありがと。
けど、ニメージュはもう、『路地裏』に関わるのはこれっきりにしておけ。」
「…やっぱり素人じゃ限界だった?」
「私らは他に選択肢が無いから、表から物を拝借してる。けどお前は違うだろ。こことは関わらない方がいい。
それに…こっちの都合で、明日から忙しくなる。同時に事情も変わって、お前を招き入れていいものかも分からない。」
「でも、ロイノとまた会うくらいならできるよね?」
「…正直なところ私だって、街に守られる側のお前の事を、妬ましく思う時もある。で、その度に思うんだ。ニメージュはこっち側に関わるべきじゃないって。
けど、お前みたいな変わり者が居た事は忘れない。そのためにも、これは受け取っておくよ。」
自分でも、他にやり方はあったんじゃないかなとは思う。だからその言葉に、言い返す言葉は浮かばなかった。
そこから表通りまで見送られる道中、最後になんて言うか考えたけど、いい言葉が思い浮かばなくて。
結局「じゃあね」なんてありきたりな別れ方をしたせいで、これで最後だっていう実感は全然来なかった。
そして翌日。
資金片手にやってきた大通りで、言葉を失った。
前に見た時にそこで売ってた茶葉は、既にそこには無かった。




