101話 そして触れる第三勢力②
「…なんなんだよ、急に連絡よこすなんて。」
通信機の向こう側、ミレースの声。
開口一番が逸れはどうかとは思いつつも、返す。
「ニメージュだ。
ちょっと聞きたい事があってな。」
「…業務時間中だぞ。」
とてもそうには思えない様子への指摘を飲み込み、返す。
「治安に関係する話だ。それならいいだろ?」
露骨に嫌そうな間を挟んだのち、ミレースが答える。
「…わかった。とりあえず聞くだけ聞いてやる。」
「半月前の鈍色仮面の騒動、お前達のチームも対処にあたったよな?」
「そりゃまぁな、こっちも地区の英傑総出だったよ。」
「その時に『赤霧の鎧』とやらと接触したか?」
「あー、今話題のやつか。」
少しの思考の間をあけて、ミレースが続ける。
「私は情報中継をしてたから直接は知らん。
けど、うちのもんが妙な奴と戦ってたのは聞いた。」
「そいつと話できないか?」
「今は見回りでここには居ねぇ。
急ぎの話か?」
「できれば今日中だと助かる。」
露骨に語調がだるそうになりながら、ミレースが答える。
「…分かった。戻ったら折り返し連絡する。忘れてなきゃな。」
そして気持ちを切り替えたミレースが、話を続ける。
「しっかし、こないだ会った時と違って、随分と積極的だな。」
「…そうか?」
確かに英傑活動に対して慣れて、惰性的になってる所はあったかもしれない。けどそう思わせるような、手を抜いたりとかはしてない、少なくとも自分ではそのつもりだ。
「ぶっちゃけダーティ・ホイールとして独立してから、ダーティ・ホイールを偶像のように扱う報道も世間も、それをよしとするお前も嫌いだった。
こないだので、すっかり変わっちまったなって思った。けど、今は昔みたいで、ちょっと安心した。
…あ、仕事来た、切るぞ。」
返答を待たず、通信機から未接続状態のノイズが流れる。
急ぎの連絡でも来たのだろう、英傑とはそいうものだ。
しかし言われて思い出すと、最早懐かしい。
まだ英傑チームというものが無かった頃、忘れられないサーシャへの喪失感を、鈍色仮面にぶつけようとしてた事。その存在を浮上させるために、罪人を片っ端から捕まえてた事。
目的は違えど、何かしら追う目標の有無は、そんなに違って見えるものなのだろうか。あの時はエクスプローダーを追って、今は……。
…………。
まさか、な…?




