表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【受賞/書籍化決定】田舎の中古物件に移住したら、なぜか幼女が住んでいた~ダンジョンと座敷わらし憑きの民泊はいかがですか?~  作者: k-ing☆書籍発売中
第一章 妖怪達と民泊を始めました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/86

10.ホテルマン、謎のあれをみつける ※一部店員視点

「らーめんおいしかったね!」


「途中から俺のやつも狙ってたもんな」


「ちがうもん! ちゃーしゅーがふくのほうがおおかったもん!」


 なぜか俺のラーメンだけ、チャーシューが重なって一枚多かったもんな。


 結局優しい女性が代わりにあげていたが、さすがにいけないと思い、俺もあげたらシルは大満足のようだ。


 ラーメンは子どもを虜にする毒だな。


 そして目の前にいる女性はやっぱり女神様だな。


 女性にお礼を伝えて、俺達は荷物を抱えて車に乗り込む。


 周囲はいつのまにか暗くなり、たくさんあった車もいつのまにか少なくなっていた。


「ちゃんとシートベルト着けろよ」


 車のライトを点けて車を走らせる。


 暗い時間に通ったことがないため、少し心配だがゆっくり帰れば問題ないだろう。


 山の中を駆け上がっていくが、対向車がいないのが幸いだ。


「お昼も遅かったから夜ご飯は何にする? 簡単に食べられるもののほうが楽だよな」


「うん……」


「でもカップラーメンはダメだぞ? お昼もラーメンだったからな」


「……」


 車の中は静かにラジオの音だけが流れていた。


 隣を見るとシルは疲れたのか静かに眠っている。


 座敷わらしの寝ている姿は、ただの女の子で可愛らしい。


 そんなことを思いながら車を走らせていると、明るく光っているものが目に入った。


「鳥居……?」


 少し気になり俺は車から降りると、そこには赤い鳥居があった。


 きっと鳥居がライトに照らされて反射していたのだろう。


 行きには気づかなかったが、神社が近くにはあるのかな?


 今度近所の人に会ったら聞いてみるのも良いかもしれない。


 車に戻ろうかと振り返ると、何かが鳥居の中を通っていくような気がした。


 振り返ってみても、そこには何もない。


 どこか不気味に感じながらも、ポケットに入っていたシルからもらったお守りを握って頭を下げる。


「こんな時間にお邪魔してすみませんでした」


 夜に神社に行くことは静寂や安寧を乱すと言われているからね。


 周囲を見渡すとここにもお地蔵さんが置いてあった。


 お詫びにポケットにあった飴をいくつか置いて車をすぐに走らせた。


『ははは、面白いやつが来た……むむむ、この甘いやつはなんじゃ!』


 確かに何かいたような感じはしたが、暗くて俺には何も見えなかった。


 いや、何もみたくなかったというのが正解だろうか。



 ♢



 私は仕事を終えて家に帰ると、嬉しくて笑いが止まらない。


 田舎のショッピングモールの店長として働いている私は今日もいつも通りに働いていた。


 お昼に困っていそうな親子のお客さんに声をかけると、すぐに良い行いにはお返しが返ってきた。


 その後に上司から電話で昇進の話が伝えられた。


 こんな田舎に移動になった時は絶望的だったが、昇進できるならもう少しは頑張れそうな気がする。


「それにイケメンと話せたから良かったな」


 しかも、困って声をかけた男性が中々の長身でモデルのような男性だった。


 垢抜けしていない姿が、まるで磨かれていないダイヤの原石って感じがした。


 ただ、子どもを連れていたから既婚者なんだろう。


 少し残念だったな……。


 詳しいプライベートまでは聞けなかったが、きっと若い時に生まれた子どもなんだろう。


 既婚者で休みの日に子どもと出かけるなんて立派なお父さんだ。


 彼らのおかげで良いことがあり、ラーメンを一緒に食べたけど、これは決して浮気じゃないよね?


 シルちゃんが変なことをお母さんに吹き込まないか心配だ。


――ピロン!


 ベッドで横になっている私はスマホの通知音に気づき、画面を見ると会社からのメールが送られていた。


「今日の昇進についてかな?」


 私は会社からのメールを開いて見ると、空いた口が塞がらなかった。


「えええ、東京のエリアマネージャー!?」


 きっと店長からの昇進って言ったら、複数の店舗を管轄するエリアマネージャーになると思っていた。


 それなのにまさか都会のエリアマネージャーになるとは思いもしなかった。


 エリアマネージャーでも田舎と都会だと、給料も生活も全く異なってくるからね。


「やったあー! 田舎から抜けられるー!」


 私はあまりの嬉しさに叫んでしまった。


 都会であれば隣から怒られるかもしれないが、ここは田舎だから怒られることもない。


 ちょっと寂しい気持ちになりながらも、私は外を眺めながら手を合わせる。


「あの人達のおかげかな?」


 影の薄い親子に出会った影響はきっと関係ないかもしれない。


 だけど、私はあの親子がまるで幸運を引き寄せた座敷わらしとお父さんに見えていた。


「東京でも楽しむぞー!」


 その後も私は上京しても、どんどんと成功して昇進したのはまた別の話だ。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

キッチンカーと巡る異世界グルメ ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~
ここをタップ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ