108話 追走する既視感⑥
取り出した装置を起動。魔力の壁が展開され、球体の密室となる。
二輪車はその外に行くのを御しきれなかったが、十分。
ここからは得意な戦場だ。
しかし赤霧の鎧に、突然の幽閉に驚く様子は見受けられず
こちらに向き、一瞬の静止と共に武器を展開する。
鉤爪のように浮かぶ6本の三日月形の刃
速い、けど直線軌道。合わせられる。
けどそう簡単にカウンターが決まる訳もなく、空中跳躍で方向反転。
直後更に空中跳躍しての一撃を、足甲で受け、返す。
確かに速い。けど打ち合ううちに慣れた。
揺さぶってるように見えて、2択をただ速さで誤魔化してるだけ。その中で相手の荒を探して突こうとしてるだけのタイプのやつ。
なら対処は楽だ。
魔力壁の内側を足場に、仕掛ける。待ってましたと言わんばかりに敵の受け流し、からの反撃。
最初と同じ、もう見たやり口。気構えの上。
流された先で更に地を蹴り、次の一撃。
攻撃体勢だった赤霧の鎧が咄嗟に対応したのが一瞬見えた。
ひと際大きく響く、硬質な衝撃音。
受け流し対応できてない。このまま押し込む。
3撃、跳躍を挟んで5撃。逃しはしない。
そして地上戦まで追い込む。
赤霧の鎧の構えが変わる。
爪のような刃が消失し、代わりに1振の片手剣。それを握り、待ちの構え。
それを把握した上で、あえて攻め込む。
1撃目、予想通り逸らされる。ここからだ。
2撃目、正面から受け止められる。が、直後に退避されながらの流し。
3撃目、同時に赤霧の鎧の攻撃。硬い衝突音と共に、双方弾かれる。
再び同じ構えを取る赤霧の鎧。その間に、次の手を仕込む。
攻め込みが届いた時には既に赤霧の鎧の得意の状況。やはり初撃は通らない。
更に次へのに備える赤霧の鎧。仕掛けた回し蹴りも大きく逸らされ、体勢を崩す。
やっと見えた好機、と赤霧の鎧の大振りの一撃。
対し、魔力壁を解除。阻害されてた外の音が入り込んでくる。
遠隔操作された二輪車の駆動音が、赤霧の鎧を大きく吹き飛ばした。




