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第五話 勇者とか早めに抹殺しちゃお作戦

勇者たちがシンキーズの後を追うと、この禍々しい魔力の持ち主であろう男が屋根よりも一回り高いであろう場所に浮いていた。

体には黒いローブを着ており、何故か頭には蝶ネクタイを巻いている。


「そっ、そこのお前、何者でございましょうか!」

勇者は禍々しい魔力に怯え、変な敬語になってしまった。


「…チッ。面倒くせえなぁ…何で魔王のやつもこんなやつの相手任せんだよいちいち…。

フハハ!初めましてだな、勇者よ!我が名はベルリオ!」

最初の独り言のせいで後半が何も入ってこない。勇者は魔族も大変なんだなと思う。


「私はガサ大陸を支配する七藩魔が一人、早速貴様らに絶望を味会わせてやる!

…と言いたいとこなのだが、生憎私も忙しい身でね。お前たちの相手はコイツにしてもらう。」


ベルリオが指を鳴らすと、灰色の魔方陣が現れ、そこから立体感を感じさせないほどの漆黒の竜が姿を現す。


「…あーもう外回り終わったしそのまま家帰ろ」

そう小声で呟くとベルリオは自分の前にもう一つ灰色の魔方陣を生み出し、帰って行った。


いまいち緊張感が沸かない勇者たちに向け、竜は漆黒のブレスを放つ。

勇者たちはベースに飛び込む野球選手のごとき動きでそれを間一髪で回避した。


勇者が顔にかかった土を払いながら急いで立ち上がろうとするが、右足が動かない。

右足を見ると、先ほどの漆黒のブレスが液体のようになり、そのため池から、漆黒の手が伸びて右足を掴んでいる。


勇者は急いで木の剣を取り出し、その手を切り払い逃げる。だが時既に遅し、竜はもう攻撃態勢に入っていた。

だがその竜の頬に人ほどの大きさがあろう火の玉がぶつかる。見ると、1号が恐らくドヤ顔を決めながら魔法を放っていた。


しかし残念ながら、竜にはほとんど効いている様子がない。

そして竜は1号に向け、ブレスを放つ。

だが大丈夫だ、シンキーズへの攻撃は全てすり抜ける。シンキーズも強靱!無敵!最強!と言わんばかりの余裕の笑みをしていそうである。

そして1号は空の彼方へぶっ飛ばされた。そうだった、手は実体化してんの忘れてた。

「1ごぉぉぉー!」

バカナルシが慌てて1号を追いかける。


他のシンキーズたちはどこかと見回すと、2号とS3が屋根の上に登っているのが見える。恐らく竜に飛び乗るつもりなのだろう。


竜は地上へと降り立ち、勇者を凝視しながらにじり寄る。勇者は不安を押し殺し、2号たちがやってくれると信じて、木の剣一本で突っ込む。


竜は先ほどのブレスでできた溜め池から、無数の手を繰り出してくる。勇者はそれを強運でひたすらに避けながら距離を詰める。


それに負けじと、竜は再びブレスを放つ態勢に入る。

「今だ!2号!S3!やれぇぇ!」

勇者が叫ぶと同時に、ブレスが放たれ、勇者は吹き飛ばされる。そして同時に2号とS3が竜の頭へ飛び乗る。自身の上を取られたことに気づいた竜は空へ飛び上がる。


吹き飛ばされた勇者は、ほとんど崩れた民家の壁に激突し、悶えていた。

「くっそ…いっでぇ…右手の骨が折れちまったら剣が…持てねえだろうが…くそドラゴン…」

昏倒する意識、少しずつ視界が暗くなっていく中、爺さんの顔で意識を取り戻す。


「お主ら大丈夫か?説明の途中で勝手に出ていきおって。戻ってきたときのためにお茶を入れてやったのに冷めてしもうたじゃろが。」


そんな場合じゃねえんだよ…とぼんやりした意識の中でツッコむ。


その頃、シンキーズたちは竜の背中にしがみついていた。


シンキーズたちは手以外はすり抜けるため、高速で飛ぶ竜の上でも風の影響はほとんど受けない。

だが、竜は彼らを振り落とすため、先ほどのブレスの小さい玉を自身の回りに幾つか展開し、そこから手をを繰り出してくる。


「おーい黒いの!聞こえとるか?聞こえとらんでも説明するぞ~!」

下から爺さんの声が聞こえる。だが迫ってくる手は止まらない。2号は全力で手に向かってパンチする。


すると漆黒の手は水風船を殴ったときのように勢いよく弾ける。その勢いに任せ、間髪入れずに襲いかかる手を打ち落としていく。

自分の強さを誇るかのように、まるでジャッキー・チェンのような構えで調子に乗っている。


「その手袋は魔力を込めると力を増幅させる魔法道具じゃ!」

俺の力じゃないんかい!と言わんばかりに頭を叩く。

「それと両手の中に魔力を貯めるようにすれば遠距離攻撃もできるぞい!」


言われたとおりに魔力を貯めていると、正面から無数の手が迫ってくる。

だが2号は臆せず魔力玉を手へと放ち、着弾と同時に爆裂して無数の手を吹き飛ばす。


ありもしない髪を2号がなびかせている後ろで、S3は小さい盾で必死に耐えていた。

「もう一個の小さい盾は魔力を込めてやれば魔力シールドを展開できるぞい!」


言われたとおり、盾に魔力を込めると魔力シールドができ、傘ぐらいの大きな盾となった。だが、それに対し、手の数をさらに増やして圧してくる竜。耐えきれなくなった魔力シールドにヒビが入る。


「それと魔力シールドの展開角度は自在に調整できるぞい!」

S3は全力で左に曲がれと念じる。すると魔力シールドはものすごいスピードで左に回転し、手だったものの飛沫がぶっ飛ぶ。

S3は往復ビンタを連想すると、とんでもないスピードで魔力シールドが往復し、囲い込むように追い詰める手を一網打尽にしていく。



「ふぅ…まだ一個説明できとらんが、帰ってきてからでいいじゃろ。」

爺さんが手に持ったメガホンの横のボタンを押すと、メガホンはミニチュアサイズまで小さくなり、ポケットにしまわれた。

「2号、S3、すまん、俺が弱いばっかりに…」

勇者は折れた木の剣に自身の拳を叩きつける。意識ははっきりしてきたが、依然ダメージは大きい。

「お主はとにかく今は休んどれ。そういえば1号の姿が見えんのだが、どこへ行ったんじゃ?」



「くそっ、1号のやつ…一体どこに落ちたんだ?」

バカナルシはニチチの町の裏山に飛んでいった1号を、獣道をかき分けながら探していた。


「がふっ!?」

突如腹に何かが刺さった。痛みに耐えながら引っこ抜くとそれはクナイである。バカナルシは腹に刺さるまで全く気づかなかった。


「ちっ…ジャンボリー・ガード!」

回りの木から巨大な手が作られ、バカナルシを守る。すぐさまクナイが刺さる音が聞こえる。


「時間稼ぎをしても無意味だ。我々は既にお前らを取り囲んでいる。」

どこかから聞いたことのない声が聞こえる。反響してどこから聞こえるか分からない。


「まもなくして…

お前たちの冒険は終わりだ」

ご視聴ありがとうごさいました(っ´ω`c)

最近葬送のフリーレンにはまって執筆が全く進まない(;゜д゜)

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